the

Mosquito

Moth

Laboratory

 
 

サブマフラーの試作と実験

注:この記事はムサシノ掲示板で過去に書き込んだものの焼き直しです。
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マジックインキ

2段式サブマフラー 

2000.04.09 14:54 
2段式サブマフラーの実験 

目的: 
2段式サブマフラーを装着して更なるサイレントフライトにチャレンジすべく実験を行いました。 

 ムサシノ通信にある、マジックインキの軸を利用したマフラーを参考に、右図のような簡単なサブマフラーを製作しました。 
 材料は、 

  1.  マジックインキNo.700「ゴクボソ」 空き容器2本 
  2.  アイエム・排気シリコンチューブ40クラス用 
  3. バスコーク、針金少々 
 まずマジックインキの軸に適当な穴を空けます。次に2本のマジックインキを排気シリコンチューブでつなぎます。抜けないようにしっかりと繋ぎます。 
 更にこのサブマフラーをメインマフラーの排気口に繋ぎ、バスコークと針金で固定します。最後にサブマフラーを針金でメインギヤなどに固定します。 

 結果: 
 騒音については騒音計がないので定量的には計っていませんが、低中速ではサブマフラーなし、サブマフラー1本の場合に比べ、聞いて分かる差が感じられます。 
 しかし中速以上の回転域ではその効果が薄れるようです。排気音以外のメカノイズやプロペラの風切音などがそれ以上に増えるからでしょうか? 
 サブマフラー1本のときと比べかなり効果があるのは、マジックインキの軸を接続するシリコンチューブで出来る「膨張室」が効いているのか?とも思います。 

 出力低下ですが、やはりピーク回転時は若干の回転低下があります(これも定量的には計ってないのですが)。ですがもともと回転を上げずに低騒音化を狙うわけですから、特に問題はないと思います。 

 結論:  
 適当な工事の割には効果があったので、今後更に改良し、使っていきたいと思います。 
 なお現状ではモスキートモス号に、マフラーから40センチくらいもサブマフラーとシリコンパイプがぶら下がっている状態で、カッコ悪いのはほっとくとしても、舵を切ったりしたあと、サブマフラーが振り子のようにユサユサとゆれ、機体もゆすられています。結構笑えます。 
 

マジックインキ2段式

サブマフラー性能試験 

2000.04.21 01:30 
大直径プロペラとサブサブマフラー実験の続き1 

標記の件について追試を行いましたのでその結果について中間報告します。 

 使用器材: 
いつものモスキートモス号 
 エンジン:OS10FP 
 燃料:コスモスカイマスター20(ニトロ20%、ひまし油+合成油) 
 プラグ:エンヤNo.3 

試験方法 
 プロペラを交換しながら、またノーマルマフラー+シリコン排気チューブ20cm、およびそれに以前書き込んだ構造のサブマフラーを装備した状態と、条件を変えながら最高回転数を測定しました。なお、10×5以上のプロペラについては、スロットルは全開ではなく、最高回転数が得られる開度になっています。 

試験結果 
試験結果
プロペラ サブマフラなし サブマフラあり(rpm)
7×3 17730 14400
8×5 10700 10500
9×5 N/A N/A
10×5 6850 6880
11×6 4810 4760
12×6 3850 3780
 サブマフラの効果は、3〜4000rpmでもっとも著しく消音効果が現れます。逆に7000rpm以上では確かに効果はあるもののその他の要因による騒音のため、効果が結果的に希薄なものとなります。14000rpmもの回転ではほとんど効果が分かりません。 

 実際に飛行してですが、7×3は実際には使用しないのですが、あえて使用してみると舵の効きなどかなりナーバスな飛びになり、音もかなり耳触りとなります。 
 8×5では今回の組み合わせではパワー、レスポンスなどもっともバランスの取れた結果を得ています。 
 10×5はレスポンスは穏やかになり、最高回転数はかなり落ちるもののある程度自由度のある出力を得ています。また、最低速度付近での水平飛行時には、実機を彷彿とさせるプロペラの 
 風切り音が楽しめます。(11,12インチよりむしろいい音が出ます) 
11×6ではレスポンスがかなり鈍くなり、静かではありますが無風条件でないと操縦がつらいでしょう。しかし飛ばせないわけではありませんし、飛行時のエンジン音は非常に静かです。 
 12×6は、ほぼ負荷の限界的な感じがあります。音は静かですが、回転の上がらなさは不安に駆られるほどで、アクセルレスポンスはまるで映画で見る第一次大戦機のようです。しかしこれも飛ばないわけではありません。 

 サブマフラの消音効果でもっとも効き目があるというのはやはり10インチ、11インチでのフライトでしょう。このあたりのプロペラを使って飛ばせば、多分うるさいと感じる人は、たとえ近くを飛ばしたとしてもあまりないでしょう。 

 更に追試を続け、一定の結論を出したいと思います。(続く) 
 

