the

Mosquito

Moth

Laboratory

バーチャルインタビュー  2005/06/23

バーチャルインタビューは、モスキートモス号ファンの方々にメールでアンケートをお願いし、それを元に対談形式に再構成したものです。インタビューに応じてくださった方の校閲を経て公開しており、脚色等は行っておりません。

今回のお客様:須藤友介さん

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MML:今回のお客様は須藤さんです。今回は宜しくお願いします。

須藤 :信濃国住人こと須藤友介(すどう ゆうすけ)と申します。

MML:須藤さんはムサシノ機のファンで、他にもムサシノ機をお持ちになっているようですね。

須藤 :現在は、ハミングカブ3号機が現役です。プレイリー号が、休眠中です。

MML:須藤さんがモスキートモス号を手にされるきっかけはどういったものだったのでしょうか?

パチンコをやめてラジコンに

須藤 :買ったのは6年前ですが、製作は、2004年から2005年にかけて2機つくりました。やはり、ムサシノ機シリーズのなかで、もっとも低速の飛行を味わってみたかったのです。

MML:モスキートモス号にたどり着く前にもいろいろと飛ばされていたそうですね。

須藤 :ラジコン歴は通算4年位です。胃潰瘍になったのがきっかけで、始めました。私もいつのまにか51才になり記憶もあいまいになってきましたがだいたい次の如くです。

 40才を前にして胃潰瘍になりました。当時の私は独身で、暇があればパチンコにうつつをぬかし、タバコもバカバカ吸うすさんだ日々を送っていましたから、そうなるのも当然でした。

 そして、医者にかかれば当然「パチンコ、タバコはダメ!!」と怒られました。

 困りました。もう正月休みが迫っていましたが、暇つぶしが思いつきません。健康的な暇つぶしはないかと考えていたところ、会社の労働組合のカタログ販売で面白いものがありました。

 スカイエンペラーという名前のラジコンモーターグライダーです。今思うと、ラダーのみシングルボタン打ち、モーターON・OFFというおもちゃのようなものですが、けっこう楽しめ、暇つぶしの役目は十分に果たしてくれました。これが、きっかけで子供の頃のラジコン飛行機への憧れを思い出し、凝り性なる私の病気が再発しました。そしてエンジン付のラジコン飛行機へと進んでいくわけですが、3年位で中断してしまい、2004年から再開しております。

MML:健康的な趣味探しから飛行機ということですか。そのカタログ販売がきっかけだったということですね。

須藤 :ちなみに、私の子供のころのことを参考にすこし申しますと、信州の片田舎で育った私の子供の頃昭和30年代は、今と比べれば貧しかったけれど、楽しい思い出が多いです。

 生来不器用で、運動神経のにぶい私ですが、模型作り大好き少年でした。

 当時の模型は、木製キットが主流でした。ゴム動力の飛行機ヒノキ棒の胴体・竹ひご製の翼、なつかしいです。ゴム動力の自動車(トラック)、キットの箱の中は、木切れと荷台用のボール紙・タイヤとゴム動力ユニットだけ、これもなつかしいです。船は、ゴム動力スクリューユニットを買ってきて木切れからの自作が多かったです。セメダインは貴重品でした。そんな具合でスタートしました。

 その内に飛行機以外はモーター駆動になって行きました。当時初めて買ったモーターが60円だったことを覚えています。当時は高価でこずかいをためて買ったものです。

 電池も単三が25円と高いので川に捨てられていた某社の大型電池を拾ってきてまわして遊んだことを覚えています。のどかな時代でした。

 そのうちに時代はプラモデルへと進んでいくのですが、空を飛ぶ飛行機は相変わらず、ゴム動力飛行機で遊んでいました。小学校も高学年になると、Uコン機やラジコン機の存在は、たまに出かける町の本屋での立ち読みや模型店でみたりして、私にもどんなものか理解でき、当然欲しくなるのですが信州の片田舎の少年には、その高価さゆえ、遠い遠い夢の世界でした。

MML:私も当時ラジコン飛行機など夢のまた夢だと思っていました。確かに昔は物凄く高かったからですねえ。

須藤 :男は、いつまでたっても童心をもっていると言いますが、昔は金がなくあきらめていたものを、大人になって経済力がついたら焼けぼっくいに火がついたごとく熱中するひと、結構いますね。私もそのひとりです。ふだんは、近所の100m×100mのグラウンドで早朝にとばしています。

MML:少年のころの思い出ですね。私もまったく同じです。持っているのは電動だけで、模型エンジンが買えなかった分、その憧れは強烈でした。今ではエンジンも自分で作ろうとしているくらいですから、凝るってある意味怖いですよね。

