the

Mosquito

Moth

Laboratory

 
 

超軽量仕様「モスキートモス号SL(SuperLight)」の計画

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テーマ 

ムサシノ通信にある、新潟県の馬場さんという方の記事で、モスキートモス号スペシャルがエンヤ06エンジン搭載で560gというものがあります。実際にモスキートモス号を製作し、比較的軽量なメカを搭載しても800gを簡単には切れないという現実があり、それならば軽量化を突き詰めていけばどこまで行けるのかという疑問に対する確認を行うべく、軽量仕様を企画してみました。 
  当面の目標として、乾燥重量600g未満という値を設定しました。 

方法 

1.軽量なメカ、バッテリを使用する。 
2.各部構造を検討し、肉抜き等軽量化できる部分を探る。 
3.軽量なサンダータイガーGP07エンジンを使用し、ラジアルマウントを利用してエンジンマウントの軽量化を図る。 
4.胴体等の構造を変更し、軽量化と高剛性を実現する。 
5.Vテールを採用し、尾部の軽量化を図る。 
 

作業開始 

軽量なメカ、バッテリを使用する 

メカはとにかく軽量なものを使用したい、しかしメンテや部品の入手を考慮すると国産製品を使用するほうが幾分か安心できるのではと考慮し、JR製品で統一しました。 
受信機:R500 
サーボ:NES371×3 
バッテリ:JR純正120mAh 
スイッチ:JRマイクロ電源スイッチ 
 

各部構造を検討し、肉抜き等軽量化できる部分を探る 

まず、主翼リブを肉抜きし、軽量化を図りました。肉抜きにはドレメルのリューターを使用しましたが、当初カッターを使用していましたが実際はグラインダーを使用したほうが格段に早く仕上がることが後でわかりました。 
次に下面プランク材に丸穴をあけ、軽量化しました。上面プランクには両翼単に1箇所ずつ軽量穴をあけました。このため捻り剛性が幾分低下したように思いますが、フィルムをしっかりと密着貼り付けすることで捻り剛性を補う方針です。 
 

軽量なサンダータイガーGP07エンジンを使用し、ラジアルマウントを利用してエンジンマウントの軽量化を図る 

サンダータイガーエンジンはマフラーをつけた状態で95g、プロペラをつけて106gほどになりました。これはOS10FPマフラーなしで115gほどという重さから見ると格段に軽量といえます。またビームマウントだけでなく、ラジアルマウントがそのまま使用できるので、エンジンマウントを簡略軽量化することが可能です。サンダータイガー07についてはかなりの性能があることを確認しています。モスキートモス号には十分だと考えます。 
 

胴体等の構造を変更し、軽量化と高剛性を実現する 

胴体の中でもっとも特徴的な、腹の部分を切り取り、軽量化と有害抗力の低減を図ろうと考えました。また胴体幅を縮め、前方投影面積をさらに縮小しようと考えました。自動的にトラス部分も若干スリムになりました。 
腹の部分がなくなったことにより、エンジン搭載位置が上がり、推力線が主翼のすぐ下を通る、肩翼機となりました。重心位置の関係からおそらくダウンスラストは必要なくなるでしょう。 
また、脚を省略し、ハンドキャッチあるいは胴体着陸仕様としました。 
 

Vテールを採用し、尾部の軽量化を図る 

オリジナルの水平安定板の部品を使用して、2分割構造にした後、V角度120度で接合しました。水平尾翼容積は減少するはずですので、これを補うため、舵面を大型化し、尾翼翼短部分にはつりあい部を設けました。舵面が前後に伸びたことにより、尾翼の風圧中心が後退して、モーメントアームが大きくなっているはずです。 
 

その他 

以前ムサシノ掲示板で、高崎さんが書き込まれていたことによりますと、島崎所長によればフラップを10mmほど拡張するとよりよくなるという情報がありました。これを受けて今回、フラップ幅を全幅に渡り20mm拡張しました。これにより翼面積はおよそ39.5dmとなりました。もし全備重量が550gとなれば、翼面荷重は13.5g/dm2、500gで仕上がれば12.7g/dm2となります。これは相当な値だと思います。 
 

製作 

特別に改造によって生じた問題というのはありませんでしたが、製作の問題は発生しました。 
 まず、主翼組み立て中にねじれが発生し、しかも翼端を捻り上げるようなものだったため、そのまま放置できず、左右の翼を入れ替えて捻り下げ付き翼とすることにしました。しかしその結果、接合部分リブにあらかじめつけてあった上反角が半分になってしまいました。これは安定性とラダーによる旋回性能に影響が出る恐れがありますが、作り直すわけにも行かず、やむを得ず半分の上反角ということにしました。しかし逆にいえば上反角が少ないので揚抗比は理屈ではよくなるはずです。 
 V尾翼は、いったん切り離した水平尾翼中央部材を、組み立て後紙テープで仮止めし、断面にエポキシ接着剤を充填して接着することにしましたが接合後の剛性が不足したため、10mm角のバルサ材をバルサカンナで削り、三角形の補強材を製作、接着しました。その結果、剛性を確保することが出来ました。 
 

生地完成と被覆

何とか生地を完成し、次は被覆です。まずエンジンマウントに耐燃料塗装を施します。今回は塩ビで仕上げることにしました。塩ビは水道パイプ用接着剤を少しビニローゼ用薄め液で薄めて塗りました。これで薄めて良いのか良く分かりませんが、特に問題はなかったようです。 

 その際、ムサシノのキットに入っているエンジンマウント用のベニヤは木口の部分が塗料を吸いやすいので、塩ビにとの粉を混ぜて塗りました。この効果は大きく、以前ウレタンを塗装したときは何回塗っても吸い込んでいったのが今回は一回で目止めが出来、大変良好でした。 

