the

Mosquito

Moth

Laboratory


 

プ ロ パ ガ ン ダ 

 モスキートモス号至上主義者によるプロパガンダです。伝染りますのでご注意ください。
ベテランに呆れられても館林先生に苦笑されても、こればっかりは治りません(^o^)丿

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モスキートモス号至上主義宣言!

モスキートモス号を選ぶその訳は


ゆっくり飛ばしたいならモスキートモス号

 モスキートモス号よりもゆっくり飛ぶ飛行機を探すのはそうたやすいものではありません。もちろんもっと遅い飛行機も存在しますが、一般の人が入手して気軽に飛ばせると言う条件ではなんといってもモスキートモス号が「ゆっくりズムのトップスター」でしょう。

 モスキートモス号は主翼が1470mmもあり、少し離れるとその大きさから極端にゆっくりと、時にほとんど止まっているように見えます。入門者であっても操作手順を守れば安全な飛行が出来ます。

 しかし、モスキートモス号の本当の凄さは低速飛行が出来ることではありません。低速飛行を存分に「楽しむ」ことが出来るということがモスキートモス号の真骨頂であり、設計の主眼だと思われます。


静かに飛ばしたいならモスキートモス号

 エンジン仕様であっても非常に静かな飛行をすることが可能です。モスキートモス号は主翼面積が非常に大きいにもかかわらず、重量が軽いため、低速飛行でも十分な揚力を得てスムーズに飛行することが出来ます。

 低速飛行で十分に飛ばせるので、エンジン出力は少なくても十分で、このため小さなエンジンをゆっくり回すことでさらに騒音を減らせます。

 エンジンをゆっくり回して十分なのですから、エンジン高回転で最高性能を搾り出すような高速回転用の小さいプロペラではなく、一回り、二回り大きなプロペラをエンジン性能の3分の1以下の低速度で回すことでプロペラの風切り音さえも押さえてしまいます

 それでもまだエンジン出力は十分すぎます。そこで今度は標準マフラーの先にマジックインキを改造した自作のサブマフラーを装着することで、排気音を驚異的と言ってもいいほどに小さくすることが出来ます。

 夜明けとともに飛ばしているとジョギングをしている人が足を止めて見物していきますが、誰もこれがエンジンで飛んでいるとは思っていません。自分の頭上わずか2mをゆっくり通過させるとき、まろやかながらも2サイクルエンジン独特のパルンパルンという軽快な排気音がかすかに聞こえます。

 人影のほとんどない夜明け、雀や雲雀が騒がしく鳴く空を幻のように飛ぶモスキートモス号は、ゆっくりズムの象徴です。


狭いところで飛ばしたいならモスキートモス号

 狭いところで飛ばすためには必要な条件があります。まず、十分に速度が遅いこと、離着陸が簡単なこと、そして舵が確実に機能することです。

 モスキートモス号はこれら全てを高い水準で満足します。パイロットに要求されるのは技巧でも度胸でも修練でもありません。安全に飛行するための判断力と注意力だけです。


早朝に飛ばしたいならモスキートモス号

 飛行する時間がなくどうしても早朝にしか飛ばせないという人だけではなく、そのチャンスがあれば全ての人にサイレント早朝飛行を経験してもらいたいと思います。もちろんサブマフラーと大直径プロペラで万全の静音対策が望まれます。

 モスキートモス号とともにパイロットは桃源郷に遊びます。夜が明け、鳥が鳴き、人影一つない野原で、低速飛行を強要されるのではなく、低速飛行を堪能する、これがモスキートモス号です。


心の安らぎを得たいならモスキートモス号

 モスキートモス号での低速飛行には刹那的なスリルではなく、心地よい緊張感があります。他を寄せ付けない威圧ではなく、親しみがあります。退屈しのぎの刺激ではなく、感激があります。繊細さのない鈍感ではなく、寛容があります。急かされるような競争ではなく、共存を感じます。空を飛ぶすべての生き物がそうするように、無理も無駄もない飛行をただただ繰り返しているうちに、パイロットはこの美しい世界に陶酔してしまいます。

 飛ばしているうちにすがすがしい気持ちになって、また来週も頑張ろうか、そんな風になるのはただ私が単純だからというだけではないと思います。


実験好きならモスキートモス号

 モスキートモス号は実験母機としても大変好都合に出来ています。まず重量が軽く翼面荷重も小さいために、相当な積載物を空中に運ぶことが出来ます。またエレベータを若干拡大してやればその効きは巨大なラダーとあいまって危険な状況からの脱出に大いに役立ちます。

