the

Mosquito

Moth

Laboratory

バーチャルインタビュー  2003/10/2

バーチャルインタビューは、モスキートモス号ファンの方々にメールでアンケートをお願いし、それを元に対談形式に再構成したものです。インタビューに応じてくださった方の校閲を経て公開しており、脚色等は行っておりません。

今回のお客様:向井さん

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MML:バーチャルインタビュー、本日のお客様は東京の向井さんです。どうぞ宜しくお願いします。

向井 :東京の向井です。こんにちは。

MML:向井さんとはムサシノ掲示板でもお世話になっております。向井さんのラジコン歴は何年くらいなのですか?

向井 :2年前の11月2日が初フライトでしたから、2年弱ですね。でも、正確にはこれが初めてではなく、社会人成り立ての25年前に19のエンジン機を買って模型屋さんの指導で3回くらい飛ばしました。しかし、この指導してくれた方が辞めてしまい、クラブも解散してそれっきりになりました。
 その後、10年前くらいにムサシノ・プレイリー号を知り、ムサシノ通信を熟読して単独飛行に1回だけ挑戦したんですが、公園に来ていた電動機の中年フライヤーにエンジン機を飛ばすんじゃないと、思いっきり文句を言われとてもイヤな思いをして辞めてしまいました。そうそう、館林さんにお願いして早朝デモフライトを見せて頂いた事もあるんですよ。

MML:25年前となるかなり初期の頃ですね。その頃のRC装置はかなり重かったように思いますがずいぶん大変だったのではと思います。公園で飛ばすのは、一般的なエンジン機では音の問題があって、苦情などが出ると電動も飛ばせなくなるということでそのようなことになったのでしょうか。お気の毒です。
 しかし館林さんのデモフライトを見ることができたとは貴重な経験だったのではないでしょうか。

向井 :そうですね。今思えば、とってももったいないことなんですが、当時はラジコン操縦の勘所が全く分かっていなかったのと、館林さんのすごさもあまり認識していなかったので、あまり記憶がないんです。
 でも、確かプレーリーを公園の木の下の平らな土の部分から3m位の滑走でいとも簡単に離陸させて、広い原っぱへ静かに飛行させていた光景は目に焼き付いています。飛行の準備も、エンジン始動も、飛行もとてもあっさりとなさっていたように思います。
 今でしたら、目を皿のようにしてひとつひとつを見つめていたでしょうが・・・

MML:そうですか。ムサシノの鳥シリーズビデオを見てもまったく無理無駄のないある意味物凄いフライトを見ることが出来ます。極意に達した方のフライトなのかもしれません。
 モスキートモス号の他にはどのような機体を飛ばされてきたのでしょうか?

向井 :2年前の最初に飛ばしたのはイカルス社の電動機タウベです。パークプレーンが雑誌で紹介され始めた頃で、極力翼面荷重が小さく、ゆっくり飛ぶ機体を選びました。近くの公園で何度も落としながら修理を重ねて色々な事を体で覚えました。
 その次がQRPのEP?CUBです。とても素晴らしい機体ですが、その頃はスピードが速く機敏に感じられ、驚きました。そして、悲しいことに風の強い日にコントロール不能におちいり、無くしてしまいました。何日も付近を探しましたが出てきませんでした。この機体は2機も無くしてしまい、やっと3機目で安定して飛ばせるようになりました。随分飛ばしましたが現在は退役して本棚の上で休養しています。
 次が、同じくQRPのSmile400。今でも現役で、とてもバランス、安定度の良い機体です。
 そして、次がいよいよモスキートモス号です。どうしても、エンジン機が飛ばしたくてモスキートモス号を作りました。
 飛ばすのが近くの小さな公園なので、どうしても電動機が主体になります。現在はQRPのSmile400とRED BARONです。エンジン機はモスキートモス号以外に最近作ったホープ26にOSのFS30Sを積んで時々飛ばしています。
 ホープ26もピシッとした安定感があって良い機体ですね。ただ、4サイクルエンジンなのでサブマフラーを付けていないため、結構音が派手であまり堂々と飛ばせない悩みがあります。

MML:飛ばす場所の関係がやはり機種選びに大きく影響しますよね。私もあまり恵まれた飛行エリアというわけではないので、あまり音のするものや速いもの、大きなものは難しいですからいきおいモスキートモス号ばかりになっています。
 ところで向井さんがモスキートモス号を入手したのはいつ頃ですか?

