the

Mosquito

Moth

Laboratory

バーチャルインタビュー  2004/11/03

バーチャルインタビューは、モスキートモス号ファンの方々にメールでアンケートをお願いし、それを元に対談形式に再構成したものです。インタビューに応じてくださった方の校閲を経て公開しており、脚色等は行っておりません。

今回のお客様:風林火山さん

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こだわりはないけれど

MML:皆様こんにちは。本日のバーチャルインタビューですが、風林火山さんです。ムサシノ掲示板で「双胴双発プレイリー号」でご存知の方も多いと思います。本日は宜しくお願いします。

風林火山:皆様「風林火山」と言います。インタビューをのお誘いを受けまして出て来ました。
 皆さんのように モスキートモス号にはこだわりも無く、のめり込んでいる訳でもない私ごときがここのHPの品位を落としかねないか心配だったのですが、是非にと言う事なので浅学非才を省みず出て来てしまいました。
 トンチンカンな勘違いなど有りましたら、「ごめんなさい」と言う事でお願い致します。

MML:どうぞ宜しくお願いします。風林火山さんは飛行機歴8年で、プレイリー号とモスキートモス号だけを製作されてきたとお聞きしています。

風林火山:モスキートモス号以外はプレイリー号だけです。モスキートモス号7機とプレイリー号10機以外の機体は作った事がありません。
 現在所有している、飛行可能なモスキートモス号は1機だけです。今までに7機作りましたが、自分のモスキートモス号はその内3機で、後の4機は製作を依頼されて作ったものです。人のものを作るのはそれなりに緊張します。
 全て現在の仲間の為に作りました。これでも工作だけは得意なのです。
 フィルムも張り替えて今はケイルカラーになっています。ケイルさん早速パクらせてもらっています。ありがとうございます。おかげさまで、こんなフィルム貼りできる様になりました。この場を借りてm(_ _)m 感謝!
 そうそう、パストラルも1機作りました。モスキートモス号に似ているじゃないですか。エンジン仕様です。

MML:こだわりが無い、とおっしゃっても7機も製作されているとなれば、モスキートモス号の大ベテランとお呼びすべきところだと思います。プレイリー号10機というのも凄いですね。
 モスキートモス号を手にしたのはどのような経緯だったのでしょうか。

師匠がモスマニア

風林火山:7年前ラジコンを始めた時、師匠の奨めでプレイリー号を作り、2機目で師匠の愛機であったモスキートモス号を作りました。
 私が師匠と決めた方が、モスキートモス号をこよなく愛していて、モスキートモス号しか作らない方でした。以前はずいぶんたくさんの機種を製作されていた事は聞き及んでいますが、私が知り合った時は、既にモスキートモス号しか作られていませんでした。
 「そんなにすばらしい機体なのかなぁ?」と思って、作ってみました。何せ、始めたばかりだったので、何が良くて何が悪いか解かりません。プレイリー号しか作っていませんでしたので…

MML:モスキートモス号しか作らないという方がご師匠とは、強力な縁と言いますか、それは作らないといけませんね(笑)それで、作ってみてどうでした?

風林火山:モスキートモス号は、とっても素敵な機体だと思います。でも、少しでも気を抜くととんでもなくじゃじゃ馬になって手に負えない代物に変身します。
 例えば、重心位置がずれたら大変扱いにくくなります。トラス構造も風に煽られての着陸の時はポッキリ折れます。思ったほど強くない。でもへたくそなのが原因ですね。
 ペラのピッチを変える事で、ゆっくり飛ぶ、風に強くなる、動作にメリハリが出る、なかなか降りてこない等々、風の無い早朝、幅5m、直線500mの農道で飛ばしますが、心が癒される思いがします。
 こんなにゆっくり飛ぶ機体は、他に無いと思います。

MML:やはり重心は大事ですよね。私も同じ経験をしましたのでよく分かります。スタンダードならまだしも、私が作っている改造版は特に重心が取りにくくて、とても苦労しました。

風林火山:この機体、重心を合わせるのが大変面倒と言うか難しいのも事実です。製作中から、重心位置を意識して作る事が肝要です。

MML:そうですね。重心位置はモスキートモス号の製作でもっとも気を使うところです。
 飛ばしてみて、モスキートモス号のフライトでどこが面白いと思われましたか?