 ゆっくり飛ぶ事からも危険性が少なく、主翼をはじめ各部の構造が相当頑丈ですので多少の事故でも被害は小さくすみます。

 機体の改造なども他の機体に比べてしやすいと言えます。


木工が好きならモスキートモス号

 たとえば、機体の角を面取りしてみますか。あるいは丸く仕上げても面白いでしょう。

 無骨な胴体は流線型にするのも面白そうですし、シンプルな尾翼は少しの改造で楕円風にすることも出来るでしょう。

 トラス胴はこだわるならトラス材を斜めに削ったり、角を落としたり、出来上がりがツライチになるように砥いでみたりといろいろ考えられます。

 主翼は唯一いじりにくいところですが、翼端を整形するなどはさほどの困難はないでしょう。フラップの継ぎ合わせにもこだわるファンは多いようです。シンプルだから手が入れやすく、その分効果が目に見えます。木の息遣いを感じ、木の語りかけるものに耳を傾ける、そんな気持ちで作るのも実に楽しい機体です。


デザインに凝るならモスキートモス号

 主翼は普通のものより倍近く広いし、胴体も面白い形をしています。尾翼もかなり大きめですがトラス胴は対照的にとてもスリムです。大雑把なように思えますが、隅々を見れば実は各部が何の迷いもないすっきりした比率の直線だけで構成されていることが分かります。誠に大胆です。

 機能が美しい調和を生んだのか、調和が機能を磨き上げたのか。絵心があれば、機体そのものをキャンバスにすることが出来そうです。


人と同じじゃイヤだと言うならモスキートモス号

 スタイルは誰にも似ていません。ムサシノ機というくくりの中でさえユニークです。そして飛ばし方楽しみ方もモスキートモス号ならではの世界です。

 単に珍しいだけではなく、環境を保護し、人に迷惑をかけないという強い信念と、流行への無批判な同調にあえて立ち向かう反骨精神がモスキートモス号の中に流れています。ユーザをひきつけてやまない魅力の一つはこの強い個性だと思います。主流になりえないことなど初めから分かっている、しかし、だからこそそれを体現するものが必要、そんな想いの結晶がこのモスキートモス号ではないかと思います。


群れるのがイヤならモスキートモス号

 モスキートモス号はいわゆるラジコン飛行場でなくても十分に飛ばせます。それは静粛性と安全性によるのですが、周囲に迷惑をかけず危険もないところならば、なにも人が決めたエリアでなくても十分に安全を確保して地域の人にも受け入れてもらえるような飛行は出来ます。

 ラジコン飛行機はおもちゃではありません。自制を十分に備えた責任ある大人、そしてそれを実践できるならば子供でも楽しめる趣味です。この点を厳に自ら守る限り、他の人から規制されることなく自由な飛行を楽しめます。自らを律する誇りを持つパイロットにはぜひモスキートモス号をお勧めします。


山間部でも飛ばしたいならモスキートモス号

 モスキートモス号はゆっくりと飛び、しかも確実な操縦が出来る機体です。狭いエリアでも狭いなりに楽しむことが出来ます。離陸は高翼なので手投げもしやすいですし、慣れれば軽くすーっと投げるだけで発進でき、助走する必要さえもありません。

 着陸も速度をぎりぎりに落としてふわりと下ろすことが出来ます。滑走距離はごくわずかです。ある程度練習すれば、地上すれすれに進入し、エンジンカットの後大きくアップを打って失速する瞬間のハンドキャッチで着陸することもできます。


ローコストで楽しみたいならモスキートモス号

 キットは量販店なら6000円以下、定価でも7600円です(ムサシノ模型飛行機研究所に直接お願いしたら定価ではあるけれども送料はサービスのようです)。エンジンは4000円台の10クラスエンジンを使用しますので廉価ですし、燃費も大変良いので燃料代もごくわずかです。私の場合毎週飛ばし、1回に2時間くらいの飛行をして1年に8リットルも使いませんでした。普通に燃料を買えば6000円くらいの量ですが、私の場合はオイル汚れを減らすためにメタノールで薄めて使うということをしていたので実際に買った燃料は4リットル(3000円)だけでした。

 受信機やサーボも軽いに越したことはありませんが、標準品を使っても特に困ることはなく、メカを高価な超軽量型に買い換える必要はありません。

 バルサキットであることから、破損しても完成機のように修理不可能ということはなく、ホームセンターなどでバルサ板を買ってくれば部品は自作でき、いくらでも修理可能です。