 塩ビで塗装したあと、乾燥を待って色塗りを行います。今回はエンジンマウントはただの平板で、ノーマルのような形ではないため、色くらいは塗ってないとあまりにも様になりません。塗料は模型用にもいろいろありますが、今回は安価なビニローゼ塗料を使用しました。これはホームセンターなどで売られていますが、100ccくらいの缶で400円弱と安価で、これ一缶でエンジンマウントなら10個以上は塗れそうです。 

 以前オートバイのレストアにも使用したことがあるのですが、耐油性は特に問題がなかったと思いましたので使用を試みました。ただビニローゼ塗料はかなり濃厚なもので、薄めて数回に分けて重ね塗りしないとあまりにも厚く重くなってしまいます。 

 被覆はオラライトを使用しました。オラカバは使用したことがありましたが、オラライトは初めて使いました。非常に薄いのと、収縮が思ったほど強くないと感じました。ある程度の張力があるほうが強度的には望ましかったのですが仕方ありません。しかし、実際仕上げてから確かめてみると、やはりそれでも被覆したことによる剛性の向上は確かにあります。 

 被覆する際には周囲を固定し、中央部分は収縮させるとつやがあるきれいな仕上がりとなりますが、ひねり剛性的には不利となり、今回のような強度に余裕のない場合は全面を完全に接着することにします。特にフラップなどははっきり分かりますが、全面を密着させることによって強度が相当程度上がります。 

 フィルムを密着させるには、低温で作業を行うことが必要です。高温で収縮させるのはもっとも後に行います。接着を高温で行うとすると、フィルムとバルサの間の空気が膨張し、接着できないままとなってしまいやすいので注意が必要です。言うまでもないことかもしれませんが、フィルムの周辺部分をしっかりと固定していないと、中央部を接着や収縮させた際に周辺が無残にはがれてしまいます。 

 まだ完全に被覆が終わってはいませんが、エンジン、メカなどをすべて総合した状態での重量は450gとなり、残りの接着部分とフィルムで50gを使用することはないと考えます。この段階で500gを切る乾燥重量が見えてきました。現時点では完成時乾燥重量499gを目標とすることにしました。これは翼面荷重12.6g/dm2で、かつてのムサシノのピュアグライダー「スカイコアラ号」に全く遜色ない値となるはずです。(注:後で分かったのですが、スカイコアラ号はもう少し翼面荷重が高いようです。ムサシノホームページから製品紹介に入ると歴代ムサシノ機リストがあります。) 

2000.8.17 
コクピットはこれまではキット付属のカッティングシートを窓型に切り、貼り付けていましたが、今回は趣向を変えまして、クリエイターの酒見亮介先生にデザインをお願いし、見栄えの良いコクピットの絵を貼ってみることにしました。 
 さすがにプロで、MML側の「地表から成層圏まで飛ぶ、非軍用特殊観測機で、パイロットは頑固そうなおじさん」という無茶な要請に対しても非常にまとまったイラストを作成していただきました。 
 現在印刷の段取り中ですが、完成次第MMLに乗せる予定です。現在のものはグライダーなど、細長いキャノピーのものにマッチしそうですが、より汎用的なデザインも途中で作成されており、あるいは何らかの方法で提供が可能となるのかもしれません。 

2000.8.17 
 オラライトで被覆作業を行っていましたが、まるで食品用ラップフィルムのように薄いので、フィルム同士を重ね合わせると簡単には外せない事になってしまいます。裏のクリアーフィルムを剥がすときは細心の注意を払って作業してください。 
 さすがにオラカバに比べても軽いようですが、強度もそれなりのようです。手で引っ張るとちぎることが出来ます。 
 また、オラライトだと1ロールでは主翼の全面を被覆するだけでやっとです。機体や尾翼を被覆するにはあと1本買い込んでおく必要があります。 
 私の場合、クリアーイエロー1本で作業していたのですが、切れた時点で近所の模型店には同色がないことが分かり、残念ながら胴体と主翼が別色になってしまいました。とりあえず、胴体は透明で被覆し、トラスはビニローゼでイエローを薄く塗り、胴体前部は木の肌を生かして仕上げようかと思います。 

2000/8/20 
 オラライトは結局透明を使用することにしました。トラスや胴体側面は木地がそのまま透けて見え、見様によっては面白いかも知れません。 

 ほぼ被覆完の状態で重量を測ると498gで、非常にきわどいところです。あと水糸リンケージとエンコンリンケージが残っています。また、以前の前重心のことがあり、Vテールにしている事もあってどうしても後ろ重心にはならないだろうと思っていたところ、普通のメカ積みでは図面よりも20mmほど重心が後退してしまっています。これには参りました。 

 急遽ボンネット内にバッテリーを移動することを検討し、何とか収めては見たもののそれでもまだ難しい状況です。やはりエンジンが軽くなったことで重心が取り難くなっています。尾翼翼台を肉抜きしてみてもやはり厳しいです。あとは、フラップを拡大したことによる揚力点の後退がどれだけ相殺できるかということにかかってくるでしょう。つまり、フライトテスト待ちということです。 

 天井から糸で吊って写真撮影を行いました。こうやって見るとVテールはやっぱりかっこいいです。胴体が小さいので主翼が異様に大きく見えます。 

2000.8.21 
メカ積みを始めました。まずエンコンサーボですが、ボンネット内はタンクで一杯なのでとてもピアノ線が通せそうもありません。思案の結果胴体左にスリットを開け、そこからピアノ線をクランク状にして引き出しました。ここにはノイズレスパイプを通してあり、あとでプラスチックなどのカウリングを使うと密閉構造にすることが出来るはずです。スロットルアームの取り回しもかなり変則的になりましたがなんとかまとめました。 
あとはラダベーターですが、出来るだけサーボを前寄りに積みたいのと、バッテリをもしかしたらキャビン前上部に搭載する可能性もあるのであまり高いところにサーボを積みたくありません。重心との兼ね合いがきついところです。 