向井 :キットを買ってきたのが1年前の9月末頃、初フライトは昨年の12月中旬でした。
 それまで、電動機ばかり飛ばしていたんですが、どうしてもエンジン機を飛ばしたくて、と言うかエンジンをかけたい気持ちがありました。そして、エンジン機なら出来るだけゆっくり飛び安全なムサシノ機が良いなと。皆さんのホームページを拝見しているとモスキートモス号の評判が良く、何よりもtokuさんのMMLを拝見してこれ一筋に飛ばしている方もいるのを知って是非飛ばして体験してみたいと思いました。

MML:そうですか、MMLの記事がモスキートモス号に出会うチャンスのひとつになったのでしたらやっていた甲斐があります。エンジン機というか、エンジンはメカニカルで魅力的だと私は思います。これからもエンジン機を楽しんでいくためには現在よりももっと静かでオイルや煙の少ないものに進化していく必要があると思います。エンジンメーカーの研究に期待したいですね。
 向井さんのモスキートモス号は現役ですよね?

向井 :もちろん、現役でほぼ毎週飛ばしています。OSの10LAを積んでいますが、とても調子が良くなってきています。

MML:エンジンも無理なく回っているのでしょうね。だんだん調子がよくなってくるというのは使っていくうえでのひとつの楽しみなのではないかと思います。
 フライト面ではモスキートモス号でどこが面白いですか?

向井 :とにかくゆっくり飛ぶことですね。公園の枯れ草の上でも、エンジンを中スローにして4〜5m走らせるとフワッと浮いていきます。
 飛行機が空気の中に浮いていく理論を目の当たりにし、飛行機本来のロマンを感じることが出来ます。
 私は出来るだけ実機っぽく離陸するのが好きなので、離陸したらすぐにエンジンをスローに落とし、出来るだけ小さな上昇角度で真っ直ぐに徐々に高度をとらせるようにします。仲間もきれいな離陸ですね、とほめてくれたりします。

MML:あのゆったりした速度のままでじわりじわりと高度を増していく様子はなんともいえない美しさがあると思います。モスキートモス号ならではの余裕の離陸ですよね。
 逆に面白くないところは?

向井 :モスキートモス号ばかり飛ばしていると、あまりにもゆったりなので、たまにはエルロン機をキビキビと飛ばしたい気持ちになります。といっても、まだまだ初心者でうまくは無いのですが…

MML:そうですね。私はいまのところモスキートモス号ばかりですがエルロン機でも面白いでしょうね。モスキートモス号をエルロンにしてみたりして。
 製作になりますが、モスキートモス号を作っていくうえでどこが難しかったですか?

向井 :それまでは、QRPのキットしか作ったことがありませんでした。QRPのキットははめ込み等の寸法がキチッと出ていて、組立説明書も実に細かく丁寧に書いてあるので手順どおり簡単に作れます。
 ところが、ムサシノの機体は図面だけでほとんど説明書きがありません。しかも、図面には部材の番号がふってありますが、それに相当するバルサパーツがありません。
 インターネットホームページで古めのキットは長い棒材から自分で必要な長さに切り出すのだと知って、やっと解決しました。
 高崎さんのホームページ軽模型飛行機研究室の「ムサシノ機の製作法」の記事は随分参考にさせて頂きました。
 手順さえ分かってしまえば、手間はかかりますが製作が難しい部分は無いと思います。
 ただ、あの大きな主翼をフィルム張りするのは結構大変でした。アイロンを色々な角度からあてるのに長い羽根を振り回さなければならなくて。

MML:そうですね。私もはじめてのときは全く予備知識が無くて、高崎さんのホームページと首っ引きで作った覚えがあります。あとスタンプを押していない部品もありますが、その場合ほとんどがゴムでくくられているものが同じ部品だったりします。これを知らずに一気にゴムを解きえらい苦労をしました。今では良い思い出です。
 主翼のアイロンかけは確かに骨ですね。形は単純なので張ることは難しくないのですが、場所は取りますね。
 面白いフライトなどはありますか?

向井 :平凡なところでは、超低空、低速飛行でタッチアンドゴー自由自在、低速機同士での低空おいかけっこです。
 ちょっと変わったところでは、モスキートモス号でグライダーを曳航して引っ張り上げたことがあります。翼幅3m位の結構大きいグライダーだったのでフルパワーでもなかなか高度が取れず大変でした。この時の経験から、大きな負荷を背負ったときは9インチの木製ペラよりも8インチのAPCペラの方が力強く牽引する事が分かりました。

MML:タッチアンドゴーは面白いですね。あれをしっかり練習すれば着陸もずいぶんうまくなると思います。
 それから3mくらいもあるグライダーをよく牽引できたものですね。モスキートモス号の倍もの大きさということになりますが、それは雄大な風景だったのではないでしょうか。
 機体に改良などはされましたか?