須藤 :飛行機の最初はスカイエンペラーで、どんどん飛ばしているうちに発泡スチロールの胴体が着陸ですりへって、1ヶ月の命でしたが、十分楽しみました。

広場の先生のおすすめ

 次のは某社20クラスエルロン機でしたが、エンジン機を始める際、販売店のすすめで購入・製作しました。ご想像の通り手投げから急上昇→失速→急降下→大破全損。短い命でした。やはり、独学ではこのような機体は無理と感じました。ただ、箱を開けた時、中に木切れが入っているイメージは、昔の木製キットを思い出させてくれ、懐かしく感じたことを覚えています。

MML:墜落はつらいですね。それにいきなり20クラスというのも結構迫力があったのではないでしょうか。

須藤 :いよいよプレイリー号ですが、プレイリー号を買ったきっかけは、短い出会いでしたが先生と呼べる方のアドバイスによります。

 前記の正月休みの2日に飛ばし初めとばかり、スカイエンペラーで遊んでいると、60クラスのヘリを持った方が現れて、飛ばし初めをしたいとのことでした。

 わたしも是非飛ぶところを見たかったのでどうぞとばかりゆずりました。先生、なかなかの腕で、みごとな飛行ぶりでした。

 そして、飛ばし終わったあと、私が本格的にエンジン付の飛行機をやりたいというと、『「ムサシノ」がいいですよ』とのアドバイスをいただきました。その日やや風がふいていましたが、『「ムサシノ」なら、これぐらいの風に向かってホバリングできる機体がある』とのことでした。まさにモスキートモス号のことだと後でわかりました。

 先生にお名前も聞かず別れてしまいそれ以来お会いする機会もありませんが、ありがたいアドバイスでした。某社20クラスエルロン機を買う前に思い出すべきでした。

 ラジコン技術誌より、軽ラジコン機入門にたどりつき納得して購入しました。私が単独飛行に成功した、記念すべき機体です。ムサシノ仕上げで、多少のことがあっても丈夫でいい機体でしたが、私には速度が速く、いまも健在ですが、腕がもう少し上がるまでは休眠させます。

MML:その先生もモスキートモス号を飛ばしていたのでしょうか。縁というものでしょうか…

須藤 :その次がプレイバード号で、プレイリー号より、翼面荷重が軽くもう少しゆっくり飛ぶことをめざして作りました。モスキートモス号は、トラス胴が難しそうで、ハミングカブ号は複葉が面倒に見えたので敬遠しました。

MML:プレイバード号は、あの鳥形翼の凄くユニークなモデルですね。

須藤 :ストレート翼で作りましたが、翼が少しねじれているのにこれくらいだいじょうぶと飛ばしたら、きりもみからコンクリート壁激突で、一発で全損しました。やはり、館林先生の言うとおり、正確な機体は大事という教訓を得ました。

MML:そうですか。相手がコンクリートは厳しいです。畑などの土の上なら全損は回避できたかもしれませんね。

須藤 :その次にはハミングカブ号(1号機)下翼短仕様を作りました。

 プレイバード号が全損のため製作しました。複葉ということでどうかなと思いましたが、作ってみると手間だけでそんなに難しくなかったです。食わず嫌いならぬ作らず嫌いですかね。これは、良く飛んでくれましたが20回位飛ばした後、目測を誤り林に突っ込んでしまいました。10mのつりざおで突っついて降ろしましたがその時の傷みがひどく、泣く泣く全損となりました。

 ハミングカブ号(2号機)上下翼同一仕様、これは1号機が全損のため再び製作しました。これも良く飛びましたが、ある日の朝飛ばしに行く途中たぬきが飛び出し驚いて車の急ブレーキをふんだらトランクの中で荷物とのサンドイッチになり全損をくらいました。たぬき、きつね、ハクビシン、鹿、いのしし、たまに熊等出ます。信州の山中です。

 飛行機はこれにて中断です。約2年楽しみましたが、ハミングカブ号を失ったショックのうえに、人生に悩んだりしてしだいに飛行機を作る気力がなくなり、ラジコンから離れていきました。

 ということでラジコンから離れて、またしてもパチンコなんぞに明け暮れる私でしたが、人生の転機が訪れました。

 45才にして結婚したのです。もうあきらめかけていたころ知人の紹介で合った結構かわいい女性が私のことを好きになってくれたのです。こんなチャンスはもうないとばかり普段のんびりしている私ですが、周囲をあっと驚かす付き合いだして3ヶ月というスピードでいっしょになりました。

MML:それはまさしく人生の転機ですね。

人生の転機、そして再開

須藤 :ただ結婚にあたって相手の女性からひとつだけ条件がありました、それはパチンコをやめることです。

 私も異議なく了承しましたが、こうなるとまた暇つぶしが無くなります。そこでラジコンの再開を決心して独身のうちにとばかり、モスキートモス号2機、ハミングカブ号2機、ホープ26・1機、プレイリー号1機、エンヤ09エンジンにプロポetcと大量に買い込んでおきました。パチンコで損をしたと思えば、安いものです。