2000.8.25 
 メカ積み完了しました。操舵用サーボは2つを互い違いに配置して、キャビンの出来る限り前に置きました。 
 リンケージはムサシノ式水糸リンケージで、サーボホーンからラダーホーンまでを同一平面上に置くように配置して接続しました。そのおかげか遊びもあまりなく、比較的しっかりした感じで動きます。しかし、ラダーホーンの一番内の穴に通したせいか、ニュートラルがちょっと甘いような感じで、舵が残りそうです。サーボホーンをもっと大きいのにしてラダーホーンも一番外を使えば、こんなにはならないのですが…今回はこれで妥協しました。 
 さあ、これで完成です。多分飛ぶだろうとは思いますが、とても緊張しますね。明日はどうなるか。祝杯をあげるか修理に明け暮れるかは、神のみぞ知る… 
 
 

ペットネームが決まりました。モルフォ(Morpho)です。

ムサシノ式モスキートモス号SL型”モルフォ”というわけです。 モルフォとは南米などに生息する巨大な蝶の種類です。 

 
生地完成状態。この状態で全部メカを含めて450gでした。 
 

 
被覆完了後。エンジンはサンダータイガーGP07。プロペラはAPC5.7×3。プロペラと比較すると胴体の細さ(オリジナルと比較して)が分かります。 
 

 
サイドビュー。プランクの軽量化は上面は翼端に左右1ヶ所ですが、下面は中央部を除く全翼に軽量穴を開けています。剛性は落ちましたが、カバリングフィルムの張力で何とか持っている状態です。 
 

 
恐らくこの角度が最も美しく見えるのではと思います。 
 

 
透明のオラライトでしたが、これなりに美しい仕上がりとなったと思います。 
 
 

 
 

初回試験飛行

2000.8.27 
 今日は、早朝からモスキートモス号改軽量実験機のテストを行いました。結果から言うと、65点の出来というところでしょうか。 
 

1.装備

  受信機 JR R500 
  サーボ JR NES372 3個 
  バッテリー  120mAh 
  エンジン サンダータイガーGP07 
  燃料タンク アイエム50cc 
  乾燥重量 520g 

 残念ながら目標値の499gには及びませんでした。現状を見ると軽量化もかなり困難なところまで来ている感があり、構造等を更に見直さないとこれ以上は難しそうです。まあ、当初目標の600gはクリアしてはいます。 
 

2.滑空試験

 草が生えているところで滑空試験を行いました。まず、軽く手投げするために走ってみました。するとこれまでのモスキートモス号(ノーマル、1000g)よりも低い速度から強い揚力を感じます。延長したフラップの効果でしょうか。 

 そのまま手投げすると、スーっとまっすぐに滑空して行き、この時点での安定性には全く不安がありませんでした。左右に舵を切ってみますが、ノーマルと比べ舵の効きが弱いように感じました。昇降舵については十分な効きがあり、不安はありません。 

 心配していた重心位置も問題はないようなので、このまま発進することにしました。 
 

3.動力飛行

 エンジンを始動してニードルをあわせます。この日のために半年も前から準備だけは出来ていたエンジンですが、好調に回ってくれています。 

 やはり音はいつものサブマフラー仕様に比べ格段にうるさく、プロペラの風切り音も、およそ20000rpmも回るエンジンですのでサイレンのようです。 

 いよいよ手投げです。機体を信じるしかありません。手を離れた機体はぐんぐんと高度を確保していきます。エレベーターを若干ダウン、エンジンを絞り、旋回します。やはり旋回性はどうも弱いようです。 

 低速低空水平飛行にいれます。軽量化の恩恵か、拡張フラップの性能か、恐ろしく低速でも失速することなく飛んできます。およそ時速10−12kmが最低速度のようです。数字では性能は表せないのですが、当初目標の低速性能追求という点については、満足できる性能を得ました。 

 エレベータの効きは実によく、小さい半径の宙返りもたやすく出来ます。あまり無理は出来そうにありませんが、それなりに俊敏に動きます。しかしラダーは、強く切ってもテールが流れるだけで、暫く経ってから僅かに機体がバンクを始めるような有様で、どう見ても上反角が不足しています。ロール軸回りの自律安定はまったく問題ないレベルですが、上反角はやはり標準通りにする必要があるようです。 

 うちのGP07はどうも機嫌が良くないようで、全開飛行中にエンストすることがしばしばあります。全開で飛ばすと相当な速度が出ており、下手をするとノーマルのOS10仕様モスキートモス号よりも速いかもしれません。機体及び尾翼回りの抗力が減ったせいでしょうか?エンジン停止後の滑空もノーマルよりはかなり遅く、伸びるというわけではないのですが沈下が少なくて扱いやすいものでした。 
 

4.不具合点の確認検証

 主翼の上反角不足により旋回性が低下しているという予測のもと、ノーマル主翼を交換装備して試験飛行しました。すると舵の効きについてはノーマルに比べてもまったく遜色のないものとなり、ロールすら出来そうな勢いです。これで、主翼上反角が不足しているために旋回性が低下したものと断定しました。逆に、実験機の主翼をノーマルの胴体に装備して飛行したところ、やはり格段の旋回性低下を確認できましたのでこの結果を裏付けることが出来ると思います。 

