the

Mosquito

Moth

Laboratory

バーチャルインタビュー  2003/11/05

バーチャルインタビューは、モスキートモス号ファンの方々にメールでアンケートをお願いし、それを元に対談形式に再構成したものです。インタビューに応じてくださった方の校閲を経て公開しており、脚色等は行っておりません。

今回のお客様:ヒロ1号さん

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グライダーで入門

MML:バーチャルインタビューのお客様はヒロ1号さんです。ヒロ1号さんは空もの歴が24年とのことで大ベテランでいらっしゃいます。宜しくお願いします。
 ヒロ1号さんはこれまでどのような機体を飛ばされてきたのでしょうか?

ヒロ1号:電動カー、田宮のポルシェのメカが残ったので、前からやりたかったグライダーを作りました。翼長1.6m、名前は『ロビン』だったと思います。それまでFFのゴム動力しか飛ばしたことがなかったので、滑空性能の良さにビックリした記憶があります。グライダーは主にショックコードと土手ソアリング、年2〜3回程度のスロープソアリングを楽しんでおりました。
 その後4〜5年はグライダーばかりやっていましたが、その頃の仲間が電動をやろうということになり、電動機にも手をだすようになりました。当時電動といえばマブチモーターかカー用のモーターで、キットメーカーも京都のツジムラさんかエアーサプライさんしかなかったと思います。その後、ユニオンさんや京商さんがブレイクしましたが。
 三ツ星のエンジン用モーターグライダーのセミスケール機でスポルタビア、翼長1.8mが540モーター直結と1200mA6セルのニッカドで1300g以内であがれば良く飛ぶと言われ、当時の重いメカで機体の軽量化にずいぶん苦労しました。
 それでも6セルで1300g,7セルで1360g、ON・OFFスイッチで3分のモーターラン、IM8×4リジッドペラでモーターOFF時抵抗になりながらも、毎回15〜20分は飛んでいました。
 その3年後ぐらいからエンジン機もやるようになり、現在に至っております。最近は年間2機ぐらいしか作れていません。

MML:あの時代の電動は飛ばすだけでかなり工夫したり苦労が要ったと思います。今とは隔世の感がありますね。でも満足の行く飛びになったようで、ご苦労が実ったということになりますね。
 今お手持ちの機体はモスキートモス号以外にはありますか?

ヒロ1号:現在飛行可能な機体ですが、グライダーではハンドランチクラスから3.6mのスケールまで、自作のライハー、ザルト、それからオリンピック2、アクロ、DG600等。電動ではサンフライ、エアトロニクスのサーマルグライダーアキーラ2.5mを電動に改造、エンジン機はプレイリー号、ファンフライ、これは名前わすれましたが、パイプ胴の翼が座布団のような飛行機です。エンヤ11CXツインのツインラーク等、他に修理待ちの機体でスケール機を中心にもろもろあります。

MML:グライダーが沢山ありますね。ライハーといえばDFS、ドイツ滑空研究所のあのガル翼も美しい機体ですよね。自作するのもなかなか大変だったのではと思います。

ヒロ1号:この自作のライハーには思い出がありまして、当時ヨーロッパのF3Bチャンピオンでラル・フデッカー氏が日本に来ていたときに、この機体の胴にサインを書いてもらいましたので、今でも壊すことなく保持しています。

ゆっくり飛ぶ飛行機が欲しかった

MML:ヒロ1号さんがモスキートモス号を入手したのはいつ頃ですか?

ヒロ1号:今年の春頃です。最近目が悪くなってきたし、反射神経も鈍ってきたので、ゆっくり飛ぶ機体が欲しいと思っていたところ、貴MMLのホームページを拝見し、これだ!と思いました。
 ムサシノさんのキットは、昔スカイコアラ号等でさんざん土手ソアリングをやりましたし、十数年前の絹張りプレイリー号がだいぶ汚くはなりましたが、まだ現役で飛んでいますので、久々に製作意欲がわいてきて、模型屋さんに直行してしまいました。

MML:それは、MMLの記事が役に立ったと言うことですね。嬉しい限りです。スカイコアラ号は実は先日ふるいキットを入手しまして、実に25年ぶりくらいの対面でした。当時は私は小学生で、ラジコン飛行機などとても無理だったのですが、たまたま見ていたラジコン技術に記事があって、すっかり好きになってしまったんです。ムサシノさんとの出会いはそれでした。モスキートモス号にはまったのもそんな下地があったからだと思います。
 普段はどのような飛ばし方で楽しんでありますか?

速くも遅くも楽しめる

ヒロ1号:モスキートモス号はスローフライトからフルスロットル飛行まで、スティックに素直に反応してくれます。
 スローローパスで腰のあたりを通過させたり、ホバリング、場周飛行、地面の起伏にあわせた1m以下の飛行、はたまた背面、ロール、キューバンエイトや高速ローパスの後の半径2〜3mの急旋回等。
 時には高度をとり、トリムで大きな旋回をするように設定して送信機をテーブルに置きっぱなしにしてしまったり…
 いろいろと楽しませてもらっていますが、こんなことが出来るのも自律安定の高いモスキートモス号だからだと思います。

MML:成る程、存分にお楽しみですね。モスキートモス号は低速で悠々と飛行するのも楽しいし美しいのですが、結構運動性もいいので楽しめますよね。しかも低中速での運動性がまたいいですから、スピードを出せないところ、静かに飛ばさないといけないところでもそれはそれで楽しめます。
 逆にフライトで面白くないところは?