 これは正解でした。というのは、女房は、経済的にしっかりしているのはいいのですが、お父ちゃんのこずかいはなかなか値上げしてくれません。

MML:大きな声ではいえませんが、まったく同感です。買えるときに買っておけばあとで何とかなるかなと思うんです。

須藤 :こうして結婚して、生活に張りも出てラジコンを再開するはずでしたが、生活も結構いそがしく、なかなか再開にいたりませんでした。

 そうこうしているうちにまたうれしい出来事がありました。47才にして子供に恵まれました。しかも男の子です。パパになった私の頭にまず浮かんだのは、小学生高学年になった息子とラジコンで遊ぶ姿でした。こういうのを親ばかチャンリンというのでしょうか。すぐにも再開したかったのですが、子育てに追われる日々でようやく再開したのは2004年の春からです。

MML:いいですね。うちも上の子は男の子なんです。ただ飛行機にはあまり興味はないみたいで…。ゼロ戦とかは好きみたいで、どうも私と趣味が違うんです。

須藤 :そしていよいよモスキートモス1号機。オリジナルで製作しました。いうまでもなく良く飛びます。写真を見ると、翼端が珍妙なことに気づかれた方もいらっしゃると思います。
 これは最初ブランク和紙張り塩ビスプレー仕上げで仕上げたら、朝の露がしみ込みブランクがしわしわになるのと重心までおかしくなる現象が発生のため、ブランクをオラライトクリヤでやり直したためです。

 次にハミングカブ3号機でモスキートモス1号機と同様の仕様です。モスキートモス1号機と平行して製作しました。翼端が珍妙なことは、モスキートモス1号機と同様です。

 モスキートモス2号機、これはフラップを10mm延長してあります。オラライト仕上げです。

MML:うーんやっぱりどうも他人事とは思えません。奥深い趣味で人生に潤いですね。まったくすばらしいことですよ。

須藤 :モスキートモス号は1号機、2号機とも現役でとばしています。どちらもよく飛びます。これだけゆっくり飛べば、私でも余裕で操縦出来ます。特に2号機のSTOL性は、抜群です。

MML:フラップ延長は強力ですもんね。着陸も本当に綺麗に決まります。

 それで、モスキートモス号のフライトで須藤さんはどこが面白いですか?

須藤 :低速性能は当たり前として、あの大きな機体に似合わず小回りの旋回が出来るところです。館林先生の設計の妙といいたいです。

MML:ゆっくり飛びながらも小回りが効くのは、モスキートモス号ならではかと思います。狭いところでくるくると飛び回るのも楽しいものです。逆にモスキートモス号のフライトで面白くないところはありますか?

須藤 :風に弱いのは、無い時に飛ばせば良いとして、これはフライトの話ではありませんが、キットを尾輪仕様にしてほしいですね。改造されている方もMMLさんのページをみても多いようです。ムサシノのビデオでも、ワークス機は尾輪仕様になっていましたから、わたしも最初からそのようにしました。

 必要な部品は、カブの尾輪用ピアノ線と適当な長さのニューム管および適当な大きさの三角バルサ材と簡単な説明書のみです。その分値上げしてもやってほしいです。

MML:尾輪式はモスキートモス号の改良の中でもたぶん一番人気ではないかと思いますね。製作については、モスキートモス号ではどこが難しかったですか?

須藤 :私は、三角材F40の貼り付けです。もともと模型を作るのは、大好きで時間が許せば食事も忘れて熱中するタイプですが、なぜかここだけは、おっくうになります。三角材の貼り付けの経験が少ないからでしょうか。

MML:適当にやったら、あとで修正が効かない、となると、やっぱり慎重になるんですよね。素材がバルサである以上、今後もあそこだけはどうしようもないかなと思います。

 須藤さんお勧めのこんなフライトが面白い、というものはありますか?

須藤 :まだ、へっぽこ8の字旋回・おっととタッチアンドゴーと形容するにふさわしい程度の飛行しか出来ません、経験をつんでMMLさんにでている先輩方の腕に少しでも近づきたいと思っています。

息子と一緒に飛ばす夢

MML:モスキートモス号に手を入れて改良したことはありますか?

