the

Mosquito

Moth

Laboratory

 
 

無尾翼仕様「モスキートモス号TL(TailLess)」(構想進行中)

 
戻る 
 

きっかけ

 無尾翼機には殊のほか興味がありました。もともとバルサ製ハンドランチグライダーや、折り紙飛行機、切り紙飛行機(今思えばホワイトウイングス)にも没頭した時期がありました。高校のころに紙飛行機クラブというのがあり、それこそ皆さん本を切り抜いて作っていたわけですが、私はデルタ翼エンテ型の、SAAB37ビゲンのようなグライダーを自分で設計して作りました。校舎の3階の窓から投げると、一直線微動だにせず、そのまま何十mも離れた対面の校舎まで飛んでいきました。強烈に印象に残っています。 

 もともとラジコンをはじめたのも、メッサーシュミットMe163のような無尾翼機を作り、カタパルトで発射して高速滑空を楽しもうというところからだったのです。 

 しかし、単なる無尾翼機ならいざ知らず、モスキートモス号を無尾翼化するにはいったいどうすれば、いや、それ以前にその無尾翼機が「モスキートモス号である」ためにはいったいどうあればいいのか。非常な難題です。 

 ですがいやしくも「ラボラトリ」を標榜するからにはこの位何とかしなければなりません。まず、コンセプトから描いて行きたいと思います。 

コンセプト

  • モスキートモス号主翼を使用した、無尾翼機を製作する。つまりSキャンバー翼型が使用できない。
  • 垂直尾翼はあっても可(無いと難しすぎ)
  • エンジンは10クラスで、プッシャーとする。
  • あまり高速でないと飛ばないようでは困る。
  • ソアリングもできるように、軽翼面荷重化をすすめる。

考察

  • 主翼はフラットボトム、翼端後退翼でエレボンは翼端部のみ。ねじり下げ。
  • またはエレボンは無く、エレベータ動作のみとし、旋回はラダーで行う。いままでラダー方式の無尾翼機は見たことが無い。
  • 上半角の設定が難しそう。
  • 重心がとにかく前にこないと安定しないはずなので、プッシャーは無理か。

手法

 今回はまずもって飛ぶかどうか全くわからない段階からスタートするわけですから、紙または発泡スチロールで縮小または原寸模型を作成し、飛行テストを行って重心や上反角、尾翼面積、舵の面積などを試験し、その後で本製作に入る、という手順を取りたいと思います。 

線引き

 現在のところ制作スケジュールは未定ですが当分後になりそうです。優先順位はAD型よりも後ですが、その他の優先順位は未定です。なおこの計画が冗談かどうかは未だ判っていません。 
 
2000.12.14 
 特に作業は進んでいないのですが、以前作ったノーマルモスキートモス号の平面図を加工して、完成予想図を作ってみました。 

 中央翼の前縁を伸ばして普通の後退翼にしたり、中央翼後縁を同じく三角に伸ばして、ホルテンみたいにしても格好はいいみたいですが工作が面倒なのでそうはしないでしょう。 

 ある方からもっとやれ、という励ましのメールを頂き、ひょうたんからこまではないんですがちょっといろいろ基礎試験に取り掛かってみるかな、等と考えています。 
 

 
ノーマル主翼に後退角を持たせるとこんな感じです。 
 

 
より後退角をきつくするとこんな感じです。 
 
 

2000.12.21 
 オークションで昔のラジコン技術を入手しましたが、その中に故・一条卓也氏設計のプランク22という無尾翼グライダーが掲載されていました。この機体は後退角がほとんどなく、翼型はSキャンバーで、飛行は非常に安定のよいものだったとのことです。 

 モスキートモス号TL型は、コンセプトとして主翼をモスキートモス号のものを使用するというようにしていますので、固定フラップを跳ね上げたら擬似的にSキャンバーになるのではないかと思います。しかしながら真相はやってみるまでわからないというところですね。 

 正月休を利用して、ケント紙で50%縮小板を作成し、挙動を見てみようと思います。 
 
 

2001.01.09 
 試作機第1号を製作しました。 

 この試作機は写真のように後退翼のものです。この機体にはTLX1型と命名しました。 

 材料はスチレンペーパーですが、デコパネ素板という商品で、厚みが7mm程度もあり、強度は十分ですが重量がかなりかさみます。福岡の田舎ではなかなか欲しい材料が手に入らないですね。残念なことです。 