ヒロ1号:特にありません。強風時は…との意見を多く見ますが、フラップをネガティブに設定することで、たいていの風なら飛行可能ですし、大きな翼のわりには煽られることも少なく、オールマイティーで飛ばすことができます。もっともフルスロットルでも前に進まないような風では無理ですが。
 それから、水上機仕様にした場合10フロートでは幅が狭いため、タキシング時風に正対していないと、少しの風でも煽られてひっくり返ってしまいます。フロートの幅は陸上機仕様の脚幅に合わせてあるので、改造するには主脚も変えなければならず、面倒くさいのでそのままで飛ばしています。主脚もビス1本で脱着できるのですが・・・
 フロートは双フロート式ですが、以前2式水戦で作った翼端フロートを実験的に付けてみようかな、とも思っています。

MML:たしかにモスキートモス号は結構な風でも飛ばせますが、フラップをネガティブにするとさらに風に強くなるのですね。これは初めて知りました。水上機ではやはり高翼で、翼が広いので横風には弱いわけですね。二式水戦式フロートもよさそうですね。
 機体の製作面ではどうでしたか?

ヒロ1号:トラス胴は20年以上前に確かスカイコアラ号で経験済みですし、特にありませんが、改造部分で少しなやみました。
 トラス胴の前後部の補強、これは明らかに弱そうなので、前部は上の縦貫材の内側を長さ10cmぐらいカーボンで補強し、下側の隙間の部分に幅1cm程のバルサ板を縦目に追加しました。後部はバルサの三角材を追加しました。また、フルスパンフラップをサーボで可動とするために、翼端上反角部のジョイントをどうするか等です。
 一つ質問があるのですが、いいですか?トラス胴の下側に、ワイド方向にヒノキの角材を接着するようになっていますがこの部品にはなんの意味があるのでしょうか?強度にあまり貢献しているとも思えないのですが…

MML:トラス胴の部分ですが、確かに弱いといえば弱いですね。いろいろな方の話を聞いても補強されている方が多いです。あるいはそういう設計なのかもしれませんが、確かに落ちるとよく折れます。
 トラス胴の下面のヒノキの補強ですが、私はこういう構造の専門でないので憶測ですが、組み立て時にはトラスを狂いなく組むために、また完成後はねじりに対抗するため、トラス胴下側桁のたわみを規制する。このような目的があるのかと思います。
 ヒロ1号さんのフライトパターンで、こんなものが面白い、というものはありますか?

ヒロ1号:館林さんがされていた林間飛行の真似ではありませんが、飛行場の滑走路に3mぐらいの葦を数本、数m間隔で立て、その間でスラローム飛行。その内仲間のヘリが飛んできて葦の頭をローターでカット、短くされてしまいました。
 そのために飛行高度がだんだん低くなってしまいスリルがありました。

MML:やはりモスキートモス号ならではですね。遅くて確実に操縦できないと、とても出来ません。楽しそうですね。
 先ほどから可動フラップの話が出ていますが、改造点はどのようなものがありますか?

可動フラップは凄い

ヒロ1号:大きな改造はありませんが、チョコチョコと小さな改造を沢山してしまいました。島崎さんごめんなさい。
 まず主翼は、翼中央部と上反角部をベニヤのカンザシで、中央から2〜4つ目までのウェブを厚いものに変え翼端に向かって徐々に標準の厚さにしてゆきました。グライダーをやっていたので、バンザイ対策はやりすぎの傾向がありますが、おかげさまでどんな飛行をしてもバンザイだけはしたことがありません。
 透明フィルムを使いませんでしたので、光に透かさないとわかりませんが、1枚のリブに6〜7個の穴をあけ、一応軽量化のつもりとしました。プランクしたのでよく覚えていませんが、スパーの前に2〜3個、後ろに4個でした。しかしウェブ補強分と相殺できたかな〜程度だと思います。
 サーボで可動式のフルスパンフラップは、飛行中にネガティブ〜ポジティブと無段階で、実際には3段階で使っていますが、調整できます。又、それぞれの時に合わせてエレベーターにミキシングを掛けました。これは大成功!ネガティブプラップにすることで強風時の飛行が大変安定しましたし、着陸も楽になりました。又、ポジティブ方向は更にスローフライトが可能になったようです。
 翼端を可動とするための構造は、上反角部の内外プラップの端部を袋状とし、中にアルミの板を上反角の角度だけ曲げたものを入れることで、可動時の滑り分を吸収できるようにしました。
 エレベーターは、中央部を補強しました。
 主輪はピアノ線固定用の三角材を後方からビス止めとし脱着出来るようにしました。尾輪はラダー一体の可動式としました。ストッパーを付けてショックに耐えるようにしてあります。車輪はセガレが小さい時に使っていたミニ4駆のゴム付ローラーです。小さくて軽量です。
 リンケージはUコン用ケブラーワイヤーを使用。これは優れものです。延びが少なく強度抜群!被覆は擦り切れてもケブラーはまず切れません。10年以上飛んでいるプレイリー号が同じリンケージでまだ現役です。一巻あれば一生ものです。
 私は複葉機の張り線やフロートの張り線にも使用しています。鋏でも簡単には切れません。お試しあれ。
 水上機対応、余っていたフロートと水中舵を付けられるようにしてあります。台風の後の河川敷用です。
 サブマフラーは、葉巻のケースと8mmアルミパイプで作成。最初はアルミパイプに4mmの穴を沢山あけたものを葉巻ケースに取付けただけで、消音効果が少なかったので、現在はアルミパイプの中央部に弾性接着剤を塗りたくったバルサ板の仕切りを入れて満足な消音効果が得られました。
 一番の成功はフラップですね。逆に、失敗ではありませんが、脱着式主脚は今後も外すことはないかも?