 なお、実験機主翼をノーマル胴体に装備した場合、ラダーの効きは実験機のV尾翼の場合よりも強い場合がありました。これはノーマル胴体の方が若干修理ミスで曲がっており、異常に右旋回が強いこともあるかもしれません。左旋回は似たようなものでした。V尾翼がコンベンショナルなものと比べて効きが悪いということを示唆できるまでにはいたらないと判断しました。 

 余談ながら、新造した主翼をノーマル胴体に装備し、重量およそ960gで飛行した状態でも飛行速度はやはりノーマルのものに比べ低下しており、改めて拡大フラップの働きを確認しました。 
 

5.その他の不具合

 主翼、胴体ともオラライトでカバーしているのですが、オラカバに比べやはり弱いようで、胴体着陸となった際若干剥げたり、切れたりしているようです。この点については軽量仕様メインギアを装備して着陸させればいいのですが、重量が心配になります。 

 GP07がエンストする件についてはまだまだ慣らしが甘かったのかもしれません。泡を噛んでいるというわけでもなさそうなので、これについてはさらに調べていきます。 
 

6.まとめ

  • 主翼上反角はノーマルの値を少ない方に変更することは出来ない。
  • フラップを全翼幅に渡り20mm拡張したが、低速性能が一層改善された。
  • V尾翼の効果については特に不安はない。
 

7.感想

 旋回性の低下はかなり辛いものがあります。上反角を通常にすべく工事をするのもこの段階からでは相当困難かとも思いますが、これだけ工数のかかった主翼を作り直すのはあまり効率が良くありません。まだ未定ですが、翼端を延長してさらに上反角の強い部分を作るとどうなるか試そうかと思います。 

 重心位置については、バラストを装備して標準位置にあわせて飛行してみたのですが、これについても操安が改善されたとは思えない結果となり、特に後ろ重心とは言えないような状態です。(舵が残る感じがない)より取り扱いの簡単なキャビン内バッテリ室を設けたいと思います。 

 今回は主翼上反角以外は、工作上すべてにわたり非常に満足の行く完成度となりました。自分でも驚いているのですが、一度作った経験から間違ったり汚くなりそうな仕上げの個所が分かっているのでそれらに十分注意して製作しました。自分で言うのもなんですが、会心の出来だったと思います。 

今回の報告は以上です。 
 
2000.8.30 
 主翼の上反角についていろいろと考えました。そのなかで、 

  1. 翼端をさらに延長し、翼端二段上反角とすれば旋回性は確保できるのではないか?→加工が面倒そうで、一定の面積がないと効果が不安。重量的にも難がある。
  2. 主翼中央を切断し、通常の二段上反角に改める。→カンザシを新設するにしても強度は不安。重量的にもやはり難がある。
  3. 現在の接着部分を切断分離し、切削して標準の上反角になるよう接合しなおす→接着面だけを切断するのはかなり難しい。
 このように考えた結果、どうせ切り離しは難しいし、接合は単純に貼りなおすのが最も簡単で、重量増にもならないということなら第三の方法を採用したいと思いました。 

 そこで、伝家の宝刀ドレメルを引っ張り出し、カットオフウィールでギリギリと切断をはじめました。切り始めてみるとエポキシ樹脂はバルサを切断するのに比べ手ごたえやすべりも扱いやすく、リブを傷つけずに案外うまく切れてゆきます。1時間もあれば両翼を切断できるのではと思います。 

 しかし途中、カットオフウィールがちぎれて飛ぶというアクシデントがありました。切断を続けて疲労したのか、熱を持って強度が落ちたのか…それに切断の深さが5mmくらいで、これでは不足です。ちょうど家族からも騒音の苦情が出たので作業を中断しました。サイズが倍くらいあるウィールがキットに入っていますので、すぱっと切れるかは分かりませんが、これを使ってみようと思います。今日の夜切断と再接着ができれば、明日接着面の仕上げと被覆をやって、土曜には再度テストできるかもしれません(出勤予定ですが)。 

2000.8.31 
 主翼の切断作業を行っていました。工事のミスで規定よりも少なくなった上反角を正常な値に直すため、翼端上反角を決めている接着部分を切断する作業をしていたわけです。 

 ドレメルのカッターを使っていました。はじめは直径2センチくらいの砥石のようなカッターで切断を試みましたが、切るのに時間がかかり、また直径が足りなくて翼を切断するには至らなかったため、直径4センチほどのカッターに交換して切断を開始したところ、非常に速く切断が進み、数分程度で切り離しに成功しました。 

 しかし、直径が大きい分、深く掘り進むときにずれが生じ、接着剤以外のバルサ部分もかなり削りこんでしまいました。このため翼中央部側のリブが亀裂が生じてしまいましたが、ここについてはエポキシ接着剤で確実に固定すれば強度的な問題はないのではないかと思います(Dボックス部分、スパー、及び後縁材で強度を確保しているはず) 

 作業は注意してやれば出来ないことではないのですが、問題は大量の粉塵と騒音です。屋外で、問題のない時間帯に行わないとまずいです。 

 上記理由により、次の切断作業は日曜日の日中になります。と言うことは今週は試験飛行できないということです。(夜は遅いし休みも少ない。サラリーマンとは辛いもんですなあ) 
 
2000.9.1 
 主翼の切り離し作業自体は進みませんが、切断面をよく見てみると接着剤を切ったというよりもリブを1つ削り落としたというような状態になっていて、このままつなぐと強度的にどうなるのかよく分かりません。仕方ないのでバルサを切り出してリブを作ることにしました。幸い組み立てていないキットがありますので、そこから型を取れば出来そうです。 