須藤 :あります。1,2号機とも尾輪仕様です。2号機は、さらにフラップを10mm延長してあります。ムサシノ掲示板で、島崎所長のアドバイスをいただき、エレベータを5mm延長した結果、違和感のあった旋回時のふらつきがなくなりまし
た。

 2号機のSTOL性向上をねらった理由は、つぎのようなものです。軽ラジコン機入門につぎのような一節があったと思います。「お父さんが作ってあげて、小学生も高学年なら上げて降ろせる飛行機がここにあるのに。」館林先生は、プレイリー号のことをおっしゃったのだと思いますが、私にいわせればちょっと難しいと思います。エンジン回転もある程度上げないと離陸しませんから。このテーマをモスキートモス号でやろうとしたのが2号機です。息子は、まだ3才です。またも親ばかチャンリンです。

 2号機は、まさに小学生も高学年なら上げて降ろせる飛行機と思います。壊さないように大事にしたいと思ってます。

 尾輪方式は、やっている方も多いようですけど、タキシングが楽しいです。

 また、フラップ延長は、STOL性が向上して離陸・着陸がさらに楽になりました。

MML:息子さんが大きくなるまで、絶対に壊せませんね。親子で楽しくラジコン飛行機、しかもモスキートモス号なんて素晴らしすぎます。

 逆に改良して失敗した部分はどこですか?

須藤 :STOL性向上と引き換えに2号機は、軽量仕上げも影響して風に極端に弱くなりました。タキシング中に1号機ならたいしたこともないそよかぜ程度でななめ前から風を受けた瞬間あっというまに転覆しました。よって朝早くの無風といえる状態でないと、飛ばしにくいです。

MML:フラップが大きくなった分、風の影響をやっぱり受けやすいのかと思います。逆に言えば旋回性は上がっているということかもしれません。モスキートモス号を壊したことはありますか?

須藤 :あります。1号機は旋回中、目測を誤りフェンスに激突し胴枠に亀裂が入り、胴枠とトラス胴のつけねが折損しました。エポキシ接着剤で丁寧に、付け直して復活しました。ひと目みて、これはだめかと思いましたが、復活しました。MMLさんのページで皆さんおっしゃっているとおり、モスキートモス号は、破損に強いようです。

MML:あの辺は派手に壊れるから、結構がっかりするのですが、直そうとすると意外に容易に直せるんですね。現場で直せれば最高なんですが、やはり壊したら持ち帰って修理ということになります。

 須藤さんはモスキートモス号の全体を見渡して、どこが好きですか?

須藤 :スタイルは、決してかっこいい機体ではないですが、私にいわせれば機能に裏付けされた美しさ、すなわち機能美すら感じるところです。

MML:あの不思議な機能美は、館林先生の遊び心と信念を形にしたようなものかなと最近は考えています。

 さてそれでは須藤さんから、これからモスキートモス号を作ろう、飛ばそうという方に励ましのメッセージをお願いします。

須藤 :私のような不器用で運動神経のないものでもちゃんと作って飛ばせます。必要なのは、模型飛行機が好きだという情熱と正確に作る努力だけです。細部の仕上げの多少の難は、問題になりません。私の機体のことです。ただ情報は、大事ですからこのMMLさんのページや軽模型飛行機研究室ムサシノ掲示板等有効に活用すべきだと思います。

 館林先生は、「ラジコン飛行機は、一生のホビーとして最適」とおしゃっていましたが、ムサシノ機はまさに一生楽しめるラジコン飛行機です。私も今後は、中断することなく一生のホビーとして楽しむつもりです。

 日本全国には、まだ多くのムサシノファン、モスキートモス号のファンがいると考えられ、それからすればバーチャルインタビューの人数は、まだ少ないと思います。私も機会あるごとにMMLさんの宣伝に努めて応援したいと思いますので、ホームページを維持していくことは、大変なことだと思いますがMMLさんには今後ともがんばっていただきたくよろしくお願いします。

MML:ホームページ開設以来もうすぐ5年、インタビューも少しずつですが増えていっています。あと50年後、100年後でもモスキートモス号が日本の空を舞っているように、息長く頑張っていきます。どうも有難うございました。
 


須藤さんの愛機1号
 


 
 


優雅な飛びですね
 


2号機
 


 
須藤さんのモスキートモス号1号機の仕様
エンジン エンヤ09BBTV、ムサシノ純正サブマフラー
プロペラMK9×5
ムサシノ購入軽量スピンナー
燃料ニトロ5%ひまし油20%
タンク大阪模型小型40cc
プロポ JRX388S
受信機NER649S
サーボNES341×3
電池4N120
 
重量 760g(乾燥重量)
カバー オラライトクリヤー
塩ビスプレー塗装

 
須藤さんのモスキートモス号2号機の仕様
エンジン エンヤ09BBTV、ムサシノ純正サブマフラー
プロペラIM MA木製9×5
ムサシノ購入軽量スピンナー
燃料ニトロ5%ひまし油20%
タンク大阪模型小型40cc
プロポ JRMAX66
受信機R500
サーボWAYPOINT W84×3
電池4N120
重量 695g(乾燥重量)
カバー オラライト クリヤー・イエロー

 
 

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