 しかし、元々軽量で頑丈なことから大きな破損は少ないです。

 以上のようにはじめこそそれなりのお金がかかりますが、あとは実に低ランニングコストで楽しむことが出来ます。


環境を守るぞ!というならモスキートモス号

 モスキートモス号は小さなエンジンをゆっくり回して飛ぶことができます。燃料もわずかしか消費しませんし、騒音も普通のラジコン飛行機に比べ大変低いです。

 小さくてゆっくり回るエンジンは排気ガスも少なく、大気汚染も少ないと言えますし、廃油も燃料消費につれて少なくなるわけですから環境に対する負荷はかなり少なくなると思います。

 さらにエコロジー路線を追求するなら電動に改造することがお勧めです。モスキートモス号を電動にするのは実はかなり簡単にできます。エンジン仕様だったものでもそのまま載せ替えて電動にすることが出来ます。もちろんそのようなコンバージョンでも、性能的には全く不足はありません。

 エンジンも、モーターも、酷使することなく悠々と飛べるモスキートモス号は「エコロジー時代のトップスター」でもあると思います。


空撮するならモスキートモス号

 モスキートモス号はその巨大な主翼でかなりの重量物も持ち上げることが出来ます。これを空撮するためにカメラを搭載することに使用している方があります。

 その方は空撮するためにカメラを搭載したわけですが、その上に電動に改造されていました。重量の増加はかなりのものと考えられますが、実際にきれいな空撮写真を撮ってありました。

 電動仕様であれば、写真撮影時には滑空させることでぶれのない写真を撮ることが出来るそうです。昨今のデジタルカメラは軽量なものもたくさん出ていますが、新設計や大改造なしに写真撮影が出来るというのもモスキートモス号の一つの特徴と言えます。


風でも飛ばしたいならモスキートモス号

 あまり積極的にはお勧めできないのですが、飛行場についたら風が強かった、という場合でもモスキートモス号はなんとか飛ばすことが出来ます。向かい風で一気に高空に上昇したり、強風と格闘しながら飛行するのもたまには面白いかもしれません。こつさえつかんでしまえば、操縦不能でどうしようもないということにはならないです。


ムサシノ好きならモスキートモス号

 ムサシノの飛行機に貫かれている流れ、それはゆっくりズムです。モスキートモス号はゆっくりズムの期待と使命を背負って誕生したと言っても過言ではありません。

 設計者の館林先生もモスキートモス号は「自分でも凄い機体を開発したものだ」と言っておられたようです。

 直線基調の飾らないデザイン、堅固な構造、吟味された材料、正確な部品、飛ばしたときの素直さと確実さ、そしてその結果の作り手へのやさしさ、飛ばし手へのやさしさ、飛ばさない地域の人へのやさしさ、そんな矜持も含めて、これら全てからムサシノの信念を感じ取ることが出来ます。

 ムサシノ好きを自負する方には是非一度手にとって頂きたい、そんなモスキートモス号です。


入門するならモスキートモス号

 モスキートモス号は入門機として世に出されたのではありません。個人的感想を言わせてもらえれば新たな価値観を創出するためのスローフライトスポーツ機として作られたものであって、絶対に入門機としてのみ作られたものではないと思います。しかしモスキートモス号は結果的に、入門に大変適した機体であることは間違いないと思います。

 入門機というのは実はとても設計が難しい飛行機なのだそうです。安定性、運動性、強度、コスト、全てがごまかしの利かないもののようです。モスキートモス号は高い自律安定性と操縦に対する寛容をもたらす低速飛行性能を持っています。機体の強度も高く、製作は時間こそかかるものの難しいわけではありません。モスキートモス号で入門した人は少なくないようです。

 とりわけ、ひとりでに水平飛行に戻る安定性の高さと、失速しにくく、失速しても穏やかに回復する優れた特性、さらに非常な低速で着陸できることなど、入門者にやさしい性能を持っています。

 なによりも、私はこれで入門したのです。ひとつの実例として、大変勉強になったことをご報告したいと思います。


長く楽しみたいならモスキートモス号

 私のようにモスキートモス号の思想にいたく同感した人、ゆっくり飛ぶ美しさに魅せられた人、意外な風への強さと運動性のよさが気に入った人、静かな早朝に音もなく飛ばす面白さに浸る人、空撮をする人…。モスキートモス号の楽しみ方は無限です。そして何より、ただ飛ばすだけのことがこれほど面白いという稀な飛行機です。

 どのような嗜好のパイロットであれ、モスキートモス号との付き合いはきっと長くなります。


モスキートモス号、その数々の伝説と真実


頭上げがすごい?

 頭が上がります。そういう仕様です。

 以上!