 胴体はホームセンターで買ってきた高発泡率の発泡スチロールで、こちらは重量が非常に軽いのですが強度が全然不足しています。 

 いずれの材料もカッターナイフで簡単に加工できました。 

 接着はセメダイン発泡スチロール用接着剤を使用しました。これは一定時間乾かしてから接着するタイプで接着力はそれなりにありますが、乾くのを待つのが瞬間に慣れてしまうとおっくうです。エポキシの方が早く付きますね。 

 翼は山形の平板翼型で、三角形のリブを補強のために接着しています。中央翼と左右翼は上反角をつけてエポキシで接着しました。 

 上反角は14度、翼弦、翼長はモスキートモス号の50%としました。 

 本格的な滑空試験は行なえませんでしたが、室内において試験したところによりますとねじり下げ0ではそのまま真下を向いて落下してしまい、飛びません。これはまさに教科書が教えるところの挙動でしょう。 

 次に工作用紙でトリムタブを左右に取り付け、これを跳ね上げて擬似的に翼端のみ反転キャンバー翼として試してみました。数回の重心調節を行ない、かなり前重心としたところで滑空するようになりました。 

 それから垂直尾翼を曲げてみて旋回の挙動を見てみました。これも屋外で正式に試験しないとなんともいえないのですが、やはり若干旋回しにくいようです。テールが流れるだけでバンクに結びつきにくいようです。上半角は直線翼よりも多めにしないといけないのでしょうか。 

 今度の休みにはこの機体を調整して飛行特性などを調べてみたいと思います。また、2号機TLX2を作成し、直線翼反転キャンバーとしてこれも飛行試験を行ないたいと思います。 

 TLX1の方はどうにかして翼端にねじり下げを付け、トリムタブ無しで飛べるようにしたいところです。 

 そういえば大昔(小学6年生だったか)山森喜進氏(漢字があってなかったら失礼しました)の「よく飛ぶバルプレーン」というバルサ製ハンドランチグライダーの本の中にエンテ型デルタ翼の機体があったのですが、この主翼はエレボンを1ミリほど跳ね上げ、先尾翼はエレベーターを1ミリほど下げるセッティングになっていたのですがもしかしたら反転キャンバーの効果をねらったものだったのかもしれません。主翼の前縁は折り下げが付いていました。これも確か実機でもこのようになっていたと思います。 

 性能とは関係ない話ですが、モスキートモス号の主翼の翼端を後退翼として無尾翼とすると結構かっこいいと思うのは私だけでしょうか。TLX1を作って、しげしげと眺め回していました。 
2001.01.11 

 昨夜は直線翼仕様の主翼を作成していました。ノーマル翼のフラップに相当する部分はとりあえず紙で作り、これで反転キャンバーを実現します。今のところ主翼をスチレンペーパーで切りだし、胴体を発泡スチロールから削り出した状態です。 

 後はリブを作り、主翼を接合し、垂直尾翼を取り付け、主翼を胴体に接着します。まあ、考えようによっては非常に簡単な作業です。被覆もバルサ組みも必要ないわけですから。 

 可能なら今晩にもここまで行きたいのですが、相変わらず業務が多忙を極め、作業がなかなか進みません。 
 

 
サイドビュー。なかなか精悍です(?) 
 

 
調整用にトリムタブを付けています。 
 
 

2001.1.15 
 屋外での滑空試験を行いました。また直線翼仕様も制作し、同様に試験しました。 

 後退翼仕様は、結局うまく捩り下げが付けられず、とりあえず翼端トリムタブをかなり跳ね上げた状態でテストしました。重心位置は中央部翼弦30%位置よりもかなり後で、だいたい40−45%位置でした。しかし後退翼なので風圧中心が通常の矩形翼とは違って後退していますので重心は相当前になっているのは間違いありません。家に帰ってから教科書を読み直してみましょう。 

 直線翼仕様は、後退翼仕様よりも若干上反角を多めにとり、ノーマルのモスキートモス号が固定フラップとしている部分を若干跳ね上げ、反転カンバー翼としてみました。 

 飛行結果ですが、まず後退翼仕様は重心位置がシビアですが、調整が取れるときれいに滑空できるようになりました。飛行速度はもう少し遅くしたいところ(重量から見て)ですが、まずまず合格でしょう。 