向井 :素組みそのままで、何にも工夫がありません。せめて、空中撮影用にカメラマウントを作ろうと考えたことはありましたが、まだ手がついていません。
 モスキートモス号ではありませんが、エンジンをアイドリングより少しあげたところでイヤなビビリ音が出て気になっていました。ムサシノ掲示板で問い合わせたところ、クランクケースとドライブワッシャーの間にOHPシートを丸く切り抜いて挟むと良いと教えて頂き、試してみたところ、ピタッとビビリ音が無くなりました。
それと、確かtokuさんに教えていただいたと思いますが、ペラを8から9インチに変えたところ、より低回転で低速飛行が出来るようになり、とても気に入った機体になりました。
 サブマフラーは10年ほど前に買ったムサシノ純正のマジックインキ改造マフラーを使っています。消音効果は抜群ですね。

MML:そういえばその節はうまく行ってよかったですよね。プロペラって変えてみると飛行機の性格とか音ががらりと変わったりして面白いものです。私はずっと9x7をメインに使っていたのですが、最近10x3もかなり気に入っています。それぞれ正確はかなり違いますがどちらも面白いですよ。サブマフラーもモスキートモス号の静寂の中の飛行を楽しむためには必須アイテムに間違いありません。
 墜落などしたことはありますか?

向井 :未だにいわゆる墜落をさせたことは一度もないと自負しているのですが、一度だけ壊したことがあります。
 タッチアンドゴーを連続で行って遊んでいたのですが、ゴーでエンジンを吹かしたときに丁度燃料切れでエンジンがストンと停まり、頭をくっと上げた姿勢だったのがもろに失速して頭から落ちました。
 これも、一般的には墜落と言うのでしょうが、自分としては操縦などのミスによる墜落にはカウントしたくないんですよね。
 この時にはよくあるように、胴体とトラス部の付け根が割れました。接着部ではなくて、5mm厚くらいのバルサ自体が割れていました。エポキシをたっぷりと塗って簡単に直しちゃいました。

MML:成る程、それはついていなかったですね。やはり、あそこが割れたのですね。落ちるパターンにもよりますがどうしても力がかかる部分なので仕方ないのかもしれません。ここが割れないならトラスや胴体が傷みそうですし、こういうものだということかもしれませんね。
 向井さんはモスキートモス号全般についてですが、どういうところが好きですか?

向井 :風のない日に静かなエンジン音で、ゆっくりゆっくり上昇させ、青空と白い雲の間にゆったりと浮かべ、下から眺めているのが一番好きです。高い空に上げるとほとんどエンジンの音が聞こえず時々回っているのかしらと心配になることもありますが、このゆったり感は、平日の忙しさですり減った心を癒してくれるような気がします。
 そして、この機体はとにかく失速することが無く、どんな操縦でも許してくれます。
 あまり、油断するのは良くないのでしょうが、飛行時間が長いので飛ばしながらペットボトルのお茶を飲んだり、たばこに火を付けてくゆらしたりする事もあります。通常のラジコン機ではあり得ませんよね。たとえ、トレーナー機でも。でも、マナーが悪すぎますか?

MML:これ、分かります。あのなんともいえない、モスキートモス号が生きているように思えるひと時です。鳥のようなモスキートモス号の飛ぶ様を見てとても落ち着いた気持ちになります。まさに癒しの時ですね。
 ごく静かに飛ぶモスキートモス号は、近くから遠くから眺める私に何かを語りかけているような気がします。それが何かは分かりませんけれども、ただ、静かに語りかけているように思えてきます。
 それに、私も飛行中に缶コーヒーなど飲んだこともあります。勿論安全第一でなくてはなりません。絶えず操縦しなくてはならないような状況ではそんなことは無理でも、上空高いところを淡々と旋回飛行させながら、風に流される様子さえ自然との対話と感じるようなのんびりした飛行、それをコーヒーをすすりながら眺めているのは何ともいえないものがありますね。
 では向井さん、これからモスキートモス号を作ろう、飛ばそうという方に励ましのメッセージをお願いします。

向井 :キットの組立に手間はかかりますが、図面と良くにらめっこして組み立てれば構造的に難しい部分はないので、必ず完成出来ます。
 主翼などはねじれにくい構造ですのであまり神経質にならなくても良いと思いますが、一応曲がりがないよう注意深く組み立てればモスキートモス号本来の素晴らしい飛行特性が誰でも手に入れられます。
 そして、他の機体では味わえない不思議な浮遊感、軽飛行機本来の飛行感覚が味わえ、何時までも飽きがこず大切な1機になると思います。
 全くの入門の方が飛行練習にモスキートモス号を使う考えもあるかもしれませんが、私は最初はプレイリー号などごく標準的な機体でしっかり練習を積み、その次にモスキートモス号のゆったり飛行を楽しんだ方が、モスキートモス号の特徴が良く味わえるのではと思います。

MML:向井さん今日はどうも有難うございました。これからも末永くモスキートモス号を大切になさってください。MMLももう少し更新頑張ります。


これはまたきれいな写真ですね。
 


大きく主翼を広げたモスキートモス号らしいショットです。
 


 
向井さんのモスキートモス号の仕様
エンジン OS MAX 10LA、純正マフラー+サブマフラー付き
プロポ FUTABA FF6Aスーパー
受信機 R136HP(PCM)
サーボS3101×3
乾燥重量 810g

 

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