 では話になりませんね。

 モスキートモス号では、速度を増すためにスロットルを開くということがまず違うわけです。この機体のスロットルは「機体の迎角を変える」ためにあると思ってください。

 実機の場合、巡航する速度に合わせてエレベータトリムを取り、水平飛行しますが、そこから上昇するときにスロットルを開き、下降するときにスロットルを絞ります。

 モスキートモス号の場合、巡航する速度に合わせてエレベータトリムを取りますが、そこから迎角を取るためにスロットルを開け、迎角を減らすためにスロットルを絞ると思ってください。速度の調節はエレベータダウンで行なうというものです。

 スロットルを開けると頭が上がり、速度はいくぶん落ちますが、推力が増えていることによってゆっくりと上昇します。スロットルを開け過ぎると今度は機首が上がり過ぎ、失速することになります。

 モスキートモス号は一定速度の低速飛行をゆったりと行なうことを主に考えて設計されているものと思われます。飛行速度を決めてエレベータトリムを取れば、あとはそのまま水平飛行し、旋回するときにはわずかにスロットルを開き、旋回が終了すればスロットルを元に戻す、このような操作だけで高度の上下もなしにスムーズに飛行するときにこの特性が唯一最大限発揮されます。

 もちろん、エレベータアップトリムをゼロにすれば意外に速度が乗った飛行を行なうことも出来ます。このような場合は頭上げ傾向は穏やかになり、スロットル操作でスムーズな上昇下降も可能です。強風中で飛行する場合にもこれは有利です。どちらをメインとするかはパイロット次第です。

 一度モスキートモス号をエレベータの無い、エンコン+ラダー機として扱ってみてください。意外にも思うように飛びまわれることに気付くことでしょう。

 初心の方で、モスキートモス号の初飛行のときにエンジンの回しすぎに気付かず、波を打ったように上昇下降を繰り返すピッチング状態になり恐ろしい思いをしたときには、迷わずすぐさまスロットルを最小にしてください。機体は降りてきますが墜落したりすることはありません。なにしろエンジンが回ってなくても手で投げて飛ぶほどですから、水平に安定して飛ぶようになってからゆっくりスロットルを開いてください。やがて水平飛行に移り、上昇してゆくでしょう。


風に弱いのか?

 強風下ではラジコン飛行機を飛行することは避けましょう。無謀な挑戦はときに自他への被害を引き起こします。

 しかし、それは別にするならば、モスキートモス号が無風か微風でしか飛行できないと思うのは大きな間違いです。

 確かに横風には強いとはいえず、、素早く舵を当てて風に正対する操作が出来なければ、風に翻弄され、敢え無く墜落の憂き目を見るでしょう。しかし、風に正対することが出来れば、あとはエンジン出力次第です。

 ゴオッと風が唸り、木がその全体を揺さぶられ、駐機していると本当に吹き飛ばされてしまうような環境でもフライトした経験はあります。発進も着陸も神経を尖らせますが、決して飛行できないわけではありません。むしろ大きな垂直尾翼による強い風見安定から、風に正対さえしていれば安定している、と言えるほどです。

 地上すれすれは別として、30m程度の高度があればどのような強風が吹こうとも凧のように安定して、力強く飛行するさまはとても優雅な低速飛行からは想像できません。これは、モスキートモス号のオーナーであっても、実際にこれを試した人でなければ分からないことでしょう。

 エンジン高回転でのホバリングは一瞬の操作で大きく高度が変わり、気を抜くことが許されませんが、面白くないのかと言えばそうでもありません。モスキートモス号の意外な側面がそこにあります。


作りにくいのでは?

 胴体は平板を張り合わせれば完成する箱型で、かなり簡単に製作できる方だと思います。

 主翼は大きいですが、3分割で製作するのでまずまず手頃な大きさですし、オーソドックスな構造で奇をてらうところがありません。

 尾翼は大変シンプルで、部材も加工してあり、作りやすいといえます。

 エンジンマウントもムサシノの常套手段のブロック構成なので作りやすいといえます。

 トラス胴は、実は前後の基準さえ決めればあとは角材を適切な長さに切って「糊で貼り付ける」だけの作業です。極論すれば、上下前後の構造材さえ狂わずに組み立てれば、あとは最初から終わりまで精度を保って組むという必要はありません。先入観はともかく、一度経験すればこれを「難しい」と言える人はいないのではないでしょうか。

 メカの搭載はメカ室が比較的広く、リンケージもシンプルですので簡単です。

 結論として、バルサキットの中では特に難しくもややこしくもありません。ただし手を抜いてもゆがみもなく作れるというような機能は初めから追及されたものではありません。十分に時間をかけ、短時間ずつでも神経を集中して、そして丁寧に作業をすることが良い機体を作る唯一のコツです。


華奢で壊れやすいのでは?