 横安定については問題ありません。ロール方向、ヨー方向とも十分な安定性のようで、若干乱流が舞う中で滑空させても自律安定を見て取ることが出来ました。また、ラダーで旋回させる試験もしましたがそれなりに効きます。エルロンとミキシングで使用することが出来れば十分ではないかと思います。ダッチロール、スパイラルの傾向は特にありませんでした。 

 しかしピッチ方向は静的安定性「中立」という状態で、水平滑空ならきれいに行くのですが、頭を下げるとなかなか持ち直してくれません。もっと重心を前に、捩り下げまたは跳ね上げをもっと強くすると安定が良くなるのかもしれませんが性能とのトレードオフになりそうですね。 

 また平板なのに板厚がかなりあるので抗力が相当あるようです。滑空速度や沈下速度をみると相当無理して飛んでいる感じがします。 

 直線翼の方はかなり難しいものがありました。これは後退翼仕様よりももっと静的安定性がない感じで、根本的に翼型を詰めてやらないと難しそうです。投げる時もいちかばちか、水平に滑空し始めればよいですが投げた瞬間に地面に垂直着陸することもしばしばでした。しかしながらヨー軸、ロール軸まわりの安定は問題ないようです。 

 結局、両方の機体とも思い切り投げ上げたあと機首から突っ込んで、首の骨を折る状態で退場となりましたがある程度の結果を得ることが出来たと思います。 
 

考察

  1. フリーフライト機としての自律安定を確保するには、さらにピッチ方向の安定を持たせなければならない。後退角を増し、捩り下げあるいは反転カンバーを採用。
  2. 重心位置は極めてシビアに飛行に影響する。わずかでも後ろ過ぎると操縦不能となり「逆宙ウォーターフォール」状態で墜落する。逆に前過ぎるとエレベーターアップが効かずやはり操縦不能で墜落する。
  3. 地面効果がかなり効くようで、地上10cmくらいで5m以上も滑空する。
  4. 今回程度のピッチング安定でもラジコンで操縦するならば十分ではないかと見えた。

今後

 とりあえず直線翼の方はピッチング安定が悪すぎるので、翼型を下面をカバーしてフラットボトム三角断面にし、どう影響するか見てみたい。後退翼版も同様にして影響を調べたい。 

 後退翼版をどうにかして捩り下げ翼にしてみたい。ドライヤーで加熱するとか最悪カッターナイフで切断して外翼全体を斜めに取り付けてもいいかもしれない。(ムサシノのテレスチェリー号は捩り下げは垂直安定板より外の翼をそのまま斜めに(下向きに)取り付けて捩り下げにしていたのではないでしょうか?単なる邪推ですが。) 

 これらが済んだらあとは自作(試作)しかないんでしょうねェ…AD型の遅れもいいかげん気になりますのでどうにかしたいですが…TORIIさんみたいに一度にたくさん作るというような器用なことが出来そうにないので苦労します。 
 

 
直線翼でもロングノーズ、ショートテールだと結構かっこいいです。(この写真ではテールはまだ長い)
 
2001.01.20 
 図面というかイラストを描いてみました。 

 TLX1,2ともモスキートモス号の部材をほとんど流用して作ることが出来ます。胴体前部を延長する関係でその部分のバルサが必要になりますが、他はほぼ共通になりそうです。 

 TLX1は重心がTLX2ほどとりずらくないので、ノーズの延長はあまりしていません。TLX2はその逆で、かなりノーズを伸ばしています。 

 今考えているのは、TLX1を軽翼面荷重、低速飛行向けラダー機とすること、およびTLX2をエルロン併用方式全速度域対応高機動スポーツ機という位置付けです。 

 後退翼のTLX1の方が翼端失速の関係もあって低速を追及しないほうがよさそうなんですが、あえて逆を行ってみたいところです。 

 図面はとりあえず描いたので、一気に製作に行く前にやはりスチロールの1:1模型を作ってみようと思っています。スチロールコア翼を作る練習にもなりますし、改造や補修も安直そうです。 

 スチロールだけでは非常にもろいのでバルサプランクするところでしょうが、今回はクラフトテープで補強してみたいと思います。重ね合わせのできるガムテープのようなもので、強度は引っ張りに対してかなりあり、うまく貼れば重量、強度、コストの面でかなり優れたものになるかもしれません。梱包用テープでカバリングするラジコンはなくはなかったと思います。 

なお実機(?)TLX1,(TLX2)のスペックは次のようなものを想定しています。 
 
TLX1 TLX2
 全長 850mm程度 850mm程度
全幅 1500mm 1470mm
エンジン TT−GP07 OS10LA
全備重量 550g 650g
メカ 3ch 4ch
 