風林火山:飛行させていて、どんどんエンコンを絞っている自分に気付く事があります。とにかく失速しにくい、プレイリー号も然りですが、「こんな機体良くぞ設計したな」と思います。風の中のホバリング、着陸途中のハンドキャッチ、1?2mの低空での旋廻飛行、仲間との同期編隊飛行、無滑走着陸 後退着陸等が苦も無く出来てしまう。確かここのHPでカン蹴りの話があったと思いますが、私はペラでカンを蹴り折ってしまった事があります。分をわきまえて挑戦すべきですね。 

MML:モスキートモス号はゆっくり飛んでそれが楽しい、という凄く変わったところに着目してデザインされたようで、おっしゃっているようなフライトが誰にでも楽しめるというのが実は凄い事だと思います。逆に、モスキートモス号のフライトでは面白くない所はありましたか?

風林火山:「面白くない」と思った事はありません。また作りたいと思ってしまいます。重心が狂っていた時は飛ばしにくかったですねぇ。自分が悪いのですが…

MML:何機作ってもまた作りたい、これってのめりこんでいるということでは…?その製作なんですが、モスキートモス号の製作ではどこが難しかったですか?

風林火山:難しいと言うよりは手間が掛ったと言う意味で、やはりトラス構造です。多くのモスラーの方々にはお叱りを受けると思いますが、私は1.5mmのバルサ板を補強材を入れた上から貼っています。
 つまりモスキートモス号の特徴でもあるトラス構造は省略してしまっています。島崎所長ご容赦を…
 それと胴体が本体部とトラス部に分かれているのも製作し難い部分だと思います。曲がって付けたらとんでもない事になってしまいます。私は本体のF12の内側から作業台に木ネジで固定してトラス部を接着しています。もちろんマチ針で本体部に2本トラス部に2本センター出しをして糸を張って位置決めをしてからの接着です。ここが一番弱い所でグラスウールを瞬間で巻いて補強しています。

MML:やはりトラスを組むよりバルサで作った方が早くて確実かもしれませんね。その辺を踏まえてパストラルが出来たのかもしれません。モスキートモス号でその部分をバルサでやっているのはケイルさんの縮小版もそうだったと思います。
 フライトの面ですが、こんなフライトが面白い、というものはありますか?

編隊飛行は楽しい

風林火山:やはり複数機での編隊飛行です。ゆっくり飛ぶモスキートモス号だからとても難しい、現在師匠と私とで練習しています。
 スピードを合わせるのが難しく以前は私のスピードに師匠が絶妙のテクで合わせて戴いていたのですが、軽い脳梗塞をわずらってから、絶妙のエンコン捌きがままならなくなって、今では、私が師匠のモスキートモス号に合わせていますが、これが難しいのなんのって、まだまだ未熟者で修行中です。
 ゆっくり飛んでいるにも関わらず翼端で起こる乱気流は凄いものがあります。すぐ後ろを飛んでいると安定して飛びません。

MML:編隊飛行は難しいですよね。私など空中戦をやっているかのような有様になってしまいます。モスキートモス号がびしっと低速編隊飛行をしたらさぞかっこいいことでしょう。
 機体の改造などはしたことはありますか?

風林火山:あります。編隊飛行には、どうしてもエルロンの存在が必要です。またまた多くのモスラーの方々にお叱りを戴く事になりますが、後縁フラップ改造のエルロンを付けております。あくまでもラダーの補佐的存在です。
 ホーンとワイヤーリンケージの接続を、クリップを開いて使っています。ワイヤーが緩んだ時、中立位置調整等工具が無くてもすぐ修正する事ができます。

MML:モスキートモス号のエルロン付はこれまでのインタビューではなかったと思います。実は画期的なことでは無いでしょうか。効き具合はどうですか?低速でもうまく操作できますか?またクリップでワイヤーリンケージをするというのもアイディアですね。