 初飛行の模様をビデオに撮っていたので昨晩見直していろいろと考えていました。それを見ていると、エンジン停止後に滑空して着陸しますが、まだ滑空速度が遅くてもいいのではという感があります。重心位置は標準からすると10mmくらいも後退しているはずですが、更に後重心としてみてどう変化するか確認したい気がします。 

 それにしてもV尾翼のスマートなテール周りと、翼弦、翼幅ともに大きな主翼の存在感の対比、そしてそれをつなぐ細いクリアのトラス胴体がなんともいえない雰囲気をかもし出しています。いかにも実験機という感じがしてすっかり気に入ってしまい、つい何度も見直してしまいました。 

 しかし、主翼を旧(1号機)のものに交換しただけでまるで違う操縦性になるのがあらためて確認出来、上反角の設定というものは案外難しいものだとの認識を新たにしました。 

 GP07はきちんとしたマフラーが付属していますが、やはりこのままでは音が少々うるさいので、サブマフラーの装着とプロペラの選定を詰めていかなくてはならないようです。 
 

試験飛行直前の写真

 
白々と明ける朝5時半 
 

 
とにかくスリムに出来ました 
 

 
これからいよいよフライトです

2000.9.4 
 この週末はあまり作業がはかどりませんでしたが、とりあえず主翼の三分割は完了しました。またその際、リブを温存して切り離すことが殊のほか難しく、結局リブは1つを残して3枚作り直すことになりました。 
 ところで切り離した断面を見ていると、翼型がよく分かります。これが翼断面なんだなあ等とあたりまえのことを感心してみていました。それにしてもフラップが付くということは、翼型の特性そのものまで変わってくるのではないかと思います。しかもフラップを固定で持つということはかなり斬新なアイデアだったのではないかと思います。 
 なぜ、わざわざ別体のフラップを固定したのでしょうか。加工コスト?作業性?機能上問題なし?いずれにしてもこの固定フラップあってのモスキートモス号だと思います。 
 
 
これがモスキートモス号(モルフォ)の「翼断面」。白い矢印で示している部分がノーマルより延長されたフラップの長さ。
2000.9.4 
 リブを切り出してみました。材料は2mm厚のバルサです。ホームセンターで買ってきたやつなのですが、ソフトバルサのようです。ムサシノのリブ材に比べ格段に柔らかいです。ムサシノが材料をしっかり選んでいると言うことなのでしょうね。 
 まだ抜いていなかったリブ材をきれいにリブを打ち抜いて、残りをテンプレートにして現物バルサにマークしていきます。そしてアートナイフで切り抜きます。さくさく切れました。 
 次に整形です。いくら慎重にやってもやはり手作業で、3枚のリブを別々に切り出すわけですから、それなりの精度しか出ません。重ね合わせてサンドペーパーで整形しました。これで何とか使えそうなものが出来ました。 
 やってみて分かったのですが、切るのはそんなめちゃくちゃにおおごとではありません。木目に沿って切る部分も多いので作業もさほど手間取りません。ですが正確にやると言うことはなかなか大変です。 
 リブの肉抜きですが、面倒ですがやはり他のと同じように穴をあけるつもりです。 
 
2000.9.7 
 昨夜は早速出来上がったリブを組み込んでみました。 
 中央翼から工作をはじめました。まず、前のリブの残骸をカッターできれいに取り除きます。これは案外と簡単でした。次に出来上がったリブをはめ込み、瞬間で浸透接着をします。このとき、上反角を前よりもきつめに付けなくてはならないためリブを斜めに接着します。このとき普通なら上反角ゲージでやるのですが、今回は左右翼のリブが規定どおりではないのでゲージが使えず、適当にやってみました。 
 ところが今度は角度を付けすぎ、そのままつなぐと規定の上反角をかなりオーバーする角度になることが分かってきました。 
 また前みたいに角度で泣くのはこりごりなので、隙間が開くのを無視して規定角度で接着しました。隙間が1mmくらい開くので、ここにバルサを詰めてエポキシを加熱して浸透させるしかなさそうです。 
 さあ、左翼のこの作業と右翼の接合を今晩、そして切断面の整形と被覆、ダウンスラスト、サイドスラストの調整を明日出来れば土曜日はテスト再開です。知人もフライトを見たいと言っているので今度は撮影助手がつくかもしれません。 

2000.9.10 
 試験飛行を行いました。 

 今回の仕様は、モルフォ胴体にノーマル主翼で、バッテリーはやはり120mAh、推定乾燥重量540gというものです。 

 エンジンが若干不調で、あまり飛ばしこめなかったのですが、主に操縦性に関する試験を改めて行いました。 

 まず方向舵の効きですが、ノーマルのモスキートモス号と比較して何ら違和感のない、ごく普通のものでした。ラダーロールでハーフロールし、背面飛行にしましたがこれも問題なく出来、場周飛行できました。 

 昇降舵についても十分な効果があり、これもノーマルと別段違いのない効果を得ました。 

 いずれも、動力飛行中及び滑空飛行中においても十分でかつ自然な操縦性を得ました。着陸時には短いダイブで加速し、地上すれすれを滑空して目の前でフルアップを打って直立、失速したところをハンドキャッチするということも難なく出来ました。 

 その他、動力飛行時の加速性能はGP07が十分な性能を持っているにしても滑るような滑らかさで、胴体の小型化のせいかV尾翼の低抵抗のせいかは分かりませんが、V尾翼にはいまのところとてもよい印象をもっています。 

 帰宅後、GP07の不調を直すべく、燃料系のメンテナンスを行いました。 

 まず回転が非常に安定せず、エンストしやすい点についてニードルバルブ周辺の詰まりがないか分解掃除を実施しました。特段の汚れ等は認められませんでした。 

 次に燃料パイプから空気を吸っていないかを確認しましたが、通常地上運転ではまったく異常が認められず、念のためステンレス線でシリコンチューブを絞めて固定しました。同様にプレッシャーパイプも固定しました。 