共鳴式サブマフラー

その1 

2000.04.21 15:07 
大直径プロペラとサブサブマフラー実験の続き2 

新型サブマフラ 
  マジックインキの2段サブマフラでもかなりの結果を得ましたが、さらなる消音効果をねらい、右図のようなサブマフラユニットを作成しました。 
  このページに記述がありますが、ヘルムホルツの共鳴器の原理を応用して消音を行えるようです。これを試してみることにしました。 
  余談ですが、上記ページのwebmasterは相当マニアックな人で、記述も広範でかつディープなものが多いので皆さんもご覧になったら面白いですよ。 

ヘルムホルツの共鳴器 
  ヘルムホルツの共鳴器に関する公式は、球体に穴を空け、そこからパイプを伸ばした物体の共鳴に関するもので、はしょって言うと、共鳴周波数は、球体が大きいほど、パイプの径が小さいほど、球体の開口部面積が小さいほど、パイプが長いほど、低い周波数となります。 
  この共鳴周波数以外の周波数成分は抑えられてしまうという性質を利用し、人間の耳が聴けない、あるいは聞こえにくい低音領域に排気音の成分を振れば耳障りな排気音は押さえられるという目論見です。 

材料 
  今回の実験では、常磐薬品製南天のど飴缶を上記球体がわりのチャンバーとし、それにマジックインキNo.700(ゴクボソ)を切断したアルミパイプをマニフォルドとしてエポキシ接着剤で取り付けました。 
  また、パイプ長、直径による消音効果の変動を調べるため、内径8mm、肉厚1mm、全長1000mmおよび、内径4mm、肉厚1mm、全長1000mmのアルミ製パイプを用意しました。これらの接続にはアイエム製排気用シリコンパイプ40クラス用(内径10mmほど)を使用しました。 

結果 
  マジック2段マフラと比較して、排気の抜けはかなり良好なのですが、消音効果はほぼ同等です。ただ音質は少々違い、マジックのものが詰まったような音であるのに対し、静かではあるが低音と高音が混じったような音がします。性能評価もしてみたのですが、実際はマジック2段マフラとほとんど差が出ませんでした。 
  1000mmのアルミパイプをチャンバーの排気側に接続して消音効果を試してみましたが、耳で効く限りまったく効果が分かりませんでした。これは内径4mm、8mmともに同様でした。これについては予想と全く違っていたのでもう一度上記ホームページを良く読み返してみると、クルマのマフラは前方から排気管が来てタイコに入り、中でUターンして前方より排気、これをパイプを曲げて後方より排気するとあります。ということはエンジンからチャンバーまでの距離を伸ばさないとヘルムホルツの共鳴器の公式に合致しないのでは?と、後になってから思いつきました。実はその時点でテンプラ工事によるチャンバーの破損があり、後日追試を行って結果を見ることにしました。 

中間的考察 
  7x3プロペラ、サブマフラ付きで14000rpm回ると言うことは、10クラスエンジンの排圧自体はさほどのものではないと結論づけられるのかも知れません。もともと2サイクルエンジンの排圧は、4サイクルに比べて低いという話も読んだことがあります。 
  ある程度排圧が掛かる排気系の方が、高回転型のポートタイミングを持つ2サイクルエンジンの場合、低速トルクを出すことが出来る(抜け過ぎの防止)と言われています。今回の実験ではほとんどこの効果を見いだすことが出来ませんでした。 

  ヘルムホルツの共鳴器の原理を応用した消音については、上述の通り実験方法に間違いがある可能性があるので、追試を行います。 

  これとは別に、バイクの2サイクル用サイレンサーの構造を模倣した、2重筒構造、グラスウール充填のものを実験用に作成してみようかとも思っています。グラスウールを使用することから、廃油の多いグローエンジンでは経時変化が著しく、実用化は難しいとは思いますが、どのような効果があるか、興味があります。 
 

共鳴式サブマフラー

その1 追試 

2000.04.24 13:02 
サブマフラー実験の続き3 

 サブマフラーの実験その3 

  エンジン本体に約200mmのシリコンパイプを接続し、その先にチャンバーを設置、その先に長さ1000mm・内径8mmアルミパイプを配したサブマフラーは、当初考えていたような音質の変化は少なかったことから、再度追試を行いました。 
  エンジン本体に接続した約200mmのシリコンパイプに長さ1000mm・内径8mmアルミパイプを接続、その先にチャンバーを接続して排気音の変化を見ました。(つまりタイコとパイプが逆順になっています) 
  その結果、当初のノーマルマフラーとあまり区別が付かない音質だったのが、相当低音に振られた排気音に変化しました。しかし音量は減少したという印象は薄く、前述参考文献にあったようにヘルムホルツの共鳴器の共鳴周波数以外の音は抑えられたものの、共鳴周波数付近の音に変換されたのだと考えました。 
  従って、次のステップとしては、@さらに共鳴周波数を下げ、パイプ長を短くするために内径4mmのアルミパイプをトグロ巻きしながら使用。チャンバーをさらに大容量化する。Aチャンバーそのものから発生する騒音(いわゆるチャンバー鳴り) 
 を抑えるために、チャンバーの高剛性化、グラスウールなどを使用した外側面での消音などの検討。Bチャンバー内あるいはその先に別の消音構造を併用。 
 以上のような対策を考えています。 
  これにより、より低い周波数の排気音に変換すると同時に排気音のエネルギーそのものも吸収することでこれまでのマフラーよりも耳障りでない排気音が期待できると思います。最も安直には、チャンバー出口に、前に試作していた2段マジックサブマフラーを接続することで試験することが可能です。 
 また前回に書いた別構造のサブマフラーを作ればよいのでしょうが、これについては現在材料、加工法などを検討中です。さらに追試を行い、報告します。 