風林火山:エルロンの効き具合の話ですが、ある程度の機速が無いと通常私達が思っているエルロンの効き方にはなりません。低速でのエルロンは空気抵抗を利用して、下がっている方に機体方向を向ける為のラダーの面積を増やしたような動作を期待したエルロンです。
 エルロンと言う言葉は適切ではありませんが、形がエルロンなもので…ラダーの面積を増やすより、ずっと自然にゆっくり方向転換をします。
 当然ラダーとミキシングを掛けています。風があれば手動でエレベーターの操作も加えると、より自然に、実機のようにしかも機敏に反応します。
これも失速し難いモスキートモス号だから、出来る芸当だと思います。プレイリー号Lの低速時のエルロンの挙動からヒントを得たものです。
 プレイリー号Lよりも、まだまだ遅くなっても失速しません。失速しないのを良い事に考え出した、手抜き操縦で姿勢を保持する手段です。
 編隊飛行の時にだけスイッチで作動するようにしています。通常の単独飛行の時は、後緑フラップとして通常の機体と同じ仕様です。
 サーボは1個で主翼の中を長い長いワイヤーリンケージです。

MML:成る程、ロールさせるというよりも機体を左右に振るために使用するということですね。独創的なアイディアといえるのではないでしょうか。

風林火山:あとは仲間の機体作成時、要望があったので、3輪式にした事があります。重くなったのが原因か、ノーズギアの空気抵抗があったのか不明ですが、エンジンは通常より高めの回転が必要でした。しかし着陸は楽でした。この時は着陸タッチ&ゴーの練習用だったので75mmのでかいスポンジタイヤを3個使いました。

MML:75mmのタイヤは結構重さもあって、なにしろ見た目が凄いですよね。走破性は相当よくなりますが。
 風林火山さんは大きなサブマフラーも作ってありましたね。

風林火山:サブマフラーを、マジックインキの容器を使わずに、500mlのファンタのアルミカンで作ったことがあります。今はもう過去の物になってしまいましたが、胴体の下に模擬爆弾、主翼の付根に模擬増槽タンクなんてのはどうでしょうか?肝心の消音効果は、高音域は全く無くなって4ストに近い音域になりました。
 しかし、不燃物がどろどろに溜まって重くなっていたのに気付かずとんでもない重量物を抱いて飛んでいました。
 エンジンのせいにしていました。ドレイン穴が不可欠でした。キャップを外して出してみたら「うっ!」

MML:なんだかのぞいてみたくないですね(笑。でも500ccも容量があれば凄く静かになることでしょう。もっと小さくても、例えば300ccくらいのケータイ缶でも相当効果があるそうです。
 機体を壊したことなどはありますか?

風林火山:あります。地上5mぐらいで飛行中、主翼を止めていたゴムが疲労断で切れてしまい「くるくる」と舞う主翼、ミサイルと化した胴体に分離してしまい後は御想像の通りです。
 それから、横風の中の着陸で、風に煽られトラス部がポッキリ折れました。

MML:主翼が外れるというのはまたダイナミックですね。人的被害がなくて不幸中の幸いでしょう。

風林火山:珍しいところでは、低空飛行中、近所の子供にエアガンで撃たれ、フィルムに貫通穴が…怒る訳にも行かずトホホ…いくら低速とは言え、飛行中のモスキートモス号に当てるとは天晴れ天晴れ!(泣)

MML:エアガンで狙い撃ちですか!まるでテロリストみたい(笑

風林火山:ミサイルとなった機体は木っ端微塵再生不可能です。主翼は無傷で回収出来ました。
 トラス部は材料を模型屋さんから調達し設計図から切り出してオリジナルどおりに組みなおしました。
 それから薄手のグラスウールを巻き瞬間で補強をしました。
 それ以来,トラス組は止めて補強材を入れて1.5mmのバルサ板を貼りそれから本体部とトラス部を接着後グラスウールで補強するようにしています。

MML:そうですか。トラスじゃなくてバルサで組んだらやはり強度アップになるんですね。
 風林火山さんはモスキートモス号全部ひっくるめてどこが好きですか?

