the

Mosquito

Moth

Laboratory


 

短縮翼モスキートモス号CW(ChoppedWing)の計画

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テーマ 

 モスキートモス号は低速飛行をそのコンセプトの中心に据え、低速飛行によるエンジン騒音の低下、燃料消費の低下、操縦の易しさ、周囲への威圧感の低減などを実現しています。

 モスキートモス号はその低速飛行性能を巨大な翼によって得ています。時にその大きさが運搬や保管に支障を来たすことがあっても、これを縮小することはモスキートモス号の個性の源である低速飛行性能にすぐさま影響することになります。

 従来ではモスキートモス号の機体を縮小する際には、それと同時に、相当な努力を以て軽量化を推進し、翼面荷重の低減を図って、飛行速度を低下させることが主としてアプローチされてきました。しかし翼の前後方向への縮小は、そのままレイノルズ数の低下につながり、性能の確保が難しくなることを意味していました。

 ここでは、翼の左右方向を縮小するものの、前後方向は縮小しない、寸胴な主翼を作り、それに機体を合わせることによって、単なる縮小版よりも翼面積を拡大すると同時にレイノルズ数の低下も回避することを狙います。

方法 

  まずは主翼を縮小するのが第一目標ですから、これを縮小します。

 最初から50%縮小とするのには不安がありましたので、66%縮小で翼長980mmという値がまずまず妥当だと見当をつけ、図面を作成しました。図面はjw_cadで書いています。

 ところが、後で分かるのですが、66%は失敗でした。50%ならばリブの数を半分にすれば済むことで、シンプルなのですが、66%だとリブ間隔を調節してやらないとうまく長さを合わせることが出来ません。それどころか桁間補強材をすべてその長さに合わせて繋ぎ、切断しなくてはなりませんでした。単純作業ですが面倒な目にあいました。

 胴体の前後長もほぼ66%に縮小しました。また胴体の上下長はあえてそのままにしました。

 しかしながら前後長はともかく、上下長は縮小しておくべきでした。というのもエンジンの推力線と主翼の位置の間隔は、胴体前後長が縮小することによって、同様に縮小しないと、頭上げ傾向がオリジナル以上に強く出ることになりました。

 胴体の左右はエンジンの小型化に伴うプロペラの小径化に対応して、40mm程度に縮小しました。しかしこれも実は失敗で、メカ積みやメンテナンスが非常にやりにくく、燃料タンクですら格納に苦労する有様で、オリジナルのままが絶対によかったと思います。

 エンジンは小型化に伴う必要推力の低下と、翼が短くなることによる抵抗の増加を合わせて考えると、あまりむやみに小さくも出来ないと判断し、小型だが出力は大き目のAP061エンジンを使用しました。
 

解説



 右側では今回の実験に関連した説明を加えてゆきたいと思います。技術的に厳密なことよりも、分かりやすく実用的な知識になるように留意しています。

 したがって少々正確でないこともありますが、内容について間違いなどがありましたらよりいっそうの改善を目指すために、ご遠慮なく指摘をお願いします。


主翼を縮めると同時に胴体も縮めるとは?

 普通主翼はそれ自体が「不安定さ」を持っています。上を向き始めればどんどんそれが強くなり、下を向き始めれば同じくどんどん強く下向きになって行きます。四角い紙片を投げると、水平飛行などせずにくるくるとどちらかに回るのはこの傾向によるものです。また主翼だけでは左右の安定はありません。

 飛行機はその不安定さを押さえ込むために、主翼から離れたところに水平尾翼垂直尾翼が設けられます。主翼が上を向いたり、下を向いたりしようとすると、同時に胴体でつながっている水平尾翼も動くことになり、そこに当たる風圧で主翼の不安定さを押し戻します。この力があるから飛行が出来るのです。

 では、この力が弱すぎればどうでしょうか。当然不安定さを押し戻す力が足りずに、飛行機は不安定に上を向いたり下を向いたりすることになります。機首が上がれば垂直になるまで昇り続け、ひとたび下向きになればいくら舵を操作しても機首が上がらない、そういうことになるのは水平尾翼の押し戻す力が弱すぎるからです。

 それならば、ではこの力は強ければ強い程よいのでしょうか。いいえ、それは違います。もしも主翼が引き起こす不安定さよりもはるかに強く押し戻せば、飛行機は勢い余って反対の方へ機首を振ってしまうでしょう。それと同時にその動きを押し戻そうと、もっと強い力で水平尾翼が機首を振り、この繰り返しで飛行機は波状飛行を行い、しまいには墜落するか空中分解するでしょう。

 今回の改造では、主翼を縮めるので、主翼が引き起こす不安定さも少なくなります。そのままでは水平尾翼の戻す力が強すぎるので、これを弱める必要があります。

 水平尾翼の効き具合は、その面積と、主翼からの距離で決まります。これらを計算してちょうど元と同じ比率で聞くように縮小してやるわけです。今回はコンパクト化のために主翼を縮めるのですから、胴体も縮める方向で改造します。つまり、水平尾翼面積は変えずに胴体を縮めるわけです。