 以上の対策を行い、エンジンテストを実行しました。その結果、運転中にエンストする現象は高速、低速運転ともなくなり、おそらくこれで飛行中のエンストは回避できるのではと思います。 

 地上運転で気づいたのですが、本機はエンジン低速(おそらく5000rpm程度)でかなりの振動が発生しています。その振動のせいか機体内部からの共鳴音が大きく、これは主翼を固定したらおそらく聞こえなくなる音だと思いますが、何の音なのかタンク、受信機その他を触りながら探ってみましたが、結局分かりませんでした。キャビンそのものの共鳴の可能性もあります。 

 このままではメカトラブル等が心配なので、メカをスポンジ巻き、ラバーマウントすると同時にエンジンをフローティングマウントできないか考えてみるつもりです。 

 その後主翼の再組み立て作業に入りました。上反角の付け過ぎの問題は、反対の翼を組むときはその点を考慮して組んだせいか極端な隙間はなく組み立てられました。 

 しかしそれでも細い隙間の間から軟化したエポキシ接着剤が軽量穴を通り抜け翼内に流入し、仕上がりが一部みっともなくなってしまいました。やむを得ず隙間にバルサの削り粉を針で押し込み、低粘度瞬間で固定して隙間を埋めました。ここにエポキシ接着剤を加熱して軟化させたものを染み込ませて固定しようと思います。 

 なおエポキシでの接合面にはマスキングテープを効果的に使用すると、でこぼこ、たれなどないきれいな仕上がりになることが分かりました。これまでは下面部分のもれ止めに使用することはありましたが、上面の流れ防止に積極的に使用するとよさそうです。 
 

 
2mmのバルサ板から切り出したリブ。面倒だが、出来ない作業ではない。
2000.9.17 
 主翼改修工事も完了したため、試験飛行を行いました。 

 本日17時福岡の天候は晴れ、風速は4mほどのむらのある風で、瞬間的にはさらに強い風が吹いていましたが、もともとこらえ性のない私なので即攻で飛ばしました。 

 横風にはオリジナルモスキートモス号以上に弱くなっているようです。重量が520gでその辺はやむをえないようですが、向かい風にはやはりオリジナル同様、平気でぐんぐん突き進んで行きます。なんとか2タンク(50cc*2)、30分ほどフライトしてきました。 

 主翼の改修前に問題となっていた旋回性ですが、今回は舵角が少ないのか(減らしました)旋回のペースはゆっくりですが舵は確実に効きます。事実上問題のない操縦性を手にしました。 

 エレベータの効きは予想以上であり、1号機の拡大エレベータ仕様よりもよっぽど小さな半径およそ1.5mくらいではないかと思う宙返りを何回も連続で行いましたが強度は問題ないようです。練習中のラダーロールも下手ながら回ってくれます。 

 一番の目的だった低速性能は、風が弱まった時間にはほとんどアイドルより少し上の回転数でゆっくり飛んできて、さすがに軽量化しただけの甲斐はありました。 

 しかしやはり驚くのはその高速性能です。OS10でフルスロットル(7*4)の速度よりよほど速く、上昇力も相当凄いです。GP07エンジンはかなりのパワーを持つことを再確認しました。それにしても(5.7*3ペラ)20000rpm弱回っているようですが、凄い音です。もちろん低速でもきちんと回りますのでサブマフラーと大き目のペラさえあればなんとかなりそうです。 

 サイドスラスト、ダウンスラストも設定して試してみました。かなり大き目のダウンスラストはちょうど良かったようで、極端な頭上げ傾向は押さえられました。逆にサイドスラストは若干付けすぎのきらいがありますのでテストを重ね調整したいところです。 

 今回はバッテリーは燃料タンク室から主翼下に移してきまして、それに伴い重心位置が若干後退しているはずですが、まだまだ後ろ重心の傾向はあまり現れていません。むしろもっと滑空が遅くてもいいなと思うくらいですので、さらに重心位置を後退してみて、どうなるかを試してみる必要がありそうです。 

 それにしてもこれだけ軽量化して剛性が落ちているはずなのに空中分解しないのはモスキートモス号の主翼がいかに強く作られているかが示唆されるのではないかと思います。被覆フィルムを強く密着させたのも良かったのだと思います。この経験を別のモスキートモス号スペシャルに生かして、強靭で軽量な翼を作りたいと思います。 

 今後、サイド、ダウンスラストの再調整とプロペラの大径化、サブマフラー、軽量脚の装備、重心位置の詰めを行っていきたいと思います。 

 なお最後になりましたが、着陸は本日は草の上に着陸でしたが、地上20cmで頭上げ失速させ、そのままばさりと落としました。とても穏やかに着地しました。 

 本日の試験は成功だったといえると思います。 
 
 
 

 
手投げ発進のシーン。左手からの強風で右旋回を余儀なくされる。 

 
低空飛行する本機。 

 
操縦者の目前でエンジン全開し、急上昇に移る本機。 

 
低空で旋回中。十分な操縦性。 

 
真っ正面から進入。胴体の極端な小ささがわかる。 

 
いったん給油し、再始動。手で掛かる。

2000.9.22 
 モルフォですが、やはり舵角が思ったほど取れていないのと、ラダーホーンの一番内側にリンケージしたものでどうしてもニュートラルが甘く、正確さに欠けるきらいがあります。もともとサーボ、受信機は重心が心配だったことがあり、積載位置を出来る限り前に持ってこようとして、2つのサーボを組にして設置した関係上大きなホーンが使えず、上記のような状態になっていました。しかし試験飛行の結果、重心位置がまだまだ後ろのほうがよさそうだという事が分かったため、今度はサーボをタンデム配置にして、大きいホーンを使用してより確実で大きな舵角を実現すべく、メカ積みをやり直そうと思っています。 