 
 
 

 
TLX1・2面図 



 
 

 
TLX2・2面図 
 

2001.01.22 
 無尾翼滑空機の試験飛行を行いました。 

 まずこれまでの試験結果からどうも翼型が不安定さに関係しているのではないかと推測していました。下面のネガティブカンバーの部分をプランクしてフラットボトムにするとどう変化するか調べようと思い、試してみました。 

 機体は先に作っていたTLX1、TLX2で、これにニットー製高性能クラフトテープを巻くように貼ってプランク代わりとしました。同様に胴体も側面下面にこれを貼り、補強としました。 

 結果はTLX1はなんとか滑空に成功し、TLX2はまだ不安定さが取り除けませんでした。 

 TLX1は滑空するものの、なんだか失速しながら水平飛行しているような伸びのない滑空で、またいったん頭が下がるとほとんど回復できません。まだまだです。 

 TLX2はやはり不安定で、前回までよりも若干良いにしてもこれではとても実用化できません。 

 考察ですが、まずTLX1は本来捩り下げよくとすべきところを翼端トリムタブで無理やり釣り合いを取っているので、タブが異常にアップとなり、常にエアブレーキを引きずりながら飛んでいる状態になっているものと考えます。これは適正な捩り下げで改善できると思います。 

 次にTLX2ですが、航空力学の本を読んでいると反転カンバー翼の反転部分は翼弦の8分の1でちょうど縦のつりあいがゼロになるということで、それから見ますと本機の翼型は反転部分が13分の1程度しかなく、不足であることは間違いなさそうです。ガルモデルのプランク22という無尾翼グライダーはやはり反転部分が相当あります。 

 またTLX2にはフラットスピンに入ると回復しないという悪癖があることが分かりました。これは重心位置と垂直尾翼面積を改善する必要がありそうです。 

 これらを踏まえ、スチロールコア実験翼を再度製作したいと思います。今度は1:1で大型のものを考えています(やはりフリーフライトですが) 

 余談ですが、メッサーシュミットMe163にもテスト時にはフラットスピンで悩まされたことがあったそうです。これはあとで付加された武装、装甲などが設計時の重心を狂わせたためだったようです。Me163は史上初のロケット戦闘機として有名ですが、エンジン停止時の無重力降下で900kphもの速度を記録しているんだそうです。Me163の本(ヴォルフガング・シュペーテ著:邦題「ドイツのロケット彗星」)によると米爆撃機の上方から急降下攻撃し、更に反転攻撃を加えて退却するという戦法だったようです。ムスタングが追いすがろうとしても追いつけなかったそうです。 

 その中にメッサーシュミット教授が傑作機Bf109とMe163をどちらが運動性が優れているかパイロットに聞くところがありますが、Me163の方が良かったということを聞いてがっかりするくだりがあります。

 
見にくいですがTLX1の滑空です。 
 

 
手投げ直後。ちょっと傾いてます。 
 

 
こんなにアップにしないと飛びませんでした。 
 

 
TLX2の翼下面被覆 

(2001/1/24追加)

 
2001.01.24 
 無尾翼機の基礎実験を行い、予想通りの結果を得ました。概略はムサシノ掲示板に書きこんだ内容と同じです。 

 今回試したのは反転カンバー翼(Sキャンバー翼)のピッチングに対する自律安定性です。参考文献によりますと反転カンバー翼の反転部分が翼弦の8分の1以上であるとき自律安定性が確保できそうなことが書いてありましたのでとりあえず理論的な話は置いといて(難しい(^_^;))コピー用紙のような紙で簡単な反転カンバー全翼機(というより矩形翼そのもの)を作りました。 

 この翼の前80%くらいが普通のカンバー、残りが反転カンバーとなるように曲げ癖をつけ、前縁にクリップを挟んで重心位置を翼弦20%くらいの位置にとりました。 

 この状態で静かに滑空させると意外にも安定して滑空しました。さらに重心位置や反転カンバー部分のカンバーを増減させたりして調整しましたが、かなりの安定度で滑空し始めました。 

 しかしそれでも重心はシビアで、かなり前寄りになりますし、反転部分が大きすぎると細かいピッチングを起こしながら飛行します。いつも言われるように重心が後ろ過ぎると全く飛びません。むしろ前気味でエレベータで釣り合いを取るほうが現実的なのだろうと思います。重心さえ合えばきれいに滑空します。 