MML:そうですか、ついに可動フラップを付けた方が現れました。これまでもいろいろな方が可動にするとよいのではと考えていたのですが、実際やってみると効果絶大のようですね。これは参考にさせていただきたいです。葉巻ケースのサブマフラーと言うのは初めてですね。私はタバコは吸えないので葉巻ケースは手に入りませんが、確かにちょうどよさそうですね。ケブラーワイヤーも確かに強力そうです。
 これだけ手をかけてあるモスキートモス号ですが、うっかり壊したりなどと言うことはありませんでしたか?

ヒロ1号:並木の間を通そうとした時と、木の側でホバリングをしていた時に2度ほど木に引っ掛けてトラス胴と右翼端を小破しました。補強したはずのトラス胴前部が折れてしまいました。上側はカーボンロービングと三角材で強度は確保できていたと思われますが、下側は若干弱かったようです。更に補強としてカーボンキュアシートを貼り付けました。2度目の墜落ではこの部分ではなくトラス胴中央より少し後ろの所が折れました。
 この部分もカーボンキュアシートのお世話になりました。2度目の墜落時は翼端から落ちたので右翼端上部プランクを少し破損しました。通常はゴム止め翼で逃げるのですが、私のモスキートモス号は主翼中央下面にフラップ用サーボが出っ張っているため胴体に当り、逃げ切れなかったようです。フラップサーボは翼の中に完全に埋没するようにすればよかったですね。

MML:そうですか、主翼は流石に補強の甲斐あってシビアなダメージは受けなかったようですね。トラスの補強も結構難しいので、こうすれば完璧と言うのはなかなか分かりにくいです。全部強化すればいいのでしょうが、あまりやりすぎると今度は前部胴体が心配になりそうです。
 修理はどうでしたか?

ヒロ1号:プランク材を一部カットし取り替え、フィルムも一部だけ張りかえました。

MML:あまり大手術にならなくてよかったですね。モスキートモス号が全損で火葬、と言うのはそれほどないみたいですね。軽いというのも大きいと思いますが、やはり材料が結構しなやかで強いと言うことになるのではないかと思っています。
 全体的に見たときに、ヒロ1号さんはモスキートモス号のどこがお好きですか?

ヒロ1号:初めにも書きましたが昔のサーマルグライダーのような大きな主翼と愛嬌のある胴体、失速しにくく、そのくせロール系が得意なところですかね。

よく見れば玄人好み

MML:では、これからモスキートモス号を作ろう、飛ばそうという方にヒロ1号さんからの励ましのメッセージをお願いします。

ヒロ1号:よく見れば玄人好みのするデザインで多分この先も飽きることはないと思いますし、ゆっくりでも早くでも、おとなしくも大胆にも飛ばすことが出来る優れた設計の機体だと思います。
 ちょっと大きめですがそこはなんとかしてもらうとして、出来合いの飛行機ばかりでなく、1機ぐらいは自分で作った物を所有するのもいいですよ。何と言っても自分で作れば愛着がわきます。

MML:本日はどうも有難うございました。これからも素晴らしいフライトを末永くお楽しみになってください。
 


パイロットの目前を通過するモスキートモス号


モスキートモス号史上初?可動式フラップ


こちらは水上機仕様


ヒロ1号さんスロープソアリング


幻想的な風景です


 
ヒロ1号さんのモスキートモス号の仕様
エンジン OS10FP、ペラ トップフライト8×4木製、75ccタンク
プロポ フタバFF7、4サーボ(エンコン&エレベーター:S3101、ラダー:S143、フ
ラップ:FPS33)、ニッカド350mA
重量 895g(水上機仕様1,095g)
備考 胴体前部絹張り(クリヤードープの上にクリヤーウレタン吹き付け)・後部&翼はマイカーフィルム(のりなしの繊維入りフィルム)
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