 いいえ、決してそんなことはありません。

 激しく墜落したらもちろん壊れます。それはどんな飛行機でも同じです。ただしモスキートモス号の壊れるところはほとんど決まっています。

 胴体のトラス組みのところは壊れますが、私の場合エンジンマウント、胴体前部、尾翼付近は全く壊れた経験がありません。

 垂直尾翼、水平尾翼も柔軟な構造と高品質バルサ材のためか、破損したことが全くありません。

 主翼は激しい墜落を何度も経験しましたが、胴体やプロペラでフィルムが切れたり、プランクがぶつけられて陥没したことはありますが、その他の破損はほとんどありません。

 事実から判断し、結論として、壊れやすいとはいえません。


安定が良すぎて鈍重では?

 モスキートモス号はその飛行速度を時速16−20kmに想定して設計されているのではないかと思います。この速度で、モスキートモス号と同等の運動性能を持っている機体は果たしてそれほど多いでしょうか。

 畑のあぜ道を四角く辿りながらのスローフライト、あぜ道を飛び越えるように上下しながら横切り、また地上すれすれを滑るように進む。そのままくるりと180度回って今度はスパイラルに急上昇。一気に30mほど駆け上ったあとでダイブし、2回連続ロール、そのあとはエンジンをアイドルに落としてゆっくりと地上すれすれに降下。ゆっくりとタッチアンドゴーを繰り返し、そのまま漂うように低空飛行を楽しむ…。

 これをしてスローで自在な飛行とは言え、鈍重な操縦性であるとは言えないでしょう。むしろ軽快、案外に鋭い挙動です。しかもこれは慣れれば誰にでも可能なごく普通のフライトパターンであって、決して操縦技術を云々するような話ではないのです。

 速度が時速30kmも出ていればかなり活発な運動が出来ますし、それ以上の速度域では思慮深いスティックワークをむしろ要求する機体です。モスキートモス号が最も好むと思われる時速16−25kmで見せる寛容さはここにはありません。モスキートモス号に牙が隠されているとすればそれは高速飛行時のこのラダーの鋭さではないでしょうか。


スピードが出ない?

 出ません。無理をすればある程度は出ます。しかしパイロットがそうしたいと思わないことを、どうして無理に行なう必要があるのでしょう。

 モスキートモス号で飛行しているといつの間にかスロットルを絞ろう絞ろうとしている自分にふと気付くことがあります。ただの場周飛行を延々と繰り返しているのに気付くこともあります。そしてそれに気付いても、また同じことをそのまま繰り返してしまいます。

 楽しいのです。そこにあるのはモスキートモス号と自分と穏やかな自然だけです。スリルやスピードはその中に欲しいとは思いません。


軽くないと飛ばないのでは?

 モスキートモス号は軽い飛行機ですが、だからこそ重くなってもきちんと飛ぶ事が出来ます。

 1200gくらいまで、つまり標準重量の5割増しになっても、極端な速度の増加もなく普通にゆっくりと飛んでいくことが出来るのです。カメラやビデオも積載することが出来るはずですし、現にモスキートモス号で空撮をされているファンの方もあります。電動にする上でRCカー用バッテリーを積むことなどはじめから何の問題にもなりません。

 むろん軽い方が低速飛行時の操縦性や失速速度の低下を享受できるので好ましいのですが、そのこと自体を価値として徹底的な軽量化を目論む場合を除けば、神経質に超軽量メカを積むことはモスキートモス号の場合あまり意味がないのです。

 飛行速度の増加が怖い、着陸が怖い、失速墜落が心配、そんな理由でバッテリーやサーボや受信機まで軽量化しようと思っているのでしたらどうぞお気になさらずに、ありあわせの標準受信機、サーボを積んでください。

 600mAの重たいバッテリでも問題ありません。現に私はその組み合わせのモスキートモス号が、軽量サーボ、軽量バッテリーの私のモスキートモス号とどちらが遅いのかよくわからない速度で、何の不自然もなく飛行するのを見ています。


09エンジンでは非力すぎる?