 かなり滑空するようになったので少し高いところから投げますと滑空していくのですが、垂直尾翼がないのでやがてスピンを起こして墜落します。翼端を折り上げて垂直尾翼としましたが、かなり滑空するようになり一定の効果はあったものの、面積の割には効きが弱いようです。 

 いずれにせよこれでTLX2型の飛行は現実味を帯びてきました。 

 なお参考書をご推薦いただきました高崎様、ザノニア種子型全翼グライダー模型のホームページをご紹介いただきました真ちゃん様にお礼申し上げます。 

考察

  1. 普通の翼を無尾翼化する場合、反転カンバー翼として使用するときは反転部分をある程度大きく取る必要があり、面積が小さいといくらエレベーターアップにしても釣り合わないことがある。
  2. 参考書によると翼弦長における反転部分の占める長さが安定に影響するようだ。8分の1以下では安定が取れないようだ。
  3. モスキートモス号では反転部分を固定フラップのように後付けにするとおよそ翼弦250mm程度と見積もれるが、反転カンバー部分は30−50mmの間となると思われる。この部分の構造は一考を要す。

感想

 以前紙飛行機に没頭していた小学生くらいの時期には「ただの四角い紙」を飛ばすことにチャレンジした時期があったのですが、その時には反転カンバーなどという理論は知らず、いくら試行錯誤しても無理だったので昨夜の滑空はまさに私にとってコペルニクス的展開でした。 

 もちろん後退角のある紙飛行機なら簡単に飛ぶわけですが、全部後退翼機ではやっぱりつまらないという理由で当時はチャレンジしていたと思います。もうかれこれ25年も前の話ですが、それだけ年をとっても結局同じようなことをやっている自分とは、やっぱり変人だと思いますね。 

 反転カンバーは反転部分が尾翼の代わりになっているのだと思いますが、この部分はマイナスの揚力を発生するわけで翼面積からこの分は少なくとも引いて考えるのがよいのではと思います。 


2001.02.05 
 スチロールコア翼を切り出し、原寸に近い模型を制作して飛行特性を調べることにしました。 

 後退角のない翼が簡単そうだったのでまずはこちらから作ることにしました。スチロールコア翼の切り出し道具は以前作っていたので、モスキートモス号のリブをスチロールの両脇に貼り付け、それをなぞるようにして切断するつもりでした。 

 しかし、熱線として使用したステンレス線が細かったのか、電流があまり十分に流れないようで、思ったほどさくさくとは切れません。それどころか切断面が波打ったりします。 

 何とかだましだまし切り出し、竹ひごをかんざしにして組み立てました。翼端上反角の継ぎ目と、スパーに相当するところ、前後縁を高性能クラフトテープで補強して出来あがりです。 

 なお反転カンバー部分は別途スチロールから切り出して貼り付け、高性能クラフトテープで補強しました。 

 これにスチレンペーパーで補強した胴体を接着剤と竹ひごで固定して完成です。 

 重心位置は18%あたりがいいといわれていますのでそれにならい、テストです。 

 完成したのが夜の12時、でもどうしても一度投げたくてマンションの玄関からそぼ降る雨の中手投げ敢行です。が、手投げ直後真下を向き垂直降下します。2度ほどチャレンジしましたが全くだめでした。 

 たぶん、反転カンバー部分がまだまだ小さすぎるのだろうと思います。最後に焦って作った部分だけにちょっと自信がなかったのですが、やはりだめでした。 

 とりあえずこの部分を修正してまた挑戦しようと思います。 
 
試作機(TLX2−2型と命名)の仕様
全長 約40cm
全幅 約130cm
翼弦 約27cm
上反角 約17度(翼端上反角)
翼型 モスキートモス号翼型のコピー失敗+反転カンバー
重量 約100g?
追伸:スチロールコア翼の切り出しにはあまり熱くならない熱線だとかえって仕上げが汚くなるようです。線の交換を考えたいと思います。 

2001.2.14 
 去る2月11日、無尾翼実験機TLX2−2の試験飛行を行い、一定程度の成功を得ました。 

 これまでの試験から、自律安定が極めて弱いこと、またその原因として直線翼無尾翼機(プランク翼と言われている)に必要不可欠な反転カンバー翼型の反転部分が小さすぎることを推測していました。このため今回は反転部分をかなり大きめとし、その効果を確かめようとしたわけです。 

