the

Mosquito

Moth

Laboratory

 
 

トラス胴の折損修理

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  • 破損箇所:トラス胴前方より約5cmの上下桁、プランク材
  • 破損状況:折損
  • 破損の原因:激しい墜落
  • 破損傾向:墜落の際にはこの付近が破損することが多い。
2000.10.30 
 修理を開始します。 

 この部分は破損することが多く、モスキートモス号の破損のほとんどはここに集中するのではないかと思います。 

 まず、修理計画を立てます。計画といっても大袈裟に考えることはなく、見当を付けるだけでよいです。 

 破損箇所は当然フィルム張り部分ですので、フィルムをはがすことが必要です。また、折損状況は粉砕ではないので継ぎ合わせるとまた使えそうです。一旦強い衝撃を受け、その結果耐えられなかった部分が破損したわけですから、その他の部分も強いストレスを受け、微細な破損があるかもしれません。その点から言えば周辺を全部作り直すほうが安心でしょうが、充分その辺を配慮して修理すれば経験上は大丈夫です。 

 手順は次のようにしました。 

  1. 修理箇所周辺のフィルム剥離
  2. 折損部分の接着
  3. 折損部分周辺の補強
  4. 修理箇所の整形
  5. フィルム張り
  6. 確認
 

修理箇所周辺のフィルム剥離

 まず、フィルムを剥がします。修理箇所周辺の接着剤が付く場所、その周囲を若干剥がします。フィルムが残ったままだと接着剤の乗りが悪いです。ただ例外的に、フィルムに瞬間接着剤を使用すると接着することが出来ます。接着強度もなかなかのものですが、フィルムとバルサ間の接着力のほうが多少心配なので、やはり剥がして付けたほうがよさそうです。 
 

折損部分の接着

 次に折損部分を接着します。この時、修理できそうにない部分はバルサ板などを買ってきて必要な形に切り出します。同時に補強する部分の補強材も作って、スムーズに組み立てられるようにあらかじめ組み合わせて整形しておきます。 

 折損部分の接着は単にぴったり組み合わせればよい、というものではありません。ぴったりつなぎあわせると結果として胴体がねじれてしまった、ということはよくあります。胴体を定盤に固定し、目視ででもかなり正確に出来ますので曲がりのないように仮止め、本接着を行います。あるいは糸などを張って直線を確認するのもよいでしょう。 
 

折損部分周辺の補強

 補強材ですが、折損接着部の周囲を固めます。あまりそこだけ強くしすぎると、今度は補強材の終わった部分から折れるかもしれません。強度と、衝撃を受けた時の柔軟さを併せて考えて補強できればよいのですが、こればかりはなんとも一概に言いようはありません。 
 

修理箇所の整形

 接着剤が完全に乾いたら整形を行います。はみ出てしまったエポキシ接着剤などは鉄やすりで削ると作業が早く楽に出来ます。木部は100番のサンドペーパーで粗削りし、320番のサンドペーパーで仕上げを行います。 
 

フィルム張り

 接着剤が露出している部分でフィルムを貼る部分は、塩ビ塗料か、塩ビ水道管用接着剤をそのまま、またはエンジンシンナーやビニローゼ薄め液で薄めたものを塗っておくとフィルムがよく食い付いてくれます。 
 

確認

 最後にリンケージの水糸を張り直すか、たるみ取りの処置を行います。あるいは張り過ぎになっているかもしれません。サーボホーンをサーボから外して修理すると糸が張ることがあります。逆にホーンを付けたままだとたるむことがあります。 

 水糸のたるみ取りの方法ですが、一番安直には水糸をつないでいるニューム管を曲げて調節するのが簡単です。但しこれでは大幅なたるみは取れません。針金を使ってたるみを取る方法は別掲することにします。 

 あとは水平、垂直、直線がきちんと出ていることを確認、リンケージの動作を確認して修理は完了です。 
 

写真で見る今回の修理作業

 
これが破損状況です。こんな壊れ方は珍しくありません。 
 

 
背骨にあたる部分です。かなりの衝撃だったのでしょう。補強材を貼りつけていましたが、貼りつけたエポキシ接着剤の部分は割れず、バルサ木質部分が裂けるように壊れています。 
 

 
トラス部分下面バルサプランク部分です。この部分は柾目が横に入っているので、引っ張りには弱そうです。 
 
 
 
破損部分を上から見たところ。縦に通っている桁がもぎ取られたように切れています。 
 

 
上のほうです。一旦修理したことがあった部分で、やはり接着剤の付いていなかった部分からもぎ取れています。 
 

 
修理に使用する道具です。 
接着剤は5分硬化型が早くて便利なのですが、うかうかしているとせっかく練り合わせた接着剤がガムみたいに硬化して使い物にならなくなります。 
 

 
仮組み状態で裏から見てみます。 
 

 
仮組み状態で上から見てみます。 
 

 
キットの箱がちょうどいい高さの台になりました。正確に組むのが難しいです。このまま定盤に固定するとエンジンの重みで頭から落ちてしまい、作業がし難いです。 
 

 
断面の両面、補強材にも接着剤を均一に塗布し、圧着します。 
 

 
上面です。断面の両面に充分な量を塗り、欠けている部分には充填接着します。 
 

 
上面前方です。同じくしっかりと接着します。 
 

 
ちょっと付け過ぎのきらいもありますがすごくしっかり固定しました。 
 

 
主翼の穴が空いた部分周辺を適当に切ります。 
 

 
オラカバを適当な大きさに切り、アイロンで貼ります。 
 

 
修理後。アップで見ると気になります。どうしてもきれいにしたい人はリブとリブの間を1枚切り取って、貼り直せば修理したとも分からないくらいになります。 
 

 
こちらは桁間補強材が一部割れたため、その修理のために切り開いたフィルムを、上からフィルムを貼って直しているところです。 
 

 
一応完成しました。ここまで写真を撮りながら3時間もかからずに終わりました。 
 

 
外から見た補修部分です。見てくれは今回は無視したのですがきれいにやろうと思えば新品同様にまで出来るはずです。ただ、飛行中は絶対に分からないと思います。 
 
 
 


ご覧のとおり


このとおりちゃんと飛んでます
 


これでも相当な至近距離なんですが…

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