なぜエンジン位置を変えるのか

 主翼が小さくなったことにより、水平尾翼の作用も小さくしなくてはならないのは上に書いたとおりですが、水平尾翼には実はエンジンに対する作用もあります。

 エンジンはその位置が主翼よりも下についているため、エンジンが強い力で引っ張ろうとすると、胴体の下の方を引っ張ることになり、風圧で押し戻される主翼とあいまって機体を上向きに曲げようとします。これが頭上げです。

 頭上げになると水平尾翼がそれを反対に押し戻そうとします。しかし、上のようにその力を減らしたことから、エンジンが機首を上げようとする力に対抗する力が減っていることを意味します。

 そのままでは釣り合いが取れないため、エンジンが発生するこの機首を上向きにする力を減らさなくてはなりません。簡単に言えばエンジンを上に持ち上げることで、主翼との引っ張りあいで機首を上げようとする力を減らし、水平尾翼の仕事を減らしてやります。

以下、ムサシノ掲示板に書き込んだ内容です。

2003/09/09

 tokuです。ようやくここまできました。あとは水糸リンケージだけです。

 胴体重量は299g、主翼重量は131g、あわせて430gです。

 翼面積は24.4sq.dmで、オリジナルの36.6sq.dmの2/3です。

 翼面荷重は17.6g/sq.dmで、ノーマル機のカタログスペックの21.8g/sq.dmに対し、80.7%となります。

 失速速度は翼面荷重の平方根に比例するそうですので、ノーマルの失速速度をちょっと辛めに時速20kmとするとその約90%の時速18kmくらいで飛べるはずです。

 全体のスケールが2/3ですので、見た感じ3/2倍に見えるとすると大体自足27kmくらいでノーマルのモスキートモス号が飛ぶ感じに見えるのかもしれません。

もっともノーマルでも主翼が目立つので、主翼だけを見れば前後長は変わらないので同等以下に見えるかもしれません。

どっちにしろ十分遅くなるのではないかと見込んでいます。

 メカはGWS PICO 8g受信機、HITEC HS55サーボ3個、サンワ110mAhニッカド、JR標準スイッチで、まあまあ軽い方のメカです。

 エンジンはAP061Wasp、機体材料はストックのモスキートモス号のものを意識的にそのまま使用し、軽量化措置は特にとってありません。つまり同様なスペックで作れば誰が作ってもこんなもので出来そうです。

 カバリングは主尾翼はオラライト、胴体はオラカバ+エコノコーテで、特別に軽いというわけでは有りません。

 接着剤は殆どを低粘度瞬間、主尾翼接合、エンジンマウント周りをエポキシで組み立てました。

 エンジンマウントは木ネジマウントのため部分強化を狙いガラスクロスを積層しています。

 今週末あたりがテストフライトになると思います。

toku 福岡


 

軽い飛行機ほど遅く飛べるのだが…

 翼が前進するとき、そこに働く上向の力を「揚力」と言います。揚力の大きさは、ある程度までは(つまり音速がどうのこうのと言わないならば)速度が速いほど大きいのは当然です。揚力の大きさは速度の自乗に比例します。つまり、速度が2倍になれば揚力は4倍、速度が3倍になれば同じく9倍になるわけです。

 これを逆に考えてみましょう。時速20kmで1000gの揚力を発生する翼があるとします。ここで2000gの揚力を発生したいならば、速度は時速何kmでしょうか。40km?違います。それでは4000g発生します。答えは時速20km×ルート2=時速28kmとなります。

 ただし、本当のところはそうでもなくて、エレベータアップにして翼の迎角を大きくとれば、翼の発生する揚力は急激に増え、必ずしも速度を増やさなくてもいいこともあります。 現実にはこちらの方が主に効いてきまして、よくやるようにエレベータトリムで吊って(機首を上げて)低速でも水平飛行するようにするのはこれです。

 それでは迎角は取りあえず置いておいて、時速10kmで飛ぶには何gにすればいいのか。速度が半分なので揚力は半分の半分、つまり1/4ですから250g、と来るところですが、ちょっと待ってください。

 話はそんなに簡単ではないのです。

 凄い勢いで飛んでいる翼ならば、そこにぶち当たる空気も当然強く、当たった空気は翼に沿って流れ、簡単に剥がれたり渦を巻いたりはしないのですが、これがモスキートモス号のようにゆっくり飛んでいると、空気は簡単に主翼の表面から剥がれ、渦を巻いてしまいやすくなります。この状態は「失速」です。

 つまり、時速40kmで飛ぶ飛行機よりも時速10kmで飛ぶ飛行機は揚力が小さくなるというより以上に失速しやすくなるわけです。

 したがって実際には、250gよりも少なくとも軽くしてやらないといけないのは間違いありません。

 ところがそれでもまだ続きがあるのです。

 翼には「遅いにも限度がある」うえに、「小さいにも限度がある」のです。

 遅くなると空気が翼の表面から剥がれやすくなる、というのは上に書いたとおりですが、ところがある速度以下ではどうやっても剥がれっぱなしでまるで石ころのように、翼として役に立たなくなることがあるのです。同じように小さくなっても実は同じことです。

