JAVAFOIL

説明

1.インストール

Sekiaiさんの説明、
http://rcp.web.infoseek.co.jp/JavaFoil.html
を参照してインストールしてください。ブラウザで動かすのは面倒で、できない事もあるみたいなのでインストールがお勧めです。

2.データの自動生成

数字を適当にいじって、CreateAirfoilボタンを押してください。何て不親切な解説でしょう。でもこれ以上に意味のあることを簡潔に解説することは困難ですので勘弁してください。
 

3.フローフィールドの解析

AoA(迎角)を設定してやります。失速寸前の様子を見たいなら例えば10度前後くらいにしてやると分かりやすいかもしれません。

ボタンを押すと解析が始まります。オプションはチェックを入れると色々やってくれます。白いところが負圧が大きいところで、つまりはそのあたりから失速が始まりやすいと言うことです。
 たとえば翼の前縁付近で集中的に白くなっていると、その辺から早期に失速が始まってしまい、あまり性能が出ない、とか想像できます。

4.ポーラーカーブの解析

左側にはレイノルズ数ごとのCL(揚力)とCD(抗力)の関係のグラフが表示されます。右側にはAoAに対する揚力の遷移のグラフが表示されます。
たとえば0度における揚力と抗力を見たいなら、x軸が0のときのCLをまず右から読み取り、次にCLが0のときのCDを左から読み取ります。

当然ながらCL/CD比が大きいほど優秀です。

5.モーメントの解析

右側のグラフを切り替え、CMが表示されるものにしますと、AoAとCM(モーメント係数)の関係が見て取れます。

クラークYなどの普通の翼型は、CMが常にマイナスとなっており、頭を下げようとする力が常に働いています。なので空中分解して翼が分離すると、翼は前にくるくると回転しながら落ちてきます。

これがリフレックス(反転カンバー)を持つ無尾翼用の翼になりますと、CMが常にプラス、つまり頭を上げる方に力が掛かっているというような翼となります。この頭上げの力と、普通より前進させた重心点の頭を下げる力がバランスし合い、結果的に水平飛行する、というものです。

このCMがかなり+の翼型は無尾翼で、0に近い物は水平尾翼が小さめで、かなりマイナスの物は十分な面積の水平尾翼が必要になります。

6.データの取得

インターネットから座標データを拾ってきて、座標のエリアにペーストしてやれば利用できます。
単にペーストしただけで翼型の図が表示されない場合は、「copy」ボタンを押し、そのまま「paste」ボタンを押して貼り付けなおすとちゃんと表示される事が多いです。

データはまたもや個人的に好きなCJ2309無尾翼用翼型です。
http://www.ds-cats.com/~kurisawa/aeronautics/Airfoils/OpenFiles.link/A2061/OP3170_A.txt

この翼型データも1回のペーストでは表示されないので、ペースト→コピー→ペーストしてください。

7.レイノルズ数の設定

ポーラーカーブを描くときはレイノルズ数をきちんと認識して指定しないと意味がありません。どんな翼型でもレイノルズ数が上がれば性能は上がり、下がるとその逆です。

実際に飛行する速度と期待のサイズでの性能を見ないと、時速何百キロのときの性能で設計するわけには行きません。

レイノルズ数は 翼弦長(センチメートル)*速度(時速キロメートル)*213.56で近似的に求められます。

翼弦長25センチのモスキートモス号が時速20キロメートルで飛行しているときのレイノルズ数は25*20*213.56≒100000となります。

想定される着陸速度と巡航速度、常用最高速度をそれなりに想定したらそれぞれのレイノルズ数が計算できます。

例えばモスキートモス号で着陸16km、巡航25km、常用最高40kmとしてみるとそれぞれReは85000、133000、213000程になります。

入力欄のスタートを85000、ステップを48000、終了を229000にしてやると、大体上の3つの値はカバーするようです。

それから実用的に使用する迎角の範囲を入力します。背面飛行をするような飛行機だと、マイナス10度くらいから+10度くらいとしてやれば良いと思います。モスキートモス号だと背面はあきらめてますから、マイナス6度くらいから+15度くらいまでとしてやると良いと思います。

クラークY類似の翼型は大体マイナス3〜マイナス4度で揚力がゼロになりますので、その辺までカバーしてれば良いと思います。

例のCJ2309を上記レイノルズ数と迎角で分析してみますと、Re=85000のときではCL=0.4を越すと急激にCDが増えていくのがわかります。このときのAoAは右のグラフから4度と分かります。たったの4度で失速に入り始める(抗力が急に増え速度が落ちる)のですね。馬力さえあれば実際の失速は少し後になりますが。