 以前ムサシノ掲示板で、きむらさんがおっしゃっていた、Vテール機のアップ・ダウン側の差動について、JR MAX66ではどのようにすればいいのか現在よく分かっていません。旋回時に出るという不自然な頭上げ傾向については現在特には感じないのですが、エレベータのアップが非常に良く効き、ダウンは普通という傾向をより自然に修正できればベストかと思って検討している最中です。まあ、不可能であったとしても今回の場合、シビアな競技でもないわけで、パイロットが慣れれば済む話ではあります。 

 モルフォ完成まであとわずか。ゴールも見えてきました。

2000.9.27 
 モルフォのリンケージをやり直しました。 
 まず、ラダベータ−用のサーボ2つをタンデム配置にし、胴体の後ろ寄りに搭載しました。次に水糸の張りなおしを行いました。その際サーボホーン、ラダーホーンともに最も外側の穴に接続しました。 
 以前の経験からも分かっていたのですが、この接続にすると舵角も大きく取れ、少々の負荷でも舵面はぐらつかず、逆に水糸の張りが少しくらい甘くなってもまったく影響しないという実に都合のよいものです。一つ心配なのは同じストロークでも水糸の移動量が大きくなるので、胴体出口の穴で糸が磨耗しないかと言うことがあります。何らかの潤滑を考えようと思います。 
 

2000.10.1 
モルフォの試験飛行を行いました。 

セッティング

 本日のセッティングは以下のようなものです。 
 
プロペラ 7*3,8*4(いずれもAPC製)
燃料 コスモスカイマスター(ニトロ20%)
プラグ OS#8
バッテリ 120mAh
燃料タンク 50cc
乾燥重量 520g
重心位置 標準より15mm程度後ろ

動力飛行

 当初7*3のプロペラで出発しました。若干サイドスラスト過多のようで、高速側で右にとられますが、その後のエンジン停止後の滑空ではほとんどトリムはセンターでした。ダウンスラストは適正のようです。水平飛行時最高速度はおよそ60Km/h程度でしょうか。相変わらず最低速からの加速が素晴らしく滑らかでした。 

 V尾翼の舵角を増やすようにサーボホーンを大型化し調整したため、その効果を確認しました。ノーマルのモスキートモス号の舵面・舵角を増大したものと比べてもまったく遜色のないラダー、エレベーターの効きとなりました。旋回は主翼の翼端を中心にくるりとUターンできます。宙返りは半径1m以下のきついものでも難無くこなします。本機は舵面がかなり大きいせいもあるのでしょうが、極低速(時速20km程度と思われる)でもまったく不足なく機能します。実に愉快でした。 

 高度を取り、エンジン高速でダイブしラダーを左に一杯、エレベータフルアップでスピンにいれました。これも翼端を軸にくるくると回ります。エンジンを中速以下にし、ラダーをだんだん弱めにしていくとほとんど高さを失わず、若干のバンク姿勢で20回ほども回っていました。地上30mくらいまで降りてきたのでラダー、エレベーターを中立にするとそのまま水平飛行に移行しました。 

 今日はリンケージの関係でGP07の本来のアイドリングは出せず、およそ3000−3500rpmくらいで最低速飛行を行いましたが、およそ時速20km未満と思われる速度でじわじわと上昇して行きます。結局動力飛行時の最低速度は試せずじまいでした。 

 動力飛行時の問題は、サイドスラストの調整のみとなりました。 

滑空飛行

 上空でガス欠によりエンジン停止。そのまま滑空飛行に移行します。 

 若干のエレベータトリムアップできれいな水平飛行を行います。高度はたぶん200mくらいか、あるいは300mくらいかと思います(おそらく200mだと思います)が、着陸まで5分以上かかったのではないかと思います。操縦中に高度が約半分になったところで時計を見ると2分以上経過していました。当日は早朝、曇りで日も射していない状況でしたので、上昇気流ではないと思います。 

 いよいよ着陸という時、地上5mくらいで頭上を旋回しましたが、あまりの低速に呆然とします。まるでゴム動力ライトプレーンのような速度なのです。3mくらいの高さから着地するまで5秒か、10秒か…直径12mほどの円を3回描き、畑のあぜにフルアップでパサリと降ろしました。速度は限りなく0に近いものでした。 

 滑空飛行については満点の出来ではないかと思います。すばらしい低速滑空性能、速度を若干速めに取ったときの滑空の伸び、モスキートモス号らしい舵の確実な効き、いずれも予想以上の低速飛行性能が確認でき、大変嬉しく思いました、 

静音化・プロペラの大径化

 プロペラを8*4に変更して再度飛行しました。プロペラ8*4ではハーフスロットル以上に開くとエンストしますが、そこまで回れば力は十分すぎ、スロットル4分の1以下で手投げ発進しました。一層の低騒音飛行となり、これもサブマフラを装着すると排気音もプロペラ音もまったくしなくなるのでは、と思えます。 

考察

 1号機(標準)に比べ、極端に低速性能が上がったのは、重量の半減と、フラップ面積のほぼ倍増が大きく作用していると思います。あわせて胴体の縮小、尾翼のVテール化が低抵抗化をもたらし、エンジンの低速運転での飛行性能の向上に一役買っているものと思います。 