 これは「クリチカル・レイノルズ数」と呼ばれるものによります。

 「レイノルズ数」とは、その原理的な意味をすべて抜いて簡略化すると、

 レイノルズ数 = 213.56 x 翼の断面の前後長(cm) x 飛行速度(時速km)

 で求められる数値です。ですからモスキートモス号が時速20kmで飛んでいるときのレイノルズ数は
  Re = 213.56 x 25 x 20 ≒ 106780

となります。

 さっきから「遅いほど空気が剥がれやすい」と書いていたのは、本当は「レイノルズ数が低いほど空気が剥がれやすい」と言うことなのです。

 クリチカル・レイノルズ数とは、「これ以下のレイノルズ数では翼として働かない」という限界の数値です。翼の断面形によってこの値は違います。

 ここに今回の種明かしがあります。

 モスキートモス号を縮小するとき、翼を左右だけでなく前後にも縮めると、同じ速度で飛んでいてもレイノルズ数は縮めた割合だけ下がってしまいます。その性能低下を補うには、同じ割合で速度を増やさなくてはなりません。ひょっとすると普通に離陸、着陸する速度はクリチカル・レイノルズ数を割ってしまうかもしれません。小さい飛行機がゆっくり飛びにくいのはこういうことなのです。

 では逆転の発想で、速度を上げず、レイノルズ数を下げないためには、「翼の前後長を縮めなければ良い」のです。ここが今回の実験の原点でした。

 レイノルズ数を下げなければ、翼の揚力を発生する性能は低下しません。重量も極端に軽量化を図らなくても良いかもしれません。迎角を大きく取っても失速しにくく、重量に寛容なよい飛行機になりそうな気がしませんか?

 勿論、ここには落とし穴もあります。太くて短い翼は、その翼の両端から大きな渦を巻き、その渦のために飛行機は大きな抵抗を引きずることになるのです。実機では燃費が悪く速度も出なくなるためにこれは望ましいことではないのです。グライダーの主翼がとにかく細長いのは、この渦を小さくしてより遠く速く滑空するためなのです。

 しかし、モスキートモス号は「遅く飛ぶ」のが主目的、エンジン出力も余って困るほど、ならば渦が大きく抵抗が増えても知ったことではありません。オマケにゆっくり飛ぶならその渦も自動的に小さくなり、燃費も殆ど悪くならないのではないか。

 モスキートモス号は見事なコンセプトの割り切りで素晴らしい低速性能を手にしています。ミニモスキートモス号も同じように割り切って、小型低速性能を手にすればよい。高速飛行はもとより眼中にないのです。

2003/09/16

日曜日朝9時半頃から微風の中初飛行しました。

 重心位置は主翼前縁より30mmでノーマルと同じ、重量は430g+燃料50ccくらいです。

 エンジンがまだまだ慣れてないので低速がイマイチなんですがとにかく飛ばしました。

 飛行速度がどうもモスキートモス号っぽくないのですが、全体が小さいことによる視覚的なものもかなりありそうです。

 ただ、前重による走り過ぎのような感じもあり、もうちょっと重心を後ろにしてテストします。

 失速速度自体は十分遅いので、主翼の取り付け角が心持小さくなってしまっているのを修正すれば改善できるかもしれません。

 失速すれすれの速度からエンジンを全開してもすぐには増速せず、しばらく我慢しないといかんのはやはり主翼の抵抗が大きいせいかもしれません。あるいは使用した5.7*3ペラがすべり気味なのかもしれません。これも見るからに抵抗が少なそうなFF用の7.625*3.25のAPCに取り替えてみます。

 ですが、なかなか翼長1mというのは魅力的なサイズではあります。

 燃料タンクの設置が悪いせいか宙返りするとエンストしてしまいますが、ラダーの機能は相当鋭く、すぐ真横向きになるほどです。エレベータもよく効いています。大舵を打たなければノーマルのモスキートモス号と同等の安定性のようです。

 ダッチロール傾向も、螺旋不安定傾向もありませんでしたが、上反角効果が特に強力と言うわけでもなかったようです。

 現状は脚なしですが、どうもやはり脚があったほうがよさそうなので、FRPででも脚を作ってみようかと思っています。

 私の機体にしては珍しく、ラダー中立で直進してくれるようです。サイドスラストも適当で少なめなんですが、ちょうどよかったようでした。
 

パイロットと比較すると、パイロットの太きさが分かる。

このようにかなり寸詰まりな感じになっている。

飛ぶには飛んだが、このままでは安定が悪い。

ダッチロールと螺旋不安定

 いずれも、上反角と垂直尾翼の効果の不釣合いで起こります。

 垂直尾翼の利きを決めるのは、ひとつにはその面積、もうひとつは主翼からの距離です。

 垂直尾翼が小さすぎると方向が不安定になります。具体的にどうなるかと言えば、左右に蛇行するのです。それも平面状を蛇行するのではなく、まるでU字型の溝を蛇行するように、上昇下降を繰り返しながら蛇行します。

 これをダッチロールと言います。語源は「オランダ人がスケートをするときにゆらゆら蛇行するから」だそうです。でもオランダ人のスケートは見たことないので事実関係は不明です。

 では垂直尾翼は大きければいいのか?