 出力から見れば049エンジンでも多分大丈夫でしょう。モスキートモス号の設計当時には、09エンジンがスムーズなスロットルワークをするための最小のエンジンだったので採用されているだけだと思います。現在でしたら06−07クラスでもスロットルがよく効くエンジンがあります。そのような小型軽量のエンジンを使用した方がより軽量で低速に飛行できるのではないかと思っています。

 いずれにしろ、パワーは有り余っています。ごくたまにちょっとした曲技をするためだけにフルスロットルを使うのみで、普段はほとんどアイドリングです。手投げ発進なら、発進時でも中スローで十分です。

 また、負荷が軽いために低速運転が主体となり、エンジンも小さいため、エンジンの温度は低く保たれ、潤滑も負担がかからず、エンジン自体が傷まないようです。これを逆手にとって燃料をメタノールで3倍に薄め、低ニトロ、低オイルとしてしばらく使っていましたが、何らの不具合も出なかったどころか機体に付着する廃油も減り、スモークもほとんど見えなくなって清掃も楽になり、環境にも好ましかったのではないかと思います。

 さらに特筆すべきは超省燃費飛行です。わずか70ccの燃料タンクいっぱいで、40分近いエンジンランを引き出し、エンスト前に300m程度と推測される高空に昇って上昇気流に乗って漂うことさらに15分以上、このような飛行が現実に可能です。



 

大研究・館林先生の巧妙な設計を暴け!

スラストラインと主翼位置

 モスキートモス号の特徴の一つに低いエンジン位置が挙げられます。エンジンは主翼よりもかなり下に吊り下げられるようにして位置します。

 このようにスラストライン(推力線)が、抗力を発生する主翼よりも下に位置するとき、飛行中は常に頭上げの傾向が発生することになります。通常は、ダウンスラスト(エンジンを下向きに取り付けること)をつけて、頭上げの傾向を押さえることになります。
 しかしながら、モスキートモス号の標準でのダウンスラスト指定は「ゼロ」です。

 これは故意としか思えません。モスキートモス号は「頭上げを積極的に起こすように」設計されているのです。常にムサシノが言っていた、スロットルで上昇下降する自然な飛行機のフライトをさらにはっきりと形にしたのが、このレイアウトではないでしょうか。現にモスキートモス号はスロットルを上げると、速度が増加するよりも遥かに前から機首が上を向きます。

 プロペラ後流は主翼に対してあまり積極的に作用しているようには思えません。しかし、尾翼に対しては有効に作用していると思えます。

 これは、揚力は巨大な主翼で低速時にもまかなえるが、尾翼は最後までコントロールが効くように考慮されているのではないでしょうか。モスキートモス号の失速ぎりぎりでの安定板と舵の効果は飛行しているときの対気速度から見ると少しばかり出来すぎのように思えます。


胴体オーバーハング

 モスキートモス号の胴体は前半部が大きく下に張り出しています。ここはメカ室で、機首部分は燃料タンクとバッテリー、中央部分にサーボ、受信機が搭載されます。なにもここまで張り出さなくてもよさそうなものですが、エンジン搭載位置を下に下げ、プロペラのグランドクリアランスを確保するためにはこのような形を取ることになったのでしょう。しかし、重量物をこれだけ下の方に集めれば機体自身に振り子安定(ペンデュラム・スタビリティ)が発生していると見るのが自然です。

 また、胴体を下に下げることで主脚を短くし、軽量化につなげようという目論見もあったのかもしれません。モスキートモス号の古い箱写真にはずいぶんと短い脚のモスキートモス号が写っています。

 この胴体を横から眺めていると、ゲッチンゲンなどの、翼下面がくぼんだ高揚力翼型の断面を連想します。このような細い胴体で揚力が発生しているのか疑問ですが、あるいはそんなこともあるのかもしれません。


トラス胴

 美しいトラス胴はモスキートモス号のアイデンティティです。これがあるからこそモスキートモス号なのです。

 トラスはヒノキの角材で構成されます。胴体の上は2枚貼り合わせのミディアムハードバルサ、胴体下面はミディアムバルサの継ぎ合わせプランク構造になっています。

 胴体上面を2枚張り合わせ材とすることで厚い板材をそのまま使うよりも軽量で、かつ強度も確保できるように考慮されているようです。また貼り合わせの下側を細いものにし、トラス材の接着を容易にしています。

 胴体下面は木目を横に使っています。尾部を上に振る方向への力がかかった際には一見不利に見えますが、そのような力がかかるときは胴体上面に圧力がかかり、実際に破損するときは座屈(つぶされるように折れること)します。そのときには確かに下面が切断されますから弱いと思ってしまいますが、下面だけを補強しても上面の座屈は解消しません。また横目に使うことでねじれや横方向への曲げ剛性を高めることを狙っているのではないかと思います。