これがRe=133000だとCL=0.6くらいまでは何とか使えそうです。このときはどうも6度くらいみたいです。正確な数字は左のグラフのタブで、レイノルズ数に該当するところを開いてみると数値が出ます。

Re=229000だとカーブがなだらかになり、CL=0.8くらいまでなら実用的に使えそうです。タブを開いてみるとAoAは11〜12度程度のようで、これならそれ程神経質に失速に悩まなく手もいいかもしれません。

つまり、このCJ2309を使うと、高速飛行中はいいものの、時速16キロでは揚力が小さく、迎角を取ろうとするとすぐ失速する危険がある、ということがわかるわけです。

逆に同じ翼型でも時速40キロくらいになるとかなり余裕が出てくるため、着陸速度を40キロか、32キロ(ついでに表示されているRe=181000のとき。これも結構よさそう)あたりに設定できればよさそうだと言うことです。

逆に言えば、時速16キロでも十分な揚力であるように、機重を極力軽く作れと言うことになるでしょう。後で出てくる揚力の式に代入すれば、CL=0.4とすると、モスキートモス号の翼と同面積としたら重量166gで限界、ということになります。

出来るわけないですね?というわけでこの翼型では時速16キロでは飛行できそうにない、と言う判断がつくと言うことです。
 

8.ポーラーカーブの判断

ゼロ揚力のところから、抗力がそんなに増えず、揚力が増える範囲までが、実際に良好に使用できる範囲と考えられます。

そのときの迎角はCLの値をCL/AoAのグラフ(右)から読み取ります。

あるAoAから、CLが増えず、むしろ落ちるところがある。そこが失速するポイントです。

左側グラフを見ていると、それ以前に、CLの増え方よりもCDがはるかに多く増えるところがあります。この点は失速しているわけではないので、強力な出力のエンジンであれば抗力の増加に打ち勝って大きな揚力を発生する事ができるかもしれない。イメージで言えばフラップを下げたSTOL機の離陸のようなものです。推力が足りないと増大する抗力により速度が減少、揚力が減少した上にReも速度現象に伴って下がり、限界を超えればそのまま失速墜落、となりかねません。

ただ、そんな無理な事をするよりも、少ない迎角で機速をつけた方が揚力は自乗で増えてくるのでその方が有利な事も多いと思われます。

揚力は L(グラム)=0.0483*CL*平方dm*時速km^2
 

これから逆算して、着陸速度のときにもCLが有る程度余裕のある状態にしてやれば、着陸復航しようとした瞬間に失速墜落、などということが回避できるだろうとおもいます。

例えばモスキートモス号が800gとして、CLが1.6程度までいけるとするなら、

 800=0.0483*1.6*33.6*時速Km^2
 800/0.0483/1.6/33.6=時速Km^2
 時速Km≒18

つまり時速18km程度がCL=1.6における最低飛行速度ではないかと思われる。このときのRe=10万、CL=1.6という条件で、CDも計算できるだろう。

9.モディファイ

例えばこのCJ2309を翼厚8%にまで下げてやるとどうなるか。

Modifyタブを開き、Thickness t/cに8を入れ、そのボタンを押すと翼型が変形します。

これで再度ポーラーを書いてみましょう。

結果、全てのレイノルズ数でほぼグラフの形が同じになり、急激な失速の感はなくなったと思います。しかしその代わり、揚力の増大に伴い抗力も同じように増える事になり、あまり優れた性能であるとは言いにくいのではないかと思われます。

Re=85000のとき、1箇所だけ飛び出して抗力が減っているところがあります。

計算誤差なのか、層流翼としての効果なのか不明だが、SurfaceFinishをBugsAndDirtにしてやると何となく層流翼っぽい効力の減少を示すようです。

これが事実かどうかはわからないです。

逆に翼厚を12%ほどにすると、CLの最大値は上昇するが、抗力がそれよりも大幅に増大します。また低いReの時ほど抗力の増大が激しいです。

試しにReをもっと上まで見てみても、あまり芳しい結果にはならないようです。

このように翼型の変形と計算の試行錯誤を繰り返すと、いずれ良好な結果が出るかもしれないですね。
 
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