 いいえ、そんなことはありません。大きすぎると今度は勝手に墜落します!

 垂直尾翼を大きくしすぎると螺旋不安定と言う傾向が現れ、何かの拍子に傾くと、それをきっかけにどんどん旋回して、最後にはスパイラル状に墜落します。この傾向のある飛行機はとても怖く、常に姿勢を見ていないと水平飛行もできない欠陥機になってしまいます。

 過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね。
 

2003/09/22

縮小版モスキートモス号テスト続行

 9/21朝6時半よりテストを続行しました。

 変更点は以下のとおりです。

  1. バッテリ位置を動かし、重心位置を約3mm程度後ろにする。
  2. 主翼取り付け角がわずかにマイナスになっていたのをゼロに修正する。
 当日は台風の影響で非常に強い風(帽子が吹き飛ばされる位)でしたが休みの日もそう自由に出来ないので仕方なく発進です。

 横風を食らわないようにしながらトリムをとりますが、重心が後ろのような感じはあまりしません。旋回を繰り返すうちにエンスト。燃料タンクの配置がまずくて、すぐ吸い上げられなくなるため3分くらいしか飛んでいません。

 エンストと同時に大きく頭を下げて速い速度で滑空します。

 枯れ草の上で失速着陸で、無事下ろしました。

 エンストで頭を下げるということはダウンスラストをつけるべきなんでしょう。しかしエンジンフルパワーでの飛行をメインにするのではないので、これは無風での調整が必要かと思います。

 滑空の速度やそのときのエレベータの効きからしてもまだまだ重心を後ろに下げなくてはいけなさそうだったので、単三型ニッカドを水平尾翼の前にゴムでくくりつけテストしますがまだ滑空速度が早い。しょうがないのでもう一本のせてもまだまだです。なんだか狐につままれたような感じがします。

 全備重量はニッカド2本で96g重くなっているのですが、平気で飛んでいます。最も風がこれだけ厳しいので断定は出来ないのですが。

 今出来そうなことは、

  1. ボンネット部分を切断して結構短くし、エンジンを後退させる。
  2. 主翼取り付け角をもっとつける。
  3. テールにバラストを積む。
 こんなものでしょう。あと燃料タンクはサリバンの小さいものに交換するつもりです。

 なお、午後からエンヤ19‐6BBTVを慣らしてみました。非常に心地よいというか懐かしい排気音です。最初なのに手で始動が出来ました。それにひまし油たっぷりの燃料で白煙が景気良く出ますね。
 

強風でもかまわず飛ぶ。

2003/10/05

縮小版モスキートモス号テスト飛行記(長いです)

 福岡のtokuです。昨日も風が強かったのでテストできなかったのですが、今日こそはと6時過ぎからテストに繰り出しました。

 これまでの症状は

  • パワーオン時の頭上げ傾向が激しい。
  • 逆に滑空速度は頭を下げ速い。
  • 重心位置を極端に下げてもあまり改善しない。
 これらを検討した結果、ダウンスラストの相当な不足と推測しました。

今回の改善点

 早速改善を検討したのですが、このAP061エンジンはクランクケースとマウンティングボルトホールの間隔がかなり小さく、普通のワッシャではうまく噛み込んでくれませんでした。しょうがないので入りきれないワッシャをエンジンマウント下に詰め込んでスペーサ代わりとしました。

 重心位置は一旦設計どおりの、ノーマルモスキートモス号と同じ前縁より7530mmとしました。

テスト

 結果はやはりかなりの頭上げでしたが、滑空時には相当なアップトリムを取ればいわゆるモスキートモス号らしい、失速ぎりぎりで飛びそうだということが分かりました。

 一旦下ろし、テールに鉛の重りを積んで、重心位置を主翼前縁より8338mmとし、再テストです。

 離陸と同時に大きく頭を上げますが、ダウンで調節し、高度を確保してからエンジン出力を可能な限り絞るとなんとか安定して水平飛行するようになりました。

 じわじわと高度を落としてから、この状態からエレベータトリムをかなりアップにすると、ノーマルのモスキートモス号と同等以上の低速飛行が可能であることが確認できました。

 また、ノーマル重心位置でのアップトリム水平飛行時と、重心位置を下げたときの水平飛行時では、むしろ後者の方が動的な縦安定性に優れているようでした。

考察

 機体そのものとしては、低速飛行性能はかなり高いと思われます。極端なダウンスラスト不足によるエレベータダウントリムが不自然に高速な滑空の原因のようです。

 ダウンスラストが極端に不足した原因は今回の改設計にあることは間違いないと思われます。おそらく、翼長を66%に縮小したことにより、主翼の基準線とエンジンの推力線の開きもほぼ同等に縮小すべき、つまり胴体の縦方向を66%くらいに縮小すべきだったのではないかと思われます。これを元通りとしたためにノーマルと比較して大きな頭上げ傾向となったのではないかと推測します。