問題点

 乱れた気流に出会うと、テールが回るように振られることがあります。このようなことは通常の尾翼ではあまり経験がありません。ですが操縦に支障をきたすわけではなく、あくまでそういう動作が見える(1秒以内で収まります)というだけではあります。これについては強風時の試験が必要ですが、前回かなりの強風で操縦できたこともあるので、この件は放置してもよいのではと思います。 

 またVテールの癖といわれる旋回時の頭上げ傾向については、まったく確認出来ませんでした。たまたまうまくセッティングが合っているのでしょう。 

 最大の問題はエンジンマウントをラジアルマウントにしたことで、マウントの堅木裏バルサ張りではネジの締め付けが不十分なのか、特定の回転で振動が発生し機体から音が出ます。また、2回のフライトが終ったあとで確認したところ、エンジンマウントのビスが2個所、ナットが外れて抜けそうになっていました。ネジロックが必須のようです。本来ラジアルマウントを使用する場合、アルミなどの金属に対しマウントするように説明書に書いてあったと思いますので、仕様外使用ではあります。テスト終了後以前より以上にきつく締め上げて周辺を低粘度瞬間接着剤で固めています。 

課題

 あとはGP07の本来のアイドリングを出してやること、プロペラの選定をもう少し詰めること、サイドスラストを決めることです。今回プロジェクトは軽量低速が課題なのでサブマフラーについては特に考えていないのですが、場合によっては試作することもあるかもしれません。 

 もうすぐプロジェクト完了です。 
 
2000.10.7 
 今日もモルフォのテストを行いました。 

 当面する課題のうちの一つ、エンジンの低速についてですが、リンケージをやり直してプロペラを8*5にしてやったところ、スロットルがほとんど全部しまっているのにまだ粘っていて驚きました。そんな回転域では安定して回るとは言い難いのですが、逆に言うと普通のアイドリング、約3000rpmくらいではほとんど何の不安もなく回ってくれます。 

 そこで、最低速でエレベータで吊りながら飛ばします。先日の滑空飛行とおなじく、とんでもなく遅い速度で飛びます。これについてはもうよしとします。十分に満足できました。 

 第二の問題点である、エンジンラン時の右旋回癖ですが、これはサイドスラストを見直しても直すことが出来ません。やはり、以前と同じく、トリムを左にいっぱい切って直進しますし、滑空時はトリムは完全に真中になっています。機体の工作がおかしいとも思えません。 

 考えてみたのですが、これはプロペラ後流の影響による左翼の揚力増大、右翼の揚力減少によるものではないかと思います。 

 プロペラ後流は、ねじれるように機体の回りを流れていくようですが、このため主翼には左右で違う角度から気流があたることになるわけです。つまり、プロペラ後流の気流に対する、主翼の迎え角が左右で変わるわけです。 

 もしこの考察が事実なら、この傾向はこんなもんだと割り切るか、フラップを左右非対称なセッティングにしてエルロンの修正舵を当てている状態にするかしかないのではと思います。しかし後者の場合、滑空飛行時は逆に左に取られることになるのです。 

 最後に滑空から着陸進入し、幅50cmもない、畑のあぜにきっちり誘導し、地上20cmでフルアップを打ち失速設置したのは良かったのですが、ちょうどそこにあった石が胴体下部に突き刺さってしまいました。ついていません。 

 しかし、ノーマルモスキートモス号のさらに上を行く低速性でふわふわと遊ぶのはとても面白いです。 
 
 


本機右翼蝶のロゴ
 


本機左翼Morphoロゴ

2000.10.14 
(ムサシノ掲示板への投稿と同内容です。) 

  モスキートモス号改のエンジンラン時における右旋回癖ですが、結果的に直せました。 

  まずサイドスラストを減らすことを考えたのですが、すでにワッシャーで調整している限界まで減らしていたので、これ以上は不可能と判断しました。 

  それで0.2mm厚のアルミ板を60mm×40mm程に切り出し、これをトリムタブとすることにしました。固定フラップの、右翼翼根から約30mm位置より、30mm程度張り出すように取り付け、曲げました。固定にはセメダイン・スーパーX シリコンゴム系接着剤を使用しました。 

  試験飛行の際、やはり右癖が出ましたので一度降ろし、トリムタブの曲げ角度を更に付けて、もう一度飛ばしました。すると、今度はほぼまっすぐ飛ぶ状態になりました。 

  エンジン停止後の滑空ではごくわずかに右旋回が出るようになりましたが事実上、直進していると言ってよい状態になりました。 

  おそらく、エンジンラン時は気流が速く、トリムタブが有効に機能し、滑空時はタブの角度が大きいので、タブが失速してエアブレーキとなっているのではと推察します。 

  いずれにせよ、懸案は片付きました。 

  相変わらず凄い遅さで飛びます。 
   
  スピンが何回できるか試してみました。 

  速度もあまりつけず、ラダーをフルに切り、ついでエレベータをフルに切るとくるくるとスピンをはじめます。 

  エンジンを中スローにし、ラダーとエレベータを調節すると2秒で3回転位するスピンを維持します。 

  このままずーっとほったらかしてみていますが、高度が下がりません。そのまま微風に流され、だんだん遠くへ行き始めたので中止しましたが20回や30回ではない回数は回っていました。(失速してないとスピンとは言わないんでしょうか??) 

  また、ラダーをフルに切り、ナイフエッジ状態でエレベータをフルアップすると、そのままの姿勢でこれまた何回でもくるくると回ります。高度も下がる様子もありません。 

  翼面荷重が下がるとおかしな動きができるものですね。しかしとても楽しいフライトです。 

  以上をもちまして、モスキートモス号改軽量実験機「モルフォ」の実験は完了とします。長らくお付き合いいただきありがとうございました。 

  要約は別途まとめます。

実験計画は完了し、報告書を作成しました。

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