 反転部分の製作はいくつかのステップに分けて行われました。 

 まず初めに、スチロール板から翼型を切り出すためのリブ型をヒノキの薄板から製作しました。これには最近入手したプロクソンのサーキュラソーとコッピングソーテーブルが役に立ちました。切り出したリブ型2枚は揃えて、これも最近入手したプロクソンのペンサンダーで同型になるようにサンディングしました。 

 次に必要な翼長になるよう切り出した(断熱材カッターという大きなナイフが便利でした)スチロール板の両端にこのリブ型(メス型を使用)を両面テープで貼り付け、ステンレス線で製作した自作スチロールカッターで切り出します。電源をバッテリー充電器から取ったため、定格の3Aぎりぎり流れるためか、20秒ほどでスイッチのON/OFFを繰り返し、かなり使いにくかったですが何とか切り出せました。あとで白熱電球(抵抗ですね)と100V電源で強力な切断が出来ないか試そうかと思います。 

 さらに、もともとついていた小さい反転カンバー部分を取り外し、新造した部分を高性能クラフトテープで接着して完成しました。 

試験飛行

 重心を18%くらいに持ってきて滑空試験をしますが、かなり頭上げ傾向が強く、重りを積んで重心を15%かそれ以下くらいに移動した状態で、きれいに滑空するようになりました。以前のTLX1,TLX2と比べても全くスムーズに滑空します。 

 しかしやはりかなりの上げ舵になっているようで、ちょっと力を入れますとすぐに宙返りしそうになります。まだ調整が必要なようです。 

 そうではありますが、自律安定は縦横とも特に問題はなく、ヨー軸回りの安定も垂直尾翼を思い切って大きく作ったためか、良好な安定でフラットスピン癖もとりあえずは見受けられませんでした。 

 この程度の大きさではもうメカさえ積めばグライダーとして遊べそうです。強度は衝撃にかなり弱く、試験飛行中にもクラックが2,3箇所に入りましたが、その都度高性能クラフトテープで修理できましたので、初めからテープでプランクしていたら相当の強度となったものと思います。重量面では不利でしょうが、試作のやりやすさやコストからも悪くないと思います。 

今後

 次は反転部分を更に小さくして、より効率よく飛行できるようにすること、ラダーでの旋回性を確認すること、またTLX1の大型模型を作成して同様に試験することです。 

感想

 各種参考資料によると、カンバーの大きな翼型は仰角によるモーメントの変化が大きく、これを押さえるための反転カンバー部分が大きくなり、失速や抗力の増大という問題が発生するとのことでしたがとりあえずそれでも飛行することはわかりました。モスキートモス号の主翼を利用した無尾翼機というテーマも実現可能性があることが分かったわけです。 
 
 
TLX2−2のサイズ。プレイリー号と同じくらいの翼長でモスキートモス号よりも広い翼弦。 
 

 
反転カンバー翼型。基本部分はモスキートモス号だが若干加工に失敗しておかしな翼型となっている。 
 

 
手投げで滑空試験。垂直尾翼の大きさが分かる。 
 

 
思ったよりも素直な飛行だった。 
 

 
2001.04.18 
 日曜日は久しぶりに、TLX2−2型機を持ち出して、広い公園の広場で飛ばしてみました。家の前の道での滑空テストではまずまずの性能であったことがわかっていましたので、今度は本格的な滑空性能を見たかったのです。 

 結果的には予想以上の性能が確認できました。まず、縦安定を見ました。反転部分が大きいせいか、速度が速いと頭上げ傾向が出ます。しかし滑空速度ではほぼ安定して水平飛行しますし、自立安定性も良好です。 

 10mくらい上の階段上から投げてみますと、ゆっくり飛ばして40mくらいは滑空して行きます。滑空比4以下とはなんともグライダーとしてはお粗末ですが、加工に失敗したおかしな翼型で、効率の悪いといわれる反転カンバー翼ということもあるのでしょう。しかし全装備のモスキートモス号よりは伸びるようです。 

 次に横安定を見ました。風に向かって斜めに発進しますと大きく旋回しながら水平飛行に戻ります。途中突風などで大きく傾いても勝手に元に戻ってくれます。これはモスキートモス号より大き目の上反角を取ったためと思います。 

 10数回飛行しましたが、うまくいくと7,80m飛ぶようです。今回のテストでRC化・動力化にかなり自信を持ちました。フラットボトム翼型に反転部分をくっつけただけの翼型でもそんなにひどくはないという結果はある意味で意外なものでした。 