 前重心時に動的な縦安定性が不足するような傾向が見られたのは、適正な重心位置よりも前進した重心に対し、エレベータアップでつりあわせようとした結果、縦の姿勢変化に対する復元モーメントが大きすぎるものとなったのではないかと推測します。不正確な記憶ですが、モスキートモス号ノーマル1号機の最初の飛行時も、同じようにピッチング様の挙動を起こしました。かなりの前重心をエレベータアップでつじつま合わせをしようとした結果ではないかと思います。

対策

  1. ダウンスラストは何らかの方法でスペーサを作成し、相当量(山勘で8度〜10度)の角にしてテストする必要があります。
  2. 重心位置はさらに詰めが必要と思われます。死荷重を増やすだけでは面白くありませんので何らかの機能を持った重りの代わりを考えたいところです。

今後の展望

  • おそらく、ノーマルのモスキートモス号とほぼ遜色の無い低速飛行性能を得られるでしょう。
  • 実際の飛行速度はノーマルを下回るかもしれません。
  • 翼長縮小版を同様に作成する場合、エンジンの推力線も主翼の基準線に近づける必要があると思われます。山勘では(笑 翼長縮小比と同じだけ近づけるのがよいかと!?
  • 胴体幅をうかつにも縮小したため、非常にメンテナンスが難しくなりました。少々の重量減や抗力の低減を図るよりもノーマルの幅にすることによりメンテナンス製の向上、改造時加工部品点数の低減が計れそうです。
  • リブ間隔と非同期な66%縮小などとしたため、単にリブを省略するだけでは駄目で、リブキャップも全部作り直しとなりました。これが単にリブを抜くだけの縮小率だったらさらに製造が簡単になったと思われます。次回に試作するとしたら今度は50%縮小でしょう。
 重心位置は「ノーマルと同じ前縁より30mm」というのは前縁より75mmの間違いです。現状では8mm後退の83mmとなっています。お詫びして訂正します。

前重心が本当に安定がよい?


 飛行機が水平飛行しているとき、そこに働く力はどのようなものでしょうか。

 物凄く大雑把に言って、主翼は機体を上に持ち上げようとします。エンジンその他の機首の重さが主翼より前にあって、機首を下に向けようとします。その力を反対に尾翼を押し下げることで釣り合いを取り、水平姿勢にすると言うのが水平尾翼の仕事です。

 つまり、飛行機は揚力が働く点で支えられた「ヤジロベエ」だと考えると判りやすいでしょう。両方の腕の重りはそれぞれエンジンの重さと、水平尾翼の下向きの力です。

 それではこの2つの力が、ともに相当小さい場合はどうなるでしょうか。軽い力でバランスを崩し、機首が上がったり下がったりすると、崩れたバランスを戻そうと反対向きに力がかかります。しかし、いずれの力も小さいために、簡単には元に戻りません

 逆にこの2つの力が物凄く大きかったらどうなるでしょうか。バランスを崩すのに相当な力が必要になり、一度崩れたバランスを戻そうと、大きな力で押し戻すことになるでしょう。

 一般には、この復元力が強い方が「手を離すと水平飛行に戻る」ということになるので安定が良いということになるわけです。

 手っ取り早く両方を大きくするには、前重心にし、それを押さえるためにエレベータアップにすることです。ムサシノが言うセイフティセッティングも重心位置は動かしませんがこの原理と思います。

 ただ、この復元力が強ければそれでいいのかというとそうでもありません。やはり、両方の力が大きすぎれば、互いの反発力にまた反発するように、機首をあげたり下げたりするピッチングと言う動きをもたらすことになります。市販の飛行機は崩れた姿勢を早く戻し、ピッチングしない(動的安定)設計をしてあるはずです。やはり、やりすぎは禁物です。
 

2003/10/14

 今日もテストしてきました。テスト環境としては強風であまりよくなく、天気が悪いせいかエンジンもぐずってました。

 今回は重心位置前縁より83mmとし、エンジンのダウンスラストを13.5度と、かなり強力につけてみました。

 結果的に、まだダウンスラスト不足で、スロットルに対し安定しているとは言いがたいものでした。

 やはりノーマル比1.5倍にもなった推力線と主翼の基準線のずれが少々のダウンスラストでは補えないと言うことなのでしょう。

 モーターグライダーのパイロンのようなものと思えば、ダウンスラストを30度とかにしてみる手もありますが、エンジンマウントの作り直しというかなり面倒な作業があるのと、あまりにかっこ悪そうなので、それは没にしました。

 で、今週のテーマは「機首切り離し」と「再接合」です。ノーマルと同等になるようにエンジン搭載位置を上げてみます。あわせてどうも燃料系が怪しいのではないかと思いますので、これも何とか直して見ます。