音はちょうど、ヤマハやスズキのビジネスバイクYB50,K50などのマフラーをちょうど芯を抜いてエンジンをかけたような音です。 
 

共鳴式サブマフラー

その2 

2000.05.15 11:08 
サブマフラーの試験 

  この週末で新型のサブマフラーの試験を行い、かなりの効果が確認出来ましたので報告します。 

  これまでの試験や調査から、サブマフラーへ排気を導く排気管の長さとサブマフラーの容積が消音、とくに高音域のカットに有効であることが分かりましたので、それを追求すべく、新たに製作したものです。 

  効果をはっきりと確認したいので、排気管長および消音チャンバー容積を相当程度大きく取ろうと考え、次のような材料を使用しました。 
 排気管:内径4mm、肉厚1mm、長さ970mmのアルミパイプ排気管アダプタ:内径8mm、肉厚1mm、長さ50mmのアルミパイプ消音チャンバー:直径約60mm、長さ約270mmのアルミ製スプレー缶 
エポキシ接着剤 
 針金、スポンジ少々 

 製作 
  まず、排気管を途中で2周ほど曲げて、全長を確保します。次にこれをチャンバーに接続し、エポキシ接着剤で固定します。最後にチャンバーからやはり4mmアルミパイプで作った排気口を取り付けます。 

 機体への取り付け 
  試験と言うことで仮付けにしました。得意の針金で縛り付けました。チャンバー及び針金が機体に直接触れる部分は一応スポンジで保護しました。 
 排気管が非常に長く、アルミ製のため、放熱効果が必要十分であろうと考え、チャンバーなどの熱問題はないだろうと言うことで特に熱対策は行いませんでした。 

 試験結果 
 地上テスト 
  素晴らしい結果を得ました。別添付のWAVファイルを確認していただければすぐに分かると思いますが、音はするもののそれが排気音なのかメカノイズなのかプロペラの風切り音なのか、はっきりとは分からないほどです。ノーマルマフラーでもさほどうるさくないと思っていたのですが、比較すると雲泥の差です。 
  心配していた性能低下については、プロペラ8×5、12×6しかテストをしていませんが、ほとんど装着前、後とも差が認められません。8×5で1万回転以上、12×6で3800回転前後を得ました。これまでの経験では、モスキートモス号の通常飛行においては、この程度の出力で十分な性能を得ることが出来ます。 

 飛行テスト 
  翌日の早朝無風時間帯に飛行テストを行いました。 
 12×6プロペラで、約3800rpmで滑走離陸します。機体がかなり重くなったせいでしょうが、なかなか浮き上がってはくれません。やっと浮き上がったら今度はなかなか安定して飛んでくれません。重心位置はほとんど問題ないはずですので、これはかなりの重量増と、重心から離れた場所に相当な重量物が積載されたためと考えました。 
  プロペラを8×5に変更してテストを続行しました。しかし出力は十分得たもののやはり重さは如何ともしがたく、十分飛ぶものの操縦がかなり忙しく安定が悪くなってしまいました。 

 結果の考察と反省 
  消音効果については相当の結果を得たと考えます。これは、排気管の延長および断面積の減少、チャンバーの容積拡大によるところが大きいと考えます。共鳴周波数は排気管の長さ、およびチャンバー容積の自乗に反比例します。つまり排気管を2倍の長さにすれば共鳴周波数は(ルート2)分の1(約0.71)倍になります。 
 したがってこの方向で今後マフラーを設計すれば一定の性能を容易に得ることが可能になると思われます。 
  次に飛行機に実装する点においては、今回の試作品では重量がありすぎ、飛行性能に与える悪影響が無視できません。重量が3,40gで解決できれば性能への影響も無視できると思われます。これについてはバルサ製マフラーが試作されていますが、これが有効ではないかと考えています。排気管については薄肉のアルミパイプを入手できればもっとも望ましいと考えますが、入手は難しそうです。これについては管ではなく、マフラー内の迷路構造で全長を確保する方法も考えられます。 

 次の試験に向けて 
  軽量な素材を調達し、チャンバーを作り直したいと思います。また同様に排気管についても何らかの軽量化を検討します。さらに、ペットボトルを利用した超巨大チャンバーのサブマフラーも計画中です。 
 

 
   
 
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