ゆっくりゆったり

風林火山:ゆっくりゆったり飛ぶ事が出来るところと細い胴体、思ったより小さ目の尾翼、でかい主翼などですね。

MML:ところで風林火山さんといえば双胴双発プレイリー号ですが、これを作ろうと思った動機や現状を、ムサシノ掲示板とダブルかと思いますが、教えてください。

風林火山:一番のきっかけは、地元模型屋さん主催の大会に、ボランティアとして手伝いに行った時、大型双発スケール機が会場に来ていました。90クラス2ストエンジンが回りだした時そばにいて、そのエンジンの同調調整の共鳴音が何とも心地よく聞こえました。単発が多い中での珍しさも有ったのでしょう。私も双発機をやってみようと思いました。
 練習用の双発機なんて有る訳も無く、模型屋さんと相談の上、私が一番信用しているプレイリー号を出来るだけ素組の状態で2機繋いでみようという事になった訳です。10エンジンですが 共鳴音はそのまま再現、かえって音が小さいので強調されるみたいに心地よい音に聞こえました。
 この組み立ての時もムサシノ掲示板では、多くの方々や島崎所長様から、励ましやら、ノウハウやら、提案やらを戴きました。この場をお借りして御礼を言いたいと思います。
 本当は、既に飛んでいる時期なのですが、風邪を引いたり、仕事が忙しかったりでまだフィルムも貼っておりません。言い訳になってしまいましたが、フィルムを貼ってメカを積み込めばよい状態になっています。
 やろうと思えば、休日2日の工程です。何とか10月中にはテスト飛行を、と思っています。 

MML:自分で試してみて結果を検討し、更に改善策を探るというのは面倒な様で実は奥が深い楽しみでもあります。ぜひ探究して行ってください。
 あの双胴双発はムサシノ掲示板の皆さんも期待しています。私もですが、是非成功させてください。きっと単発プレイリー号のようにゆったりと、そして心地よい共鳴音が聞けるものと思います。
 それでは風林火山さん、これからモスキートモス号を作ろう、飛ばそうという方に励ましのメッセージをお願いします。

風林火山:とにかく1度組んでみて、飛ばしてみて下さい。びっくりです。ベテランの方もこれから始めようという方も1機は持っていても良い機体だと思います。初心者の方にはやはりプレイリー号を1番に薦めますが…
 一度ムサシノ掲示板をのぞいて見てください。経験豊富な方々が、惜しみなくノウハウを提供してくれています。
 フィルム貼りも前は単色しか貼れなかったのに今では色彩豊かに貼れる様になりました。
 ワイヤーリンケージも群馬の木村さんのノウハウを使わせてもらっています。何か、パクリばっかりのようですが…

MML:プレイリー号の飛びは、私も見たことがありますので、その良さはおっしゃるとおりだと思います。モスキートモス号はそのプレイリー号よりゆっくり飛ぶ上に、矢鱈に主翼が大きく、なおさらにゆっくり飛んでいるように感じます。
 ムサシノ掲示板は私も沢山教わりました。本当にいい雰囲気の掲示板で、ずっと存続して欲しいです。

風林火山:MMLホームページはいつも見ていて、すごい実験を試みてちゃんと結果を出し、事細かくレポートしている。大変参考にもなるし勉強にもなります。
 私は現在、軽量の機体に可動フラップ装着の実験をしています。プレイリー号で失敗し航空力学の必要性を実感して現在猛勉強中です。お勧めの「模型飛行機 理論と実際」「飛行機はなぜ飛ぶのか」等々…
 軽量機にフラップなんて必要無いと思っていましたが…やっぱり違いは有ると思うので…

MML:本日はどうもありがとうございました。ご健闘をお祈りします。 


風林火山さんの愛機
 


クリップを利用したリンケージ
 


色が鮮やかですね
 


トラスはバルサ板に変更されています
 


前人未到の「ツインプレイリー号」
 


500ccの空き缶利用のサブマフラー
 


風林火山さんのエンジンコレクション
 


作業場風景


 
風林火山さんのモスキートモス号の仕様
エンジン エンヤ09 プロペラは8×4、8×5、9×4、9×5
プロポ JRMAX7 年代物 4サーボ ラダーエルロンにミキシングを掛けてエルロンスティックで操作してます。
重量 890g

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