 せっかく物凄く運動性がいいのに、エンストしてくれるのでロールどころか急降下も出来ません。
 

2003/10/15

 機首の切り離しには成功しましたがとんだ難問が待っていました。

 機首部分から胴体側版の下部に向けて10センチほどひまし油による染みがありました。よく見てみると結構染みているようです。

 どうしようもないけれどもとりあえず駄目元でお湯と台所用洗剤でしつこく洗ってみました。

 その結果、少々の染みの部分はきれいになったようなんですが、やはり染みこんでしまったものはちょっと難しいようです。

 どうせ側版の改造も要ることですし、いっそ染みた部分を切り取り、継接ぎにして対応しようかと思います。

 また、エンジン不調の原因らしきものもついでに分かりました。

 燃料タンクに「黄色い成分」が、かなりの量残っているのです。これはどうみても廃油です。

 AP061のマフラープレッシャーは妙な場所に付いていて、排気口のまん前、しかもいかにも廃油がたまりそうな部分についてしまってます。これでは逆流しない方が不思議です。

 多分、ある程度燃料が沢山あるうちはこれら廃油と燃料がエンジンに流れ込んでいくものの、だんだん燃料が減るうちに同時に廃油もたまり、廃油をくみ上げる割合が増えてエンストしていたのではないかと思います。ベンチテストではこんな不具合は出ませんでした。ベンチの時はタンクも数倍大きいものを使っていました。

 対策としてはプレッシャーニップルを切りなおすか、マフラープレッシャーをやめてしまうことです。とりあえずプレッシャー無しでどうなるか見てみようかと思いますが、何しろエンジンが小さいので低速が心配です。



後日談

 実はお湯と台所用洗剤は相当効果的だったようで、なんだかぬるっとした感じはもともと生地に塗っていた塩ビのためだったことが分かりました。油は全部抜けていました。勿論その後接着不良などは発生しませんでした。
 

2003/11/04

縮小版モスキートモス号テスト続行

11/3朝からテストを行いました。

天候:無風、曇り
 

今回の変更点

  1. 推力線を上げるためにエンジンマウントを上に約22mm移動。
  2. 重心位置を合わせるためにエンジンマウントを後方に約11mm移動。この結果重心位置は主翼前縁より83mmとなる。
  3. 燃料タンク位置をキャブレタとツライチになるよう移動。
  4. 改造、補修などの結果全備重量が430gだったのが460gへとアップした。翼面荷重は19g/sq.dm。

結果

  1. 推力線を上げたことにより、以前のひどい頭上げ傾向は改善された。しかしそれでも強めの頭上げ傾向がある。
  2. 重心はもう少し後ろでもよさそうだが、適正な滑空速度で飛行する。
  3. エンジン全開時のエンストは皆無になったが、まだ低速域では不安定。燃料を変えてみるか?
 頭上げについては確かにトリムを取り直す必要はありますが、まあこんなものだと言う気もします。中速域での旋回などではむしろスロットル操作で綺麗に旋回もできるので、後は味付け程度でいいのかもしれません。

 重心についてはまだ安定もしっかり取れていますし、少々下げてみるつもりです。

 燃料タンクの移設は非常にうまく行きました。シリコンチューブの取り回しも短く、どんな急旋回や連続宙返りをしても息をつかずに回ってくれます。またマフラープレッシャーのニップル位置変更も廃油が流れてこなくなって調子いいです。

 全開でたぶん時速60kmくらいは出ていると思います。でも小さいので結構なスピード感です。逆に最低速度はだいたい20kmを切っているあたりではと思います。もう1機手持ちののモスキートモス号(少し重くて1kg弱)といい勝負でしょう。あるいはこちらの方がゆっくりかもしれません。

 それにしても物凄く舵が効くと言うか、小さいループも割と大きいループも何回でも出来ます。ロールなんかも凄いです。背面宙返りこそできませんでしたが背面上昇は可能でした。この飛びでは「パークプレーン」というには憚られますが、ミニ・スローアクロ機ってことにしてしまえばいいのかもしれません。

 それにしてもこれだけ無茶苦茶な運動をしてもびくともしない主翼は、やっぱりモスキートモス号の血統のように思います。

 次は重心位置の調整と、メインギアをつけてみようと思います。メインギアはロー付けの練習がてらピアノ線を組んで作ったものです。これで全備500gに届いてしまうと思います。

 毎回フライトビデオか写真を息子を連行して取らせているんですが、昨日はマクロになっていたのでボケボケでした。
 

2003/11/09

遂に成功です。満足な成果を得ました。

改善点

  1. ダウンスラストを13度つけた
  2. 重心位置は前縁より75mm、ノーマルと同じ
 これで完璧でした。ダウンスラストは少々普通より強いですが、実にナチュラルにスロットルに反応して上昇下降を行います。

 もともと、この機体にはAP061は強力すぎるようで、宙返りなどもノーマルのモスキートモス号の比ではないくらい力強く大きな円を描きます。

 それゆえ頭上げが激しく起こるのはあたりまえなのですが、なんとか挙動を押さえようとすればこの程度になります。

 逆に短い主翼のため抗力もノーマルの比ではないようで、ある程度パワーがあった方が向かい風が強いときなどは安全です。

 今回は上記のようにダウンスラストを13度つけましたが、前回(エンジンマウントの加工前)は19度でもまったく不足でした。やはり推力線の移動は大きな要因であるということがわかります。

 性能に関係ありませんが、細いピアノ線を組みロー付けして作ったメインギアを、グラス補強のバルサに接着、セメダインスーパーX2で接着して取り付けましたが最初のハードランディングで某社の軽量ホイールはスポークが折れてしまいました。着陸以外関係ないのでそのままテスト続行しました。