 なお、最後は度重なるラフランディングのせいで、主翼が逆にバンザイしてしまいました。主翼取付部上面には横方向にはテープを貼っていなかったせいです。テープさえきちんと貼っていれば相当の強度になっているようです。 
 



2001/05/30 
HW型もそろそろ大詰め、そこでいよいよ無尾翼型の製作検討に入りました。 

 まず現在、大型模型の試験まで終了しているTLX2型から製作を開始します。概要仕様は次のとおりです。 

  • 軽翼面荷重(目標値20g/sq.dm)、ノーマルと同等の低速飛行を狙う。
  • 運動性よりも安定性を重視する。
  • ラダー、エレベータ制御とする。エルロン動作は省略
  • エンジンはサンダータイガーGP07を使用し、中低速を常用して30分程度のエンジンランを行えるものとする。
  • 極端な軽量メカは使用しない。
  • 翼長はノーマルと同じ1470mm、リブもノーマル。ただし反転カンバー部分を後付けし、翼弦は295mm程度になるだろう。実効翼面積は32sq.dm程度。
  • 胴体は低抵抗化を図る。ただしモルフォのような胴体ではなく、モスキートモスのプロフィールは残したい。車輪は単車輪としたい。
  • 曲面デザインを採用してみたい。クラシカルなものというより、モダンなものとしたい。
 次いで、大型模型TLX1−2型を作成して、飛行特性等の確認を行った後、TLX1型の製作に入ります。概要仕様は次のとおりです。 
  • 軽翼面荷重(目標値25g/sq.dm)、ノーマルと同等の低速飛行を狙う。
  • ラダー、エレボン制御とする。
  • エンジンは15クラスを使用する。若干の出力余裕を得る。
  • 極端な軽量メカは使用しない。
  • 翼長は後退角の関係でノーマルよりも短い。1300mm程度。リブはノーマルだが、反転カンバー部分を後付けするか、若干の加工で無尾翼機としての特性を得たい。翼弦は230mm程度になるだろう。実効翼面積は若干減少する。
  • 胴体は低抵抗化を図る。ただしモルフォのような胴体ではなく、モスキートモスのプロフィールは残したい。車輪は単車輪としたい。
  • 直線デザインを生かすが、よりモダンなものとしたい。
 今度は、同時製作、同時試験となるでしょう。2機まとめて作ると効率は上がるのでしょうか? 

 本来だと優先度はAD型の方が上だったのですが、AD型は作ったとしても操縦が追いつかない恐れがあるのと、TL型の方が今は面白そうだからということでこちらを優先することにしました。 
 



2001/06/11
 無尾翼機のTL2の制作を開始しました。

 制作とは言ったものの、前回に予定していた計画とは少し方針が変わりました。というのもご近所さんから頂いたモスキートモス号があるので、これの改造という形で作ってみます。

 まずは主翼ですが、この機体の主翼はノーマル仕様ではなくて、プランクが省略されており、その代わりにトラスが入っています。また固定フラップは装備されていませんでした。

 年月がかなり経っているようでとりあえずフィルムを全部はがしてリストアするところからです。

 これで主翼が完成したら発泡スチロールで反転カンバー部分を作り何らかの方法で補強して装着する予定です。

 胴体はこれもノーマルのトラス部分以降をカットして、新たに組みなおすつもりです。もちろん垂直尾翼、ラダーも面積の拡大が必要ですのでこれも作り直します。

 エンジンですが、サンダータイガーの07を使用しようと思っていたのですが、現在人気のため品薄だそうで、(なんでもラジコン技術の記事以来だそうで)入手のめどが立っていません。FA30を購入してHWに装着する予定なので、現在HWに付いている15LAを流用しようかとも考えています。あるいはエンヤ06Dを大抜擢!するかもしれません。

 しかし、無尾翼機の場合は主翼の効率もあまりよくないそうで、反転カンバー翼型は失速しやすく、重量を軽く抑えないと、凄いスピードでないと飛べない機体になるかもしれません。TL1の方は後退翼で翼端エルロンということもあって、多分ゆっくり飛ぶと失速が問題になるのではないかと懸念しています。

 TL1の方はキットから改造しようと思っています。こちらの方は翼を最初からそれ用に作らないとまず無理でしょう。

 
戻る  inserted by FC2 system