 トラス材をバルサよりも圧縮強度的に強いと思われるヒノキにしていることはこれも巧妙な設計です。バルサでも引っ張り強度は十分に強いのですが、圧縮時にトラスが1箇所折れると力がそこに集中し、一気に大きな破損を招きます。逆にトラスがしっかりしていれば外力は分散され、曲げ、ねじれに対して十分な強度を確保できます。またトラス全体をフィルムで被覆することで曲げやねじれに対しフィルムの引っ張りで対抗することが出来ます。

 激しい墜落時には折れますが、通常のラフランディングではびくともしないことでこの強度は十分だと見るべきではないでしょうか。

 また、トラス胴は三角断面です。下が尖った三角形にしたほうが迎角をとった飛行時には空気抵抗の面で有利になるのですが、あえて逆を採用してあるのは、胴体下面に当たる風の揚力効果を狙ったものではないでしょうか。


翼端上反角

 主翼は工作がやさしい1段上反角ではなく、翼端上反角を採用しています。接着部分が1箇所増えるために工作上は面倒と言えます。

 しかし翼端上反角は、主翼のもっともストレスがかかる翼中央部に接合面を持ちません。中央部はフルプランクとなり、見かけに反して非常な強度を得ていると思われます。

 また翼端上反角にはねじり下げと同等の効果があり、矩形翼の効果とあいまって、低速大迎角で飛行しているときにも翼端失速が発生しないことに大きく役立っているのではないかと思われます。

 さらに翼端上反角には翼端渦を軽減する効果もあり、モスキートモス号の小出力低騒音飛行に貢献しているのではないかと思われます。

 また、主翼翼長が1470mmもありますが、3分割で製作できるので製作場所がさほど広くなくても良いという点に加え、材料も特殊な長い材料を用意しなくてよいためコストダウンも実現しているのではないかと思います。

 翼端部の上反角は14度で、正面から見るとかなり大きくついています。この大きな上反角のおかげで高い安定性を得ていますが、それに加えてラダーの動きに確実に、即座に反応する軽快なロール方向の運動性に貢献しているのは間違いありません。速度をキープすればロールも出来るほどです。また失速すれすれの低速飛行でも舵は確実に効き、半径2m程度のターンなどわけなく出来ます。なおどういうわけか軽量化が進めばほとんど旋回半径ゼロのUターンも出来るようになります。


垂直尾翼・ラダー

 テールモーメントアーム(重心位置から尾翼の空力中心までの長さ)が大きいにもかかわらず、尾翼はかなり大きめです。ラダーは垂直尾翼面積の半分近い巨大なもので、これからも極低速時の操縦安定性を狙ったものだと見ることが出来ます。

水平尾翼

 水平尾翼はこれもかなり大きなものです。もともと主翼が相当大きいのに加え、フラップを装備していることから姿勢変化に伴う風圧中心の移動は大きくなるのですが、これに対抗して安定を確保する目的だと思われます。また低速飛行時の水平尾翼効率悪化も見越して大きめに設計されているのではないかと思われます。

 それに反し、エレベータ面積は水平尾翼全体から見るとかなり控えめで、あまりしないとは言ってもアクロバティックな飛行を行なうには少々不足気味です。これは、エンジン位置との関係で姿勢制御をスロットルワークで行なうという思想を軸に設計されているからではないかと推測しています。となると、これをエレベータと呼ぶのは不適当で、エレベータトリムであると考えることも出来るかもしれません。

 好みにもよりますが、エレベータを15mm程度拡大するとかなりエレベータの効きは鋭くなります。


フラップ

 主翼には固定フラップが装備されています。固定フラップはムサシノ機の中でもハミングカブ号、スカイウォーク2、モスキートモス号だけに装備され、他のメーカーのものには見かけません。

 またフラップは実機では格納式なのにモスキートモス号では固定式です。これは、フラップを出すような低速で飛行することを中心に据えたものであると考えれば、あえて格納式でないのは賢明な選択ではないかと思われます。

 フラップを装備することにより翼面積は拡大し、キャンバーが増大し、取り付け角が増大するので、迎角が同じであればより低速で同じ揚力が発生できることになり、低速飛行に寄与します。


Dボックス

 主翼はDボックス構造で、中央部のみフルプランクです。Dボックスとすることにより非常な強度を確保しています。あわせて主桁も上下スパーとそれをつなぐ桁間補強材によって一部はボックス構造、一部はCビーム(断面がC字型)となっており、軽量でありながら強固なものです。

 それは激しい墜落でも主翼は破損らしい破損をしないほどです。通常飛行ではどのような無茶な飛行をしてもバンザイすることはおそらくありえないでしょう。一度エンジン全開で200m以上垂直降下し、エレベータフルアップで宙返りしたことがありますが何もおきませんでした。もっとも抗力が大きいので垂直降下でもたいした速度が出ていないということも言えるかもしれません。

 モスキートモス号の主翼は非常に頑丈であり、ねじれやたわみは少々の力を入れても起きることがないようです。もしも日々の点検でこれが感じられるようならどこかにクラックや接着不良が隠れていないか調べる必要があります。


プランク

 1.5mmの軽い材質のバルサが使われています。プランクは他の構造と組みになって強度を発揮する部材ですから、それ単体で強度を稼ぎすぎる必要はないようです。むしろ軽量なものをチョイスし、軽量化しつつ十分な強度を確保しているようです。

 プランクを肉抜きしたり省略することはそのまま主翼強度の要であるDボックス構造を壊すことであり、避けたほうが賢明です。軽量化のためには構造を変更するのではなく、材質を軽量のものに交換したり、研磨して薄くする等の方が結局は有効です。


リンケージ

 水糸によるプルプルリンケージが採用されています。軽量であることはもちろん、ニュートラル付近では舵に遊びが無く、微妙な操舵もきちんと反応に現れます。

 アルミ製のホーンはそれ自身プラスチック製と比較しても差があるのかわからないほど軽量ですし、水糸相手ですのでアルミでもノイズの発生源となることは無く、また水糸もうまく引っかかって滑ることはありません。

 しかし墜落など大きな力が掛かると水糸は瞬間的に伸び、ラダーホーンから滑って衝撃を逃がします。このためサーボを傷めることも少なくその他の構造にもダメージを与えにくいと言えます。

 組み立てに若干のコツはありますが、軽量、廉価、確実、機能的といいこと尽くめの質実剛健なリンケージです。



 

モスキートモス号のルーツを訪ねて


 モスキートモス号は大変ユニークな機体ですが、ムサシノ模型飛行機研究所のラインナップを紐解いていくと、モスキートモス号のご先祖とも言うべき機体が見つかります。

 私の浅学を晒す事になりますが、次のような関係があると思います。

主翼:スカイコアラ号がかなり似た(あるいはほとんど同じ)主翼であったのではないかと思います。

トラス胴体:リトルチェリー号ツインチェリー号が長さは違いますが、三角板でつなぐ部分などそっくりです。

尾翼:初期のモスキートモス号はムサシノの一般的な尾翼ですが、後にトラス入りの尾翼に改良されています。

エンジンマウント:ムサシノの一般的なエンジンマウントです。

コンセプト:スカイパンダ号が直系の祖先ではないかと思います。

 なおモスキートモス号から発展したと思われるものには、双発機ツインプラム号があります。

 パストラルはモスキートモス号から発展したものではなく新設計と思われますが、次のような点に類似が見出せます。
・長大な主翼
・固定フラップ装備
・胴体オーバーハング
 

未来のモスキートモス号

 ありそうな未来、あって欲しい未来、ひっくるめて予想します。なおこれらは勝手な想像によるもので、ムサシノ模型飛行機研究所様の予定計画その他とは一切関係ありません。

 また予想結果は別の方々によりすでに実現されているものですが、製品化されるのではという予想ということでご了承ください。
 

・電動版モスキートモス号

 電動にするためにモーターマウントが標準で添付されます。ただしこのマウントはステンレス製のヒートン(ひもかけ)4本で、エンジンマウントにねじ込んで使用します。他の部材は完全共通で、6C1700バッテリをマウントする改造図面とゴム掛け用の竹ひごが付属します。電動専用版として販売されるのではなく、エンジン仕様と共通として販売されます。作り上げてからでも電動、エンジンのコンバージョンが可能です。(出典:軽模件飛行機研究室
 

・縮小版モスキートモス号

 より持ち運びを改善した翼長1200mmのモスキートモス号です。翼型はプレイリー号のものを改良、無理なく高性能を引き出します。材質の軽量化などにより標準重量600gを実現します(軽量メカ時)。エンジンは06クラス、モーターならスピード400クラスです。(出典:お父さんの電動ラジコン機入門
 

・4スト版モスキートモス号

 SAITO FA30に適合する若干大きくなったモスキートモス号です。スパンは1800mmと20%増しになり、主翼面積は52sq.dmと大きくなります。同じ翼面荷重ならば重量も1200g近くまで許容されるので強度や構造なども大変更する必要はなさそうです。4スト化によりサウンド面からもさらに低速飛行が楽しくなります。
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