 これが案外重くて、胴体重量が336gとなり、最初の299gからすれば37g増、全備467gです。

 AP061はだんだん慣らしが進んできたのか、スローでもまあまあ安定して回ってくれました。

 低速飛行はノーマルと遜色ありません。滑空速度、最低速巡航ともにノーマルモスキートモス号と同じかそれ以下です。見た目で同じですので実際はさらに遅いようです。3年生の息子が走って追い越せます。

 高速飛行はだいたい60km/hくらい出ているようですが、舵の効きが非常にダイナミックで、ロールは殆どその場で回るスナップロールみたいになりますし、60度以上のバンクで激しい急旋回や大きな宙返りや全速力での半径1m程度の宙返りも平気でやります。

 主翼の効率がかなり高く、スケールからしても面積が大きい(単純にいえば2倍)うえに、エンジンが強力なのでかなりの運動性能があるようです。

 あとはこれにサブマフラーをつけ、7.625インチのペラでスローフライト性能を見てみることになります。

 あまりにもうまくいってうれしくなってしまい、本日は昼からビールで祝杯、ぐうぐうと昼寝してしまいました。

今回の結論

  1. 翼長縮小版の機体を設計する場合、水平尾翼面積xモーメントアームが縮む分だけ、エンジン推力線の位置を主翼基準線に近づける必要がある。縦安定が主翼の縮小分にあわせて当然減りますので、エンジンによる頭上げモーメントも減らしてやらなくてはなりません。ダウンスラストでは対処できないことがあります。
  2. エンジン出力は主翼の抗力増を勘案して、ある程度余裕を持つ必要がある。通常の飛行で十分でも向かい風には案外と弱い。
  3. 重心位置はノーマルと同じで問題ない。
2003/11/25

ミニモスキートモス号・開発完了!そのまとめ(長いです)

 24日月曜日早朝にこれまでテストしていたミニモスキートモス号の最終テストを行い、成功しました。これにて本機の一連の開発は完了します。なお機名を「ベニシジミ」と命名しました。ベニシジミはたぶん全国的に普通に見られる、小さな赤い蝶です。

 前回のテストで飛行特性はほぼOKだったので、今回は燃料系の信頼性の低さとサブマフラーについて改善し、低速フライト中心の飛行テストを行いました。またビデオも撮影しています。(ビデオについては後ほどHPにアップします)

 飛行特性については、AP061のアイドリングより少し上の回転で十分に遊覧飛行が出来ます。トリムで吊って少しピッチング気味になりながらの最低速飛行はオリジナルのモスキートモス号と同等のようです。しかも最低ぎりぎりよりも僅かに余裕のある速度(それでも時速20キロ程度)の方がスムーズで楽しいのもオリジナルと同じです。

 しかし太く短い主翼のせいでしょうが、滑空は伸びがなく、感覚的には3割、4割引といったところで、着陸時に伸び過ぎることもない代わりに、エンスト後うかうかしていると場外着陸になってしまいます。毎回壊してもたまらないので多少の重量増は目をつぶり、タイヤをつけたほうが良いと思います。

 オリジナルと同じく、失速には強い方で、低速急旋回にも翼端失速を起すことも全くないし、水平飛行からアップに入れてわざと失速させてもそのまま機首を下げて回復しますのでこの点はかなり良好です。

 しかし主翼が発生する抗力がかなり大きいのか、一旦速度を失うと、エンジンをハイにしてその場からぐんぐん上昇するというようなことは苦手で、少しこらえつつ速度を乗せてやる必要があります。

 これらの特性から見れば、地表ぎりぎりを飛ばすときは失速すれすれよりも僅かに速く飛ばせば、ピッチ、ロールの操安ともに良好です。

 逆に、迎角が小さいときにはそれほど抗力が発生していないのか、案外速度は乗りますし、滑空も吊っているときより伸びてきますので使い方次第でいろいろな楽しみ方はあります。ロールはオリジナルよりも得意で、背面でのダウンがしっかり効くので回しやすいですし、ループはかなり大きなものになり、小さな機体と比べてかなりダイナミックです。

 エンジンは慣らしが完了したのか快調にアイドリングしますし、09クラスよりも回転が上がっているせいかサブマフラーも09クラス程の効果はないものの、それでも一定の効果があり、周囲に迷惑をかける心配も相当減るようです。しかし最高回転数は幾分下がるようですし、高回転ではやはり耳障りですのでその点は注意が必要です。燃料も尽きるまできちんと供給され、回せるようになりました。

 これまではタンク内チューブが弱かったせいか、玉がすぐ抜けたりキンクしたりして良くなかったのですが、若干肉厚のものに替えることで改善されました。

 一連の製作と実験の結果から、同様な主翼縮小版の飛行機を製作するときには、次のようなことを参考にすると良いでしょう。

翼長縮小型(チョップドウイングと称す)製作について

1.次のような目的に適します
 
  1. 運搬手段の関係上、小さな機体が必要な場合。
  2. 狭い範囲で飛ばす必要がある場合。
  3. (1)、(2)の前提がある上でより低速飛行を目指す場合。
2.次のようなことを目安に改造が必要になります
  1. まず翼長を決めます。このとき桁間補強材のサイズを考えて、縮小率を決めるべきです。リブの間隔をそのままに、リブ数を減らすことで、改造工数が少なくなり、逆にリブ間隔を変えると桁間補強材を切りなおす必要が発生するので面倒です。
  2. 翼長の縮小率をここでX%とすると、主翼のリブ前縁より30%位置から、水平尾翼前縁より30%位置の距離(モーメントアーム)もX%に縮小しなくてはなりません。このとき水平尾翼面積は変更しません。
  3. 垂直尾翼面積はX%より幾分大きい値に縮小します。(今回は66%に縮小のところを83%とした。この値は特に根拠はありません。)。これはアスペクトレシオ(翼長に対する翼弦の比)が小さくなることによる上反角に相当する効果が増えることによります。つまり太くて短い翼は細長い翼よりも上反角に相当する安定性があり、これにつりあうように垂直尾翼を若干大きくします。あまりシビアには効きませんが、これが小さすぎるとダッチロール(蛇行)が起こり、大きすぎるとらせん不安定といって、勝手にスパイラルに落ちていきます。
  4. エンジン推力線を主翼に近づける、つまりエンジンを主翼に近づけるように上げたり下げたりする必要があります。簡単には主翼の下面とエンジンのクランクシャフトの延長線の距離を調べ、この距離をX%に縮小します。経験的にはX%よりもさらに縮小した方がよいと思われます。(推力による頭上げ(頭下げ)モーメントに対する水平尾翼の効果の減少による)
  5. エンジン取り付け位置はノーマルよりもより重心位置に近い位置に変更する必要があるようです。要するに機首を短くすると言うことです。エンジン選定にもよりますが、乱暴に言えばエンジン搭載位置と重心位置の距離をX%以下にする必要があると思われます。そうでないと相当な前重心になって、尾部に重りを沢山積み込む羽目になります。(モーメントアームの縮小による)
  6. エンジン出力は縮小比よりもやや多めに必要と思われます。09〜10クラスであれば06〜07クラスとなるでしょう。(主翼の抗力(比)が増大することによる)
3.調整方法
  1. 重心位置は、ノーマルと同じでまったく問題ありません。ただし縮小されている関係上、重心位置の誤差はノーマルよりも厳しくなるようです。出来るだけノーマルと同じにしてテストし、自分にあった位置に調節していくのが良いでしょう。
  2. 抵抗の大きな主翼と、機体の割りに強馬力のエンジンを積むことになりますので、頭上げ(頭下げ)傾向が強く出ることがあります。そのためにエンジン位置を上げ(下げ)るわけですが、かなり強くダウンスラストをつける必要があるかもしれません。
  3. 揚力はかなり余裕のあるものになると思います。軽いに越したことはないのですが、それほど神経質に軽量化を図らなくても良いようです。
 モスキートモス号を縮小して、その低速飛行性能を損なわない、という目論見はおおよそ成功したと言えると思います。ゆっくりと飛ぶと言うことに関して言えばその限界も含めてオリジナルとかなり似たような性能を出したことになります。

 しかし縮小したことによるクイックな運動性はある意味余分な性能、またある意味余分な楽しみと考えることも出来ます。ひらひらと舞うように飛ぶ様子はさながらシジミチョウのようです。

 それに非常に舵が効く上に、向かい風に対する安定性はオリジナル同様で、風と格闘する羽目になりますがかなりの強風でも飛ばないことはありません。しかし向かい風では全開でも風に押し戻されることがありますので、風上で飛ばす方がよろしいようです。

 あらゆる面を総合して考えるとやはり、オリジナルのモスキートモス号を超えるようなものだとは思えませんが、それでも同じ血統を感じるフライトが出来ます。デュアルレートやエクスポネンシャルを強めにかければ、オリジナルのようなおっとりとしたクルーズを楽しめると思います。

 縮小版の製作はレイノルズ数の低下とともに小さくなることでより速く見えてしまうという二重の意味でスローフライトが難しい要因がありますが、この種の翼長のみ縮小版、太く短い主翼を採用することによる低速性能の改善は少なからず効果があるといえます。

 ただ、当然ですが、縮小率によってはオリジナルとは似ても似つかない漫画的なデザインとなるわけですが、それを嫌味のない範囲でまとめることが設計者に要求されているともいえると思います。

今後

 今回の「まとめ」を踏まえ、次に50%縮小版モスキートモス号を試作する予定です。今度は翼長735mm、全長500mm、翼面積17.4sq.dm、エンジンはエンヤ09BBTV,重量は400g程度を狙いたいですね。

羽を休める「ベニシジミ」
 

モスキートモス号チョップドウイング仕様「ベニシジミ」諸元
翼長 980mm
全長 655mm
翼面積 24.4sq.dm
重量 430g
翼面荷重 17.6g/sq.dm
エンジン AP061
プロペラ APC5.7x3
メカ 軽量受信器、10g